ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物

成分名

ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物

適応症状

爪白癬

簡易説明

この薬はホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物という成分のお薬です。2022年9月現在発売されているものは先発品のみでネイリンカプセル100mgという名前です。以下、この記事ではわかりやすくするためにネイリンカプセルと記載します。

ネイリンカプセルは爪水虫(爪白癬:つめはくせん)を治療する薬です。白癬菌を殺菌する効果を持っています。1日1回1カプセルを12週間服用します。

処方可能な診療科目

皮膚科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~2,000円
薬代1カプセルあたりの目安:814.90円(2022年9月19日調べ)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

製造販売承認年月日:2018 年 1 月 19 日
薬価基準収載年月日:2018 年 5 月 22 日
発売年月日:2018 年 7 月 27 日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

佐藤製薬株式会社
ネイリンカプセル100mg

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

●爪白癬(爪水虫)とは
爪白癬とは爪に手や足に感染した白癬菌(水虫の原因となる細菌)が侵入し、爪に住み着くことで起こります。足の親指に起こることが多く、足白癬や手白癬の悪化に伴って発症することが多いです。白癬菌というカビの一種が、ケラチンというたんぱく質を主食にして繁殖します。

白癬(水虫、いんきんたむし)の患者さんのうち20%が爪白癬を発症しているというデータがあります。男性に多く男女比は3:2です。

白癬はカビの一種であるため高温多湿のジメジメとした環境を好みます。そのため靴を毎日履き替えるなどして、靴の中をしっかりと乾燥させることが大切です。

爪白癬の症状は爪が白色や黄色に濁ったり、ポロポロと欠けたり、爪が厚くなったり、変形したりします。かゆみなどの症状はほとんどありません。爪が厚くなったり変形することで、高齢者の患者さんの起立、歩行障害、転倒事故の原因になることも指摘されています。

診断は爪の一部を採取して顕微鏡で観察したときに白癬菌がいれば爪白癬と診断されます。

●爪白癬の治療について
爪白癬の治療の目的は
・健康な爪を取り戻すこと
・悪化させないこと
・再発させないこと
・身近な人にうつさないこと
の4つが主にあげられます。

爪白癬は根気よく治療することで、健康できれいな爪を取り戻すことが出来ます。ですので、しっかり薬を飲んで、放置しないようにしましょう。

初期の段階での爪白癬は自覚症状がないことも多いですが、せっかく初期の段階で発見できたとしても放置していると、悪化して爪が変形して痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。これ以上の悪化を防ぐことも治療の目的の一つになります。

見た目がきれいになったとしても、白癬菌が残っていることがあります。適切なケアをしっかりと行い、定期的に医師の診察を受け、きれいな状態の爪を維持できるようにすることも治療の上で大切になります。

爪白癬も足の水虫と同様に人にうつります。家族にうつさないために治療を行います。

爪白癬の治療薬には内服薬と外用薬の2種類があります。内服薬は服用することで血液によって有効成分が爪まで運ばれて爪母(そうぼ)と呼ばれる爪の根元の部分から効果を発揮します。外用薬は爪の表面に塗ることで爪の中や爪床(そうしょう)とよばれる爪の裏と皮膚が接している部分まで浸透し、効果を発揮します。

●トリアゾール系抗真菌薬について
ネイリンカプセルはトリアゾール系抗真菌薬に分類されます。トリアゾール系抗真菌薬は真菌(カビ)の細胞膜の合成を阻害し、白癬症やカンジダ症などの真菌感染症と呼ばれる症状の治療を行います。詳しい作用の仕方(作用機序は下記に記載しています)

真菌症には多くの種類があります。深在性真菌症、深在性皮膚真菌症、表在性真菌症に分けられます。このことから、ネイリンカプセルは表在性真菌症の一種である爪白癬に効果を示しますが、真菌自体は全身のあらゆる場所で病気を引き起こしています。

深在性真菌症の主な病気は真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎などがあります。

深在性皮膚真菌症の主な病気はスポロトリコーシス、クロモミコーシスなどがあります。

表在性真菌症の主な病気には白癬、爪白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、口腔、皮膚、爪などのカンジダ症などがあります。

●ネイリンカプセルの作用機序について
ネイリンカプセルはトリアゾール系抗真菌薬の一種であり、その作用機序は同じです。

爪白癬を含む真菌感染症の原因となる真菌は細胞壁や細胞膜におおわれています。特に細胞膜がないと真菌は生存できません。ネイリンカプセルは真菌の細胞膜を壊していくことによって、抗真菌作用を表します。

真菌はとても丈夫な細胞壁におおわれており、細胞壁の内側には脂質を含む細胞膜が存在します。その細胞膜が細胞の中身となる細胞質を覆っています。壊せば真菌が合成できずに死んでしまう細胞膜の主要構成皮質にエルゴステロールという物質があります。エルゴステロールが無ければ真菌は細胞膜を構成することが出来ず、真菌は死んでしまいます。ネイリンカプセルを含むトリアゾール系抗真菌薬の作用はこのエルゴステロールの合成を阻害(邪魔)することによって、エルゴステロールが生成されず、細胞膜を不安定な状態にして、抗真菌作用を表します。

使用方法

1日1回1カプセルを12週間続けて服用します。
服用に関してこの薬の製造会社である佐藤製薬のホームページに「ネイリンを服用される患者さんへ」などといった多くの図がありわかりやすくまとめられている資料があります。医師や薬剤師による説明に加えてこれらの資料に目を通されることをお勧めします。

服用が終了しても完全に爪白癬が治ったわけではありません。追加で服用することもあるほか、定期的な医師による診察が必要です。

副作用

《重要な注意》
ネイリンカプセルを服用された患者さんの中で、肝機能障害が発現することがあるという報告がされています。肝機能障害の症状は体がだるい、白目が黄色くなる、吐き気、嘔吐、食欲不振、皮膚が黄色くなる、かゆみ、尿の色が濃くなるなどの症状があります。もしこのような症状が現れた場合はすぐに医師にご相談ください。肝障害の患者の方、血液検査で肝臓に関する値(AST、ALT、ALP、γ-GTP、LDH)に異常値や大きな変動があった方は医師にご連絡ください。

●主な副作用
γ-GTP増加 、 便秘 、 ALT増加 、 AST増加 、 口角口唇炎 、 腹部不快感 、 血中Al−P増加 、 消化不良 、 腹部膨満 、 上腹部痛 、 糜爛性胃炎

●重大な副作用
肝機能障害 、 AST上昇 、 GOT上昇 、 ALT上昇 、 GPT上昇 、 多形紅斑

●その他の副作用
高尿酸血症 、 ヘモグロビン減少 、 倦怠感 、 嘔吐 、 食欲不振 、 悪心 、 血中クレアチニン増加 、 皮脂欠乏性湿疹 、 血中LDH増加 、 湿疹 、 膀胱炎 、 紅斑 、 白血球数減少 、 痒疹 、 発疹 、 下痢 、円形脱毛症 、 赤血球数減少 、 口渇 、 眩暈、 白血球数増加

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
○ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物や添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまうため、服用できません。下記の添加物一覧をご確認ください。また他の白癬等の真菌感染症治療薬でアレルギー反応があった方は必ず医師または薬剤師にお伝えください。
・添加物一覧
酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、ラウリル硫酸ナトリウム

○妊娠または妊娠している可能性のある方
妊娠中の方やその可能性の高い方は服用しないでください。また、服用中、服用終了後3か月間は必ず適切な避妊を行ってください。動物実験の結果より、胎児に外表異常や眼の異常、骨格への影響、生存率低下、奇形などの影響が認められているほか、ラットにより胎盤通過も確認されており、胎児はもちろん母体への負担がかかるリスクが高くなっています。そのため、コンドーム、低用量ピル、IUDなどを可能であれば複数使用し、確実に着床しないようにすることが大切です。

また授乳中の方は母乳を通して赤ちゃんへネイリンカプセルの成分が移行するため、服用中の授乳は避けてください。

使用に注意が必要な方
・肝障害の患者の方
・ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)を服用されている方
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児の方(安全性が確立していません)

上記にあてはまる方は、ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物を使用する事が出来ない可能性があります。
ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

・CYP3A酵素で代謝を受ける薬剤
・シンバスタチン
・ミダゾラム
・ワルファリン
※他に薬を服用されている方は必ずおくすり手帳を薬剤師に見せてください。また別の医療機関を受診される際はネイリンカプセルを服用していることを医師、薬剤師に必ずお伝えください。

ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物に関する
よくある質問
健康な爪になるにはどのくらい時間がかかりますか?

一度変形、変色した爪は元に戻らないため、健康な爪になるには新しく爪が生え変わる必要があり、1年から1年半かかるとされています。

爪がきれいになりましたが服用をやめてもいいですか?

ご自身の判断で服用を中止することはしないでください。治療の目的として、健康な爪を取り戻す、悪化、再発させない、家族にうつさないという目的があります。医師により完全に治りこれらの心配がないとされるまでは服用を続け、定期的に診察を受けてください。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。