フェノバルビタール

成分名

フェノバルビタール

適応症状

不眠症/不安緊張状態の鎮静/てんかんのけいれん発作/自律神経発作、精神運動発 など

簡易説明

フェノバルビタールは、尿素と脂肪族ジカルボン酸とが結合した環状の化合物であるバルビツール酸系の抗てんかん薬で、不眠症・不安の鎮静や、てんかんの痙攣発作等で用いる薬になります。
日本では、藤永製薬がフェノバールの商品名で販売しています。
フェノバルビタールの抗不安薬や睡眠薬といった用途については、今では安全なベンゾジアゼピン系に置き換えられており、また、てんかんにおいても第一選択薬ではなくなっています。
連用により依存症になる恐れや、急激な量の減少により離脱症状を生じることがあり、向精神薬に関する条約のスケジュールⅣに指定され、また麻薬及び向精神薬取締法の第3種向精神薬に指定されています。

処方可能な診療科目

内科/心療内科/精神神経科/精神科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:フェノバール原末約26.7円/g(薬価)
フェノバール散10% 7.5円/g(薬価)
フェノバール錠30mg 7円/錠(薬価)
フェノバールエリキシル0.4%3.4円/mL
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1944年1月【フェノバール原末】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

フェノバール原末/フェノバール錠 30mg/フェノバールエリキシル 0.4%/フェノバール散 10%【藤永製薬】
フェノバルビタール散10%「マルイシ」【丸石製薬】
フェノバルビタール「ホエイ」原末/ フェノバルビタール散10%「ホエイ」【マイランEPD】
フェノバルビタール散10%「シオエ」【シオエ製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

2017年まででアメリカ、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、タイ、トルコ、ベネズエラでフェノバルビタール製剤の薬品が発売されています。

効果・作用

フェノバルビタールは不眠症・不安の鎮静や、てんかんの痙攣発作等として使用される、尿素と脂肪族ジカルボン酸とが結合した環状の化合物であるバルビツール酸系の抗てんかん薬です。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における、劇薬・習慣性医薬品に指定されており、フェノバルビタールの抗不安薬や睡眠薬といった用途については、現在は安全なベンゾジアゼピン系に置き換えられており、また、てんかんにおいても第一選択薬ではなくなっています。
GABAA受容体に作用し、中枢神経系における抑制系の増強で興奮を抑制します。作用の発現は遅く持続的で、長時間作用型とされています。

▼催眠鎮静薬における種類
フェノバルビタールはバルピツール酸系の長時間型の催眠鎮痛薬です。
この系統は続けているうちに効き目が減退したり、急に中止すると反発的な症状が強く表れる可能性があります。服用量の安全域も広くないため、不眠症に対しての処方で使用されることが少ないです。

▼国内ガイドライン
厚生労働省は2017年3月にフェノバルビタールの重大な副作用の項目に、「連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意して慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する。」旨を追加して、周知徹底のため関係機関に通達しています。
食欲減退の副作用がある為、無承認無許可医薬品として海外製ダイエットサプリメントでの検出事例があります。
フェノバルビタールの使用を中止の際には漸減が原則であり、急な中止は痙攣重積を生じる恐れがあります。

使用方法

▼不眠症治療
成人で通常1回30~200mgを就寝前に経口で投与します。年齢や症状などによって適宜増減を行って下さい。
※基本的に就寝の直前に服用します。就寝した後、睡眠途中で起床し仕事などをする可能性がある場合、使用しないで下さい。
▼不安緊張状態の鎮静、てんかんのけいれん発作、自律神経・精神運動発作
成人で通常1日30~200mgを1~4回に分けて経口で投与します。年齢や症状などによって適宜増減を行なって下さい。
※継続服用や投与量の増減が激しい場合、投与の中止を行うとてんかん重積状態が現れる可能性があります。中止する際は、徐々に減量するなど慎重に判断して下さい。
<共通基本注意点>
・継続使用中は定期的に腎・肝機能、血液検査を行うことが望ましいとされています。
・継続使用により薬物依存が生じる可能性があります。てんかん治療に使用する以外は、理由のない継続服用は避けて下さい。医師の判断のもと治療上の治療上の必要性を十分に検討して下さい。

副作用

重大な副作用
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
・紅皮症(剥脱性皮膚炎)(頻度不明)
・過敏症症候群(頻度不明)
・依存性(頻度不明)
・顆粒球減少(頻度不明)、血小板減少(頻度不明)
・肝機能障害(頻度不明)
・呼吸抑制(頻度不明)

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
・紅熱様発疹、麻疹様発疹、中毒疹様発疹
・血小板減少、巨赤芽球性貧血
・AST.ALT.γ-GTPの上昇等の肝機能障害、黄疸
・蛋白尿等の腎障害
・眠気、アステリキシス(asterixis)、眩暈、頭痛、せん妄、昏迷、鈍重、構音障害、知覚異常、運動失調、精神機能低下、興奮、多動
・食欲不振
・クル病、骨軟化症、歯牙の形成不全、低カルシウム血症
・甲状腺機能検査値の異常
・血清葉酸値の低下、ヘマトポルフィリン尿、発熱

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・フェノバルビタールまたはバルビツール酸系化合物に対して過敏症の方
・急性間欠性ポルフィリン症の患者

■フェノバルビタールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方フェノバールは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼フェノバールの有効成分
フェノバルビタール
▼フェノバール散10%の添加物
・乳糖水和物
・赤色三号アルミニウムレーキ
▼フェノバール錠30mgの添加物
・乳糖水和物
・バレイショデンプン
・タルク
・ステアリン酸マグネシウム
▼フェノバールエリキシル0.4%の添加物
・エタノール
・グリセリン
・プロピレングリコール
・サッカリンナトリウム水和物
・単シロップ
・パラオキシ安息香酸エチル
・赤色二号
・香料
・バニリン

使用に注意が必要な方
▼合併症・既往歴等のある方
・虚弱者
・頭部外傷後遺症、又は進行した動脈硬化症の患者
・心障害を持つ患者
・呼吸機能の低下している患者
・アルコール中毒患者
・薬物依存傾向、又は既往歴のある患者
・重篤な神経症の患者
・甲状腺機能低下症の患者
▼腎機能・肝機能障害患者の方
▼妊娠又は授乳を行っている方
・妊娠、妊娠している可能性のある女性
・授乳婦
▼小児等
▼高齢者の方

上記にあてはまる方は、フェノバルビタールを使用する事が出来ない可能性があります。
フェノバルビタールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<全共通>
▼相互に作用が増強される恐れがあります。
・中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、トランキライザー、トピラマート等)
・抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)
・アルコール
・MAO阻害剤
・三環系抗うつ剤(イミプラミン等)
・四環系抗うつ剤(マプロチリン等)
▼本剤の血中濃度が上昇し、作用が増減する恐れがあります。
・メチルフェニデート
・メチルフェニデート
・スチリペントール
・クロバザム
・イリノテカン
▼対象の薬剤の血中濃度が低下する恐れがあります。
・主にCYP3Aの基質となる薬剤
ーアゼルニジピン、イグラチモド、イマチニブ、カルバマゼピン、シクロスポリン、ゾニサミド、タクロリムス、フェロジピン、ベラパミル、モンテルカスト等
ー副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン等)
ー卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤(ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等)
ーPDE5阻害剤(タダラフィル、シアリス、ザルティア、シルデナフィル、バルデナフィル)
・アミノフィリン水和物
・クロラムフェニコール
・テオフィリン
・パロキセチン
・フレカイニド
・ラモトリギン
・デフェラシロクス
・カナグリフロジン
・ラルテグラビル
・ルフィナミド
・アピキサバン
・ソホスブビル
・レジパスビル・ソホスブビル
・グレカプレビル・ピブレンタスビル
・テノホビル アラフェナミド
・ドルテグラビル
・ドルテグラビル・ラミブジン
・ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン
・セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有商品
▼対象薬剤の作用が減弱する恐れがあります。
・クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
▼ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮する恐れがあります。
・ドキシサイクリン
▼起立性低血圧が増強される恐れがあります。
・利尿剤(チアジド系降圧利尿剤等)
▼クル病、骨軟化症の発症の恐れがあります
・アセタゾラミド
▼本剤の長期連用者は、代謝物による肝障害が起こりやすくなります。
・アセトアミノフェン

上記を使用している方は、フェノバルビタールを使用する事が出来ない可能性があります。
フェノバルビタールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
<全共通>
▼対象の薬剤の代謝が促進されて、成分の血中濃度が低下する恐れがあります。
・ボリコナゾール(ブイフェンド)
・タダラフィル(肺高血圧症を適応の場合:アドシルカ)
・アスナプレビル(スンベプラ)
・ダクラタスビル(ダクルインザ)
・マシテンタン(オプスミット)
・エルバスビル(エレルサ)
・グラゾプレビル(グラジナ)
・チカグレロル(ブリリンタ)
・ドラビリン(ピフェルトロ)
・アルテメテル・ルメファントリン(リアメット配合錠)
・ダルナビル・コビシスタット(プレジコビックス配合錠)
・リルピビリン(エジュラント)
・リルピビリン.テノホビル ジソプロキシル.エムトリシタビン(コムプレラ配合錠)
・リルピビリン.テノホビル アラフェナミド.エムトリシタビン(オデフシィ配合錠)
・ビクテグラビル.エムトリシタビン.テノホビル アラフェナミド(ビクタルビ配合錠)
・ダルナビル.コビシスタット.エムトリシタビン.テノホビル アラフェナミド(シムツーザ配合錠)
・エルビテグラビル.コビシスタット.エムトリシタビン.テノホビル アラフェナミド(ゲンボイヤ配合錠)
・エルビテグラビル.コビシスタット.エムトリシタビン.テノホビル ジソプロキシル(スタリビルド配合錠)
・ソホスブビル.ベルパタスビル(エプクルーサ配合錠)
・ドルテグラビル.リルピビリン(ジャルカ配合錠)

<対象:エリキシル 0.4%>
▼対象の薬剤とアルコール反応を起こす恐れがあります。(呼吸困難、視力低下、血圧降下など)
・シアナミド(シアナマイド)
・ジスルフィラム(ノックビン)
・プロカルバジン塩酸塩

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
使用する上で重要な注意点は何ですか?

フェノバルビタールは連用によって薬物依存が生じる可能性があります。てんかん治療に用いる場合以外、基本的に長期間における継続服用は避けて下さい。また眠気、反射運動能力の低下、集中力低下、注意が散漫になることがある為、本剤を投与中は自動車の運転など危険を伴う作業や操作は行わないよう注意して下さい。

販売している薬剤の形が様々ありますが、取扱いに気をつける点はありますか?

散剤であるフェノバルビタールは光によって徐々に変色する恐れがあります。主薬の含量自体に影響はありませんが、アルミ袋開封後は湿気を避けて遮光し、保存をして下さい。
またエリキシル0.4%というシロップタイプの薬剤は水で希釈し冷蔵庫などの低温場所で保存をすると、主薬が分離してしまう恐れがあるため、原則として希釈せず減益での服用が望ましいとされています。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。