アプレミラスト

成分名

アプレミラスト

適応症状

尋常性乾癬/関節症性乾癬/ベーチェット病による口腔潰瘍

簡易説明

アプレミラストはオテズラの一般名です。
2014年にオテズラはアメリカで承認されました。
アプレミラストは乾癬の内服治療薬で、日本でも2017年に承認され、現在では広く用いられています。
アプレミラストは以下の患者様に使われます。
・尋常性乾癬の患者様で外用剤などで皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ場合。
・関節の痛みや腫れなどの症状を有する乾癬。いわゆる関節症性乾癬の場合。
・局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍の場合。
通常、軽症例には使われません。外用剤による局所療法で効果不十分な中等症以上の患者様に用いられます。

処方可能な診療科目

皮膚科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約7,000円~約25,000円
薬代1錠あたりの目安:10mg約329.9円/20mg約659.8円/30mg約990円
スターターパック(最初の2週間)約22,770円/3週目以降(4週間分)約55,440円
薬大後発薬:30mg30錠約2,944円から
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2016年12月19日(製造販売承認日)

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

アプレミラスト錠【製薬会社:アムジェン】

関連製品(ジェネリック)

Aprezo(アプレゾ)

効果・作用

アプレミラストは乾癬の治療に用いられます。
乾癬とは紅斑・銀白色の鱗屑(りんせつ)の症状の事です。
鱗屑とは鱗屑がボロボロと剥がれ落ちる落屑などの皮膚症状と言われています。
こういった皮膚症状に加え炎症性関節炎をともなう関節症性乾癬、さらには膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症や滴状乾癬などの症状も知られています。
いずれも慢性に推移し、よくなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。

乾癬の約90%を占めると言われているのが尋常性乾癬です。
尋常性乾癬は普通にみられる皮膚病です。
はっきりした原因は不明ですが皮膚の新陳代謝が亢進し炎症とともに角質が増えてきます。
見た目が悪く、皮膚にわずかに盛り上がった赤い紅斑ができ、そこにフケのような垢や銀白色のカサブタ鱗屑ができるのが特徴的です。
このような乾癬を引き起こす原因のひとつに、PDE4による炎症性サイトカイン(炎症反応に関わる化学物質)と呼ばれる物質の産生亢進が考えられています。
本剤はPDE4を阻害することで炎症性サイトカインの産生を抑える作用があります。
そのため、アプレミラスト(オテズラ)は「PDE4阻害薬」とも呼ばれているのです。
cAMPに特異的な低分子の経口PDE4阻害剤。
ただ患者さんにおいて臨床的な薬理効果を発現する詳しい作用機序については明らかになっておりません。

アプレミラストを投与してから2~4週間程度の早い時期にかゆみがおさまりやすいと言われています。
ただし投与を開始してから24週間ほど経過してから症状が治まってくることもあるので個人差はあるようです。
かゆみ以外にも関節症状に対して改善効果があります。
一般的に治りにくいと言われる頭部、手のひら、足の裏、爪などの部位の病変の効果も見られています。
そして、尋常性乾癬に対する他の内服薬(角化症治療薬や免疫抑制薬)と比較するとメリットも見られます。そのメリットとは肝機能や腎機能障害などの重篤な副作用が起きる確率が低い事です。
このメリットにより定期的な血液検査が不要になります。

本剤を治療に使われる症状でベーチェット病もあります。
ベーチェット病は、皮膚や粘膜に激しい炎症を起こす慢性再発性の全身性炎症性疾患の事です。
主症状として口腔潰瘍(口内炎)、皮膚症状、外陰部潰瘍、眼症状が見られます。
そして関節炎、副睾丸炎、消化器病変、血管病変や中枢神経病変などさまざまな症状を伴うこともあります。
このお薬は、ベーチェット病による重い口腔潰瘍に有効です。
治療により、潰瘍の数が減り、痛みも軽減します。通常、ステロイド外用薬などによる局所療法で効果不十分な場合に用いられます。

尚、ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者や難治性の皮疹又は関節症状を有する患者に処方されます。
ただし、生物製剤(注射)には劣りますので、その代用にはならないようです。

使用方法

通常、成人にはアプレミラストは次のとおり経口投与していきます。
6日目以降はアプレミラストを1回30mgの量で1日2回、朝夕に経口投与することになります。
1日目:朝10mg /2日目:朝10mg、夕10mg / 3日目:朝10mg、夕20mg /4日目:朝20mg、夕20mg  /5日目:朝20mg、夕30mg6) / 6日目以降:朝30mg、夕30mg
本剤による治療反応は、通常投与開始から24週以内に得られるます。
したがって24週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考することが大事です。

副作用

主な副作用
嘔吐 ・消化不良 ・ 腹痛 、・上腹部痛 ・ 排便回数増加 ・腹部不快感 ・ 胃食道逆流性疾患 ・ 軟便 ・ 腹部膨満 ・ 緊張性頭痛 ・片頭痛 ・浮動性めまい ・不眠症・ うつ病 ・食欲減退・ 体重減少 ・疲労 ・乾癬・ 咳嗽 ・高血圧 ・そう痒症・ 発疹・ 背部痛など。

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な感染症 ・ 重度下痢 ・重篤な過敏症 ・アナフィラキシーです。
副作用は投与を開始したタイミングに生じやすいです。
全体の5%以上の確率で起きると分かっているのが吐き気や下痢や頭痛などの副作用です。
なので薬に体を慣らすために内服薬を徐々に増やしていく必要があります。
この副作用は基本的にあらわれてから2週間程度で改善することが多いです。
感染症の合併・再発のリスクがあるので注意が必要になります。
アプレミラストの投与を開始する前に感染症の有無をチェックすることがあります。
現在何かの感染症にかかっている患者さま、感染症が疑われる又は再発性感染症の既往歴のある患者さまなどの場合、アプレミラストを投与することによって感染症の病状が増悪する可能性があるためです。
こういった症状以外にも気分になんらかの変化が生じることがあります。
海外ではアプレミラストを投与したことによってうつ病になったり自殺を考えたりした方がいると報告もあります。
治療を開始したことをきっかけに、以前より落ち込みやすくなったり意欲が湧いてこないなど気分に変化が見られる場合もあるようです。
このような変化があった場合なるべく早めに相談をするようにしましょう。
重度の腎機能障害のある(Cockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス値が30mL/min未満)方は内服量を減らす必要があります。
もともと腎機能が低下している患者さまには、お薬の投与量を減らして処方する必要があります。腎機能が低下していると指摘されたご経験がある場合には、必ず前もってお伝えして下さい。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
本剤は、妊産婦、授乳婦に対する安全性は確立していません。
①妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与出来ません。
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与前に問診なとにより妊娠していないことを確認します。
本剤が胚胎児毒性のリスクを有する可能性があるためです。
これらを説明した上で投与を開始し、投与期間中は適切な避妊を行うよう指導します。
マウスで臨床用量の2.3倍に相当する用量で早期吸収胚数及び着床後胚損失率の増加、胎児体重の減少、骨化遅延か認められています。
サルで臨床用量の2.1倍に相当する用量で流産が確認されており、ヒトにおいて胚胎児毒性を引き起こす可能性が否定出来ません。
②授乳中の女性には投与しないことか望ましいです。
やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させる事が必要です。
本剤のヒトにおける乳汁への移行は不明です。
ただ、本剤を投与した動物試験(マウス)で乳汁への移行が報告されています。

使用に注意が必要な方
重い腎臓病・感染症のある人・B型肝炎や結核など再発性感染症の既往歴・うつ病の既往歴のある人・高齢の人など。
腎臓が悪いと薬の排泄が遅れ、血中濃度が上昇しやすくなります。
腎機能がひどく低下している場合は減量を考慮する必要もあります。
上記に当てはまる方は副作用の発現に注意しなければなりません。
また、感染症を悪化させるおそれがあるため、感染症のある人は慎重に用いなければいけません。高齢の人も副作用が出やすいので要注意です。

上記にあてはまる方は、アプレミラストを使用する事が出来ない可能性があります。
アプレミラストを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)、ケトコナソール、メトトレキサートなど。
・リファンピシン(リファジン)と本剤を併用した時、アプレミラストのAUC 及びCmaxはそれぞれ約72%及び43%減少しました。(外国人データ)
・ケトコナゾール
本剤とケトコナゾールを併用した時、アプレミラストのAUC及びCmaxはそれぞれ約36%及び%増加しました。(外国人データ)
・メトトレキサート
本剤とメトトレキサートを併用した時、アプレミラストのAUCτ 及びCmaxはそれぞれ約0.7%及び5%減少しました。(外国人データ)
さらに健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)にも同様の性質があることが知られています。
併用する場合には効果の減弱の可能性がありますので注意が必要です。

上記を使用している方は、アプレミラストを使用する事が出来ない可能性があります。
アプレミラストを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬を飲み忘れてしまった場合はどうしたらいいですか?

次の内服予定時間まで数時間以上ある場合には、気がついた時点で内服すれば問題ありません。
気がついた時点と次の内服予定時間が近い場合は、次のタイミングから内服を再開するのが望ましいです。ただし、2回分をまとめて内服することは決してしてはいけません。

薬はどのように保管すれば良いですか?

温度や湿度の高い場所を避け、室温で保管してください。

効き目に体重は関係ありますか?

関係ありません。120kgの大きな体の人が効いて60kgの人に効かないこともあります。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。