ブロモバレリル尿素

成分名

ブロモバレリル尿素

適応症状

不眠症、不安緊張状態の鎮静

簡易説明

古くに開発され、現在はほとんど使用されることのない睡眠薬です。その背景には依存症や中毒性などが心配されるという事実があります。
脳細胞に作用することで脳全体の活動を抑えるとともに、身体の活動も鎮静化する働きがあります。呼吸や心拍数の抑制にも作用するため、服用の際には注意が必要です。
身体の緊張が強い方、不安が強く十分な睡眠が得られない方に使用されることが多い薬です。
かつては風邪薬としても使用されていた成分ですが、現在は厚生労働省によって風邪薬に使用することができなくなり、睡眠薬として医師の処方がある場合のみ使用される成分です。

処方可能な診療科目

内科/心療内科/精神科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診療代の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
 ブロモバレリル尿素原末「マルイシ」/7.7円(丸石製薬)
 ブロバリン原末/7.7円(日本製薬)
 ブロムワレリル尿素「ホエイ」/7.7円(マイランEPD)
 ブロムワレリル尿素「JG」/8.3円(日本ジェネリック)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1915年9月発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ブロバリン原末(日本製薬)

関連製品(ジェネリック)

ブロモバレリル尿素原末「マルイシ」(丸石製薬)
ブロムワムリル尿素「ホエイ」(マイランEPD)
ブロムワレリル尿素「JG」(日本ジェネリック)

海外での使用実績

1907年にSoamが創薬し、1908年にドイツ帝国のKnoll社がブロムラルの商品名で発売しました。アメリカ合衆国では、ブロムワレリル尿素を含む臭化物は医薬品として販売禁止されています。日本では1965年より総合感冒薬には使用できなくなっています。

効果・作用

非常に古くから使われている睡眠薬です。古くからの薬のため副作用も多く、それが問題視されているため、現在見かけることはほとんどありません。しかし、長期入院されている方のごく一部に使用されている方がいます。副作用の多さは問題視されていますが、睡眠へ導く効果はしっかりしています。脳全体を抑制する働きがあるため、場合によっては呼吸を抑制してしまったり中毒を起こしやすいとされています。耐性や依存性の問題もあり、大量投与を引き起こしかねません。
本剤は即効性に優れており、服用してから20分ほどで眠気が出始めます。効果の作用時間は4時間ほどですが、薬が体から抜けていくまでに非常に時間がかかるので、翌日の日中まで眠気を持ち越してしまう可能性があります。
本剤の主成分であるブロムワレリル尿素は、体内でブロムというイオンに変換されます。このイオンが細胞外液中でクロールイオンと競合することによって、脳神経の働きを鎮静することで脳全体を落ち着かせるという作用機序があります。この作用は脳全体に行き渡るため、身体活動をも鎮静させる働きがあります。そのため、主に睡眠薬として使われます。
不安が強い方、筋肉の緊張が強い方や不安が強いために十分な睡眠が得られない方などに使用されます。
しかし連用による耐性や依存症が心配されることから、長期的にまたは大量の服用は推奨されていません。
かつては市販薬として販売されていましたが、薬剤の危険性や使用目的が自殺である人が多かったり薬物乱用により依存症の人が増えるなどがあり、現在では販売制限がかかったり販売中止になるなど、規制が厳重になっています。
用量や期間を守っての服用が非常に大切で、減量の場合は離脱症状を生じるため、徐々に減量していくことが厚生労働省によって定められています。
服用後は眠気が継続して起こります。そのため、運転や機械の操縦・高所での作業などは、危険ですので行わないでください。行う必要があるとわかっているときの服用は避けてください。

使用方法

不眠症には、ブロモバレリル尿素として、通常成人1日1回0.5〜0.8gを就寝前又は就寝時経口投与します。
不安緊張状態の鎮静には、ブロモバレリル尿素として、1日0.6〜1.0gを3回に分割経口投与します。
なお、年齢、症状により適宜増減します。

副作用

重大な副作用
長期的な連用による依存症がみられることがあります。

その他の副作用
過敏症状(発疹、紅斑、そう痒感等)・悪心・嘔吐・下痢等の消化器症状・頭痛・めまい・ふらつき・知覚異常・難聴・興奮・運動失調・抑うつ・構音障害等の精神神経系症状・発熱などが確認されています。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ブロモバレリル尿素を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ブロバリン原末はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ブロバリン原末の有効成分
日本薬局方ブロモバレリル尿素1g
▼添加物は記載されていませんでした

■他に使用できない方
・過敏症の既往歴のある方

使用に注意が必要な方
・肝障害、腎障害のある方
・高齢者、虚弱者
・呼吸機能の低下している方
・小児等

上記にあてはまる方は、ブロモバレリル尿素を使用する事が出来ない可能性があります。
ブロモバレリル尿素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体)
・アルコール

上記を使用している方は、ブロモバレリル尿素を使用する事が出来ない可能性があります。
ブロモバレリル尿素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
過剰に服用してしまった場合はどうすればいいですか?

ブロムワレリル尿素と臭素の両方を考慮に入れる必要がありアセトアミノフェンを含有する場合は、これにも注意が必要です。ただし、1回摂取の急性中毒の場合は臭素が問題となることは少ないです。胃内に多量に残存している場合が多いので、催吐、胃内容物の吸引、胃洗浄、必要に応じ活性炭投与を行います。吸収されたブロムワレリル尿素の排泄促進には強制利尿が効果的で、留置カテーテルによる導尿を行い、フロセミド静脈注射を反復投与します。対処療法として昇圧剤、強心剤、呼吸興奮剤等の投与を、重症の場合は血液透析、血液灌流を行います。中枢神経抑制だけならば、気道の確保を中心とします。慢性の臭素中毒の治療には、塩化物を投与する方法もあります。
過剰投与によって自殺を図る方も中にはいます。周囲の人が気付いた場合には上記のような処置が必要なため、救急車を呼んだり医師へ迅速に連絡を取ることが必要です。
あまりにも過剰に服用してしまうと、命に係わる危険な薬剤でもあります。致死量は20~30gです。そのため、少しでも多めに飲んでしまったことが分かった場合は、速やかに医療機関へつなげ、適切な処置を行うようにしてください。

本剤は薬局で購入できますか?

まったく同じ成分を使用したリスロンSやカルモチンという商品がかつては販売されていましたが、現在は両剤とも販売中止となっています。その背景には、自殺のために大量に購入する人が多かったことや薬物乱用によって依存症になる人が増えたからだといわれています。市販薬では1錠あたり500mg以上を含有する薬剤は販売できず、市販薬としては1人1箱までの購入制限が設けられるなど、規制は厳重になっています。必ず医師の処方の下で、使用量と期間を守って服用するようにしてください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。