ブロナンセリン

成分名

ブロナンセリン

適応症状

統合失調症/チック/自閉症スペクトラム障害の易怒性や興奮

簡易説明

ブロナンセリンは、主に統合失調症の治療として用いられる薬です。その他にも様々な心の不調に対し、心を穏やかにすることを目的として処方されます。

①脳の情報伝達の機能が混乱し、情報を正しく伝えることができなくなってしまった結果、考えや感情のコントロール不良や、幻聴幻覚などが生じます。ブロナンセリンがドーパミンとセロトニンの作用を抑えることで、脳の情報伝達の混乱を改善し、これらの症状を抑えることができます。
②①同様の働きによって、統合失調症以外の心の不調に対して、例えば興奮や不安を抑えることができ、停滞してしまった活動を改善することができます。

原則として、子供の場合12歳以上の患者さんに使用するとされています。

処方可能な診療科目

精神科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円前後
薬代1錠あたりの目安:ロナセン2㎎ 56.1円/錠、4㎎ 104.9円/錠、8㎎ 193.4円/錠、2%酸 514.8円/g
薬代後発薬1錠の目安:ブロナンセリン2㎎ 15.4円/日、4㎎ 28円/錠、8㎎ 38.6円/錠、散2% 158.4円/g、個人輸入としてブロニタス4㎎ 54.4円/錠、8㎎ 67.6円/錠
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要となります。また、健康保険の負担割合によっても異なります。
統合失調症については、高額療養費制度や自治体の助成制度の対象になる可能性があります。この場合患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。それぞれの申請先に相談してください。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2019/6/1

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ロナセン錠2・4・8㎎、ロナセン散2%(住友ファーマ)
2019年10月より、ロナセンテープ20㎎・30㎎・40㎎も発売されました。

関連製品(ジェネリック)

ブロナンセリン2・4・8㎎、ブロナンセリン散2%(小林化工、第一三共エスファ、住友ファーマプロモ/住友ファーマ、陽進堂/日本ジェネリック/アルフレッサファーマ、共和薬品、沢井製薬、高田製薬、東和薬品、日医工、ニプロ)

個人輸入としてブロニタス4㎎/8㎎(インタスファーマ)

海外での使用実績

ロナセンは日本で開発された薬です。
その為、海外での販売実績は少ないです。
中国や韓国のみで発売されていますが、世界的にみると一般的な薬とは言えません。
どの国でも適応症は統合失調症です。

効果・作用

統合失調症とは…
自分の考えや感情がうまくまとまらなくなってしまう状態が継続する心の病気です。約100人に1人の患者さんがいると言われていて、決して珍しい病気ではありません。その原因は脳の働きにあると言われています。発症しやすい年齢は思春期から40歳頃までとされています。
〈原因〉
発症の原因については、まだはっきりとは分かっていません。脳で情報を伝える働きのバランスが崩れてしまうことが原因ではないかと考えられていますが、大きなストレスがかかることなどの関連も私的されています。また、遺伝子も関係しているのではないかと言われていますが、単に遺伝子の問題だけではなく、その他のいろいろな要因が重なっているともされています。
〈症状〉
①陽性症状:誰かにずっと監視されているなどと感じる妄想、周囲に誰のいないのにも関わらず自分に命令してくる声が聞こえる幻聴や、ないはずのものが見えるだけでなくそれを実際の世界の間隔として感じる幻視などの幻覚、考えが混乱して一貫性がなくなってしまったり、会話の一貫性がなく何を話しているのか分からなくなってしまうなどの思考障害
②陰性症状:感情表現が乏しくなったり気持ちが動きにくくなる感情鈍麻、抽象的な表現が使いこなせなくなる思考の貧困、自発的に何かをしようとする気持ちがなくなってしまったり、継続して物事を行うことが難しくなる意欲の欠如、自分の世界に閉じこもってしまい、他者との関わりを遮断してしまう社会的引きこもり
③認知機能障害:物事を覚えるのに時間がかかるようになってしまう記憶力の低下、目の前のことに集中したり、考えをまとめあげることができなくなってしまう注意・集中力の低下、物事の優先順位をつけて判断したり、計画的に実行したりすることができなくなってしまう判断力の低下などがあります。
〈治療法〉
①薬物療法:抗精神病薬の服用で症状を改善し、再発を予防します。症状に応じて抗不安薬・抗うつ薬・睡眠薬を使用したり、抗精神病薬の副作用を抑える目的で抗パーキンソン病薬や便秘薬などが併用されます。
②精神科リハビリテーション:デイケアや作業療法、社会生活機能訓練、心理教育など様々なサービスがあります。

ブロナンセリンは、薬物療法として用いられる薬です。第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)の1つです。
統合失調症では、脳の中の中脳辺縁系と呼ばれる場所でドパミンの分泌や活動が異常を起こし様々な症状を引き起こすと考えられています。ブロナンセリンでは、このドパミンを抑えることで症状の改善が期待できます。また、ドパミンだけを全体的にブロックしてしまうだけではなく、セロトニンも同時にブロックすることで、薬の副作用の軽減にもつながっています。この同時にいくつかの特定の物質に対して効果を発揮する作用から、非定型抗精神病薬に分類されています。
非定型抗精神病薬の中でもブロナンセリンはドパミンに対する作用が強く、さらにセロトニン・ドーパミン拮抗薬として分類されています。

統合失調症の治療では、その症状に応じて適宜薬の量を調節したり、正しく薬を飲み続ける必要があります。副作用についてもとても不快な物も多くあるのは事実ですが、正しい薬の服用が必須です。自己判断で中止や減量したりするのではなく、必ず主治医に相談するようにしましょう。
現在では、統合失調症においても病状によっては運転免許証の取得が可能な仕組みとなっています。ですが、薬の添付文書では服用中の運転や危険な作業については避けることとされています。特に薬の種類が変わった時、服用する用量に変更があった時には普段にも増して注意するようにしてください。

使用方法

成人:ブロナンセリンとして、1回4㎎/2回/日/食後として服用開始します。その後徐々に増量し、維持量は1日8~16㎎/2回/日/食後として服用を続けます。年齢や症状によって薬の量は増減しますが、1日の薬の量は24㎎を超えないようにします。
小児:ブロナンセリンとして、1回2㎎/2回/日/食後として服用開始します。その後徐々に増量し、維持量は1日8~16㎎/2回/日/食後として服用を続けます。年齢や症状によって薬の量を調節しますが、1日の薬の量は16㎎を超えないようにします。

小児において増量する場合は、1週間以上の間隔を開けておこなうこと(安全性は確率されていません。)

副作用

重大な副作用
悪性症候群(5%未満)、遅発性ジスキネジア(5%未満)、麻痺性イレウス(頻度不明)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(頻度不明)、横紋筋融解症(頻度不明)、肺塞栓症(頻度不明)、肝機能障害(頻度不明)、高血糖・糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡(頻度不明)など

その他の副作用
5%以上:パーキンソン症候群(33.5%)、アカシジア(24.5%)、ジスキネジア(12.9%)、プロラクチン上昇(21.3%)、不眠(19.6%)、眠気(12.4%)、便秘・食欲不振・嘔吐、不安・焦燥感・易刺激性、めまい・ふらつき・頭痛、倦怠感、口渇など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ブロナンセリンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ロナセンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ロナセンの有効成分
ブロナンセリン
▼代表薬の添加物
ロナセン2・4㎎:乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
ロナセン8㎎:乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
ロナセン散2%:乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム

■他に使用できない方
①昏睡状態の患者さん
②中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者さん
③アドレナリン投与中の患者さん(アナフィラキシーショックの治療中を除く)
④アゾール系抗真菌剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、コビシスタットを含む薬を服用中の患者さん

使用に注意が必要な方
①心・血管系の疑いがある方:一時的に血圧が下がる可能性があります。
②パーキンソン病・レビー小体型認知症のある方:症状の悪化のおそれがあります。
③てんかんなどの痙攣性疾患の既往がある方:痙攣が起こりやすくなる可能性があります。
④自殺企図および自殺念慮のある方:症状を悪化させることがあります。
⑤糖尿病、高血糖、肥満や遺伝などの糖尿病の危険因子を有する方:血糖値の上昇をまねねくおそれがあります。
⑥脱水・低栄養の状態の方:悪性症候群が起こりやすいです。
⑦長期臥床の方:肺塞栓などの血栓症状が報告されています。
⑧肝機能障害のある方:血中濃度が上昇するおそれがあります。
⑨妊婦:治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ服用できます。妊娠後期の服用により、新生児に哺乳障害や傾眠、呼吸障害、振戦などの離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告があります。
⑩授乳婦:治療上のメリットと母乳栄養のメリットを考慮し、服用時の授乳の継続については検討する必要があります。動物実験においては、乳汁への薬の成分の移行が確認されています。
⑪小児など:低出生体重児、または12歳未満の小児への臨床試験は実施されていません。
⑫高齢者:生理機能の低下から、血中濃度が上昇するおそれがある為、錐体外路症状などの副作用が出現しやすいです。状態をしっかりと観察しながら、慎重に服用量を決定する必要があります。

上記にあてはまる方は、ブロナンセリンを使用する事が出来ない可能性があります。
ブロナンセリンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
中枢神経抑制剤、飲酒、ドパミン作動薬、レボドパ製剤、降圧剤、エリスロマイシン、グレープフルーツジュースなどは、薬の作用が強く出すぎる可能性があります。

上記を使用している方は、ブロナンセリンを使用する事が出来ない可能性があります。
ブロナンセリンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
アドレナリン→作用逆転から重篤な血圧降下を起こす可能性があります。

イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル、ロビナビル・リトナビル配合剤、ネルフィナビル、タルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビルなど→血中濃度の上昇から、薬の作用が強くなりすぎる可能性があります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ちょうど今たくさんの症状が重なっていて、毎日薬を飲むことが難しいです。この症状が落ち着くまで薬を休んでいいですか?

休まずに続けられる方法を主治医と一緒に探しましょう。
統合失調症の基本治療は薬物治療です。そしてその治療はできるだけ早期から始めた方がその後の予後も良いとされています。たくさんの症状で思うように行動ができない状況はつらいですよね。しかし、薬を飲まずにいるとさらに症状の悪化につながります。1人で続けるのが難しければ家族の協力を得たり、家族がいない場合には福祉サービス制度を利用したり、環境調整次第ではうまく続けられるかもしれません。それでも難しい場合には、1度使うと数週間効果が持続する注射という方法もあります。反対にデメリットも存在するのも事実ではありますが、様々な方法があるので、1人で悩まずまずは主治医へ相談しましょう。

テープ式の薬が出たと聞きました。どのようなものですか?

世界初、非定型抗精神病薬のテープ製剤として2019年9月より販売開始されています。これまでの統合失調症治療の主は飲み薬や注射でしたが、テープ剤の登場で、より充実した治療が期待されています。
メリット:目で薬の使用が確認できることにより、周囲の人も含めて薬の使用状況が確認でき、正確な薬の効果の評価ができること、再発予防の効果が上がることが挙げられます。次に、最適量に達するまで、飲み薬では細かなコントロールと長い時間を要するのに対し、テープ剤では血中濃度が最大量まで到達するまでの時間短く、量の増減も早く変更できることがあります。実際の使用成績から、高用量の方が効果が高いと科学的に裏付けもあります。それはテープ剤では小腸や肝臓の通過効果がなく効き目の個人差が小さくなっている為と考えられています。飲み薬と同様に、正しくテープを貼付する必要がありますが、貼付部位は胸部・腹部・背部のいずれも可能で、注射とは違い訪問看護師にもその援助ができる為、支援しやすいという点もメリットの1つです。
デメリット:皮膚の発赤やかゆみを生じる事があります。また、日光が直接あたる部位には貼付できないのも注意が必要です。
患者さんの状況に応じて、どの製剤が適切なのか、主治医と一緒に考えていきましょう。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。