ジアゼパム

成分名

ジアゼパム

適応症状

神経症における不安・緊張・抑うつ/うつ病における不安・緊張/心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ/脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛による筋緊張の軽減/麻酔前投薬など

簡易説明

ジアゼパムは、抗不安成分の一つです。
リラックス効果を誘発する「GABA」という神経伝達物質が脳内にあるのですが、ジアゼパムを摂取するとGABAのはたらきが強くなり、その結果、不安な気持ちが軽減されます。
ジアゼパムは、抗不安作用や催眠作用をバランスよく併せ持っており、即効性がありながら依存性が少ない非常に優れた物質です。
一方で筋弛緩作用が強いので、摂取後、身体に上手く力が入らずふらつくことがあります。
また催眠作用も強いので、突然強い眠気が出てくることもあります。
そうしたメリット・デメリットを鑑みた上で服用することが大切です。

処方可能な診療科目

内科/心療内科/精神科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,500円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:2mg約6円/10mg約13.6円
薬代後発薬1錠の目安:2~10mg約5.7円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1964年11月(発売)

国内のジェネリック認可

ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

・10mgセルシン錠【製薬会社:武田テバ薬品】
・5mgセルシン錠【製薬会社:武田テバ薬品】
・ホリゾン錠5mg【製薬会社:丸石製薬】
・2mgセルシン錠【製薬会社:武田テバ薬品】
・ホリゾン錠2mg【製薬会社:丸石製薬】

関連製品(ジェネリック)

・ジアゼパム錠10mg「ツルハラ」【製薬会社:鶴原製薬】
・ジアパックス錠2mg【製薬会社:大鵬薬品】
・ジアパックス錠5mg【製薬会社:大鵬薬品】

効果・作用

ジアゼパムは、幅広い効果が期待できる抗不安成分です。
抗不安薬は一般的に、抗不安、催眠、筋弛緩、抗痙攣の4作用の程度、および作用時間によって評価され、そのデータを元に各患者さんに合う薬が処方されるのですが、その中でジアゼパム(正確にはジアゼパムをを主成分とする医薬品「セルシン」)は、抗不安作用が「中」、残り3作用が「強」とバランスよく評価されています。
また作用時間については、
・即効性の指標となる最高血中濃度到達時間が1時間と、他の抗不安薬と比較して短い
・作用継続時間の指標となる半減期(服用してから、血中濃度が最高時の半分になるのに要する時間)が57時間と、他の抗不安薬と比較して長い
という結果が出ています。
この結果は、ジアゼパムが
・作用の幅が広いこと
・頓服用としても、抗不安のベース構築用としても使用出来る非常に優れた成分であること
を意味しています。
そのような特徴をもつジアゼパムは、摂取すると体内でベンゾジアゼピン受容体と結合します。それに伴って、GABAという物質がGABA受容体と結合しやすい状態になります。
GABAは神経伝達物質の一つで、脳の神経細胞の活動を抑える、つまりリラックス効果をもたらす物質であり、GABA受容体に結合することでそのはたらきが強くなるものです。
上記メカニズムにより、本成分ジアゼパムを摂取すると不安な気持ちが緩和されます。

使用方法

用法用量は、服用する方の属性によって異なります。

■入院治療の成人
ジアゼパムとして、1回2~5mgを1日2~4回服用します。

■外来治療の成人
ジアゼパムとして、1回2~5mgを1日2~4回服用しますが、原則として1日量を15mg以内にします。

■3歳以下の小児
ジアゼパムとして、1日量1~5mgを1~3回に分けて服用します。

■4~12歳の小児
ジアゼパムとして、1日量2~10mgを1~3回に分けて服用します。

■筋痙攣患者の成人
ジアゼパムとして、1日量2~10mgを3~4回に分けて服用します。

■麻酔前投薬の成人
ジアゼパムとして、1回5~10mgを就寝前または手術前に服用します。

副作用

主な副作用
眠気、ふらつき、眩暈、歩行失調、頭痛、失禁、言語障害、頻脈、血圧低下、悪心、嘔吐

重大な副作用
薬物依存、痙攣発作、譫妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想、離脱症状、刺激興奮、錯乱、呼吸抑制

その他の副作用
食欲不振、便秘、口渇、過敏症、発疹、倦怠感、脱力感、浮腫、霧視、複視、多幸症、黄疸、顆粒球減少、白血球減少

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ジアゼパムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記添加物にアレルギーをお持ちの方は、セルシン錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用出来ません。
▼セルシン錠の有効成分
ジアゼパム
▼セルシン錠の添加物
・トウモロコシデンプン
・ステアリン酸マグネシウム
・乳糖水和物
・リボフラビン(*)

■急性閉塞隅角緑内障の方
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させる恐れがあります。

■重症筋無力症のある方
ジアゼパムのもつ筋弛緩作用により、症状が悪化することがあります。

■リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)を使用中の方
ジアゼパムの血中濃度が大幅に上昇し、過度の鎮静や呼吸抑制等が起こる危険性があります。

使用に注意が必要な方
■心障害、肝障害、腎障害のある方
心障害の場合は症状の悪化、肝・腎障害の場合は排泄が遅延するおそれがあります。

■脳器質的障害のある方
作用が強く現れることがあります。

■乳幼児
作用が強く現れることがあります。

■衰弱している方
作用が強く現れることがあります。

■中等度、または重篤な呼吸不全のある方
症状が悪化する危険性があります。

(*)セルシン錠には2mg、5mg、10mgの3種類がありますが、リボフラビンは5mg錠にのみ含まれます。

上記にあてはまる方は、ジアゼパムを使用する事が出来ない可能性があります。
ジアゼパムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■リトナビル
過度の鎮静、呼吸抑制が生じることがあります。

■中枢抑制剤、フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸誘導体、モノアミン酸化酵素阻害剤、エタノール摂取、シメチジン、オメプラゾール、シプロフロキサシン、フルボキサミンマレイン酸塩、マプロチリン塩酸塩
眠気や、集中力および注意力の低下、反射運動能力の低下が増強します。

■マプロチリン塩酸塩
痙攣発作が起こる場合があります。

■ダントロレンナトリウム
筋弛緩作用が増強する可能性があります。

上記を使用している方は、ジアゼパムを使用する事が出来ない可能性があります。
ジアゼパムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ジアゼパムの離脱症状は強さはどのくらいですか?

ジアゼパムは半減期が長く、作用も中程度の抗不安成分です。
穏やかに効果を発揮し、体内にゆっくりと吸収されていきますので離脱症状がみられることは少ないです。
なお他の抗不安薬を使用していた方が、離脱症状を抑えるために一度服用成分をジアゼパムに置き換えてから減薬していかれるケースも多々あります。

抗不安成分が多数存在する中で、ジアゼパムが向いているのはどのような方ですか?

上記のようにジアゼパムは多様な症状に対して穏やかに効果を発揮し、依存性も少ないので、1錠で色々な症状改善が不安なく期待できます。
そのため、不安だけでなく緊張感も強い方、睡眠が安定しない方など様々な症状、または複数の症状のある方に向いている成分であるといえます。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。