フルオシノロンアセトニド

成分名

フルオシノロンアセトニド

適応症状

湿疹/皮膚炎/蕁麻疹など

簡易説明

フルオシノロンアセトニドは1960年にアメリカのシンテックス社(現、ホフマン・ラ・ロッシュ社)で開発された局所抗炎症剤(合成副腎皮質ホルモン剤)です。
日本国内ではシンテックス社と提携した田辺製薬株式会社(現、田辺三菱株式会社)が開発し、1961年に「フルコート(以下、本剤)」の製品名でクリーム剤を発売、以降、軟膏剤、外用液、スプレー剤を剤型追加しました。

フルオシノロンアセトニドを用いた外用薬は一般用医薬品としても発売されています(抗生物質、フラジオマイシン硫酸塩との合剤です)。
製品名:フルコートf(指定第2類医薬品)
適応症:化膿を伴う次の諸症状(湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん)、化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
製薬メーカー:田辺三菱製薬株式会社

処方可能な診療科目

皮膚科

健康保険の適応

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚搔痒症、蕁麻疹(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、薬疹・中毒疹

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:クリーム・軟膏 90円(5g)、110円(軟膏のみ)~180円(10g)/外用液 190円(10mL)/190円(20g)、530円(57g)
※1本あたりの価格です。使用回数、処方本数等は症状等により異なります。
薬代1単位あたりの目安:クリーム・軟膏 17.50円(1gあたり)/外用液 18.50円(1mLあたり)/スプレー 9.30円(1gあたり)
薬代後発品1単位の目安:軟膏 10.80円(1gあたり)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1961年9月20日

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

フルコート(クリーム0.025%、軟膏0.025%、外用液0.01%、スプレー0.007%)【製薬メーカー:田辺三菱製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

フルオシノロンアセトニドアセトニド軟膏0.025%「YD」【製薬メーカー:株式会社陽進堂】

海外での使用実績

(台湾)
クリーム剤(製品名:膚潤康親水軟膏0.025%・FLUCORT CREAM 0.025%)、軟膏剤(膚潤康軟膏0.025%・FLUCORT OINTMENT 0.025%)【製薬メーカー:台湾田辺製薬股份有限会社】
(アメリカ)
軟膏剤(製品名:Fluocinolane Acetonide Ointment USP 0.025%)【製薬メーカー:IGI Labs,Inc.】

効果・作用

本剤は合成の副腎皮質ホルモン剤です。副腎皮質ホルモンには糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドと一部アンドロゲン(男性ホルモン)が含まれていますが、本剤のように抗炎症剤として用いられるのは糖質コルチコイドです。ステロイド剤とも呼ばれてます。
副腎皮質ホルモンは全身に様々な作用(副作用を含む)を及ぼしますが、本剤のような外用薬では主に使用部位の抗炎症作用が中心となります。しかし、本剤を長期・大量使用又は密封法(使用後にサランラップを巻く等)をすることで、全身投与と同様の症状(副作用)があらわれる場合があります。なお、おむつには密封法と同様の作用がありますので注意が必要です。
炎症は怪我や細菌の侵入などに対する生体防御反応です。炎症が起こると白血球(好中球、単球、マクロファージ等)が集まりますが、本剤はその働きを阻害することで抗炎症作用を示します。

この作用は国内で行われた臨床試験等で確認されています。
(クリーム・軟膏)
湿疹・皮膚炎群、搔疹群、乾癬、掌蹠膿疱症等を対象とした一般臨床試験
有効率:クリーム 82.6%(5,877/7,116)、軟膏 85.8%(381/444)
(外用薬)
湿疹・皮膚炎群、乾癬等を対象とした一般臨床試験
有効率:75.1%(352/469)
(スプレー)
湿疹・皮膚炎群、搔疹群、乾癬、掌蹠膿疱症等を対象とした一般臨床試験
有効率:85.6%(107/125)※有効成分量が同じで添加物が異なる製品の成績

使用方法

1日1~数回適量を患部に使用します。

副作用

【副作用発現状況と主な副作用】
(クリーム)
副作用発現率:7.4%(658例/8,899例)
主な副作用:皮膚乾燥 1.81%、皮膚刺激感 1.33%、症状悪化 1.09%、細菌感染 1.06%
(軟膏)
副作用発現数:3例/453例
発現した副作用:皮膚刺激感 1例(0.22%)、症状悪化 2例(0.44%)
(外用液)
副作用発現数:35例/499例
発現した副作用:皮膚刺激感 25例(5.0%)、皮膚乾燥 7例(1.4%)、細菌感染 2例(0.4%)、症状悪化 1例(0.2%)
(スプレー)※有効成分量が同じで添加物が異なる製品の成績
副作用発現数:8例/128例
発現した副作用:皮膚刺激感 8例(6.25%)

重大な副作用
眼圧亢進、緑内障(眼瞼皮膚に使用する場合)
後嚢白内障、緑内障(大量又は長期に広範囲に使用する場合)
※眼圧亢進の症状
初期には全く無症状(または充血、紅輪視、羞明、霧視、軽い眼痛、頭痛程度)ですが、進行すると、視野欠損、視力低下が起こります。幼児では羞明、流涙などがおこることがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)の方
感染症を悪化させるおそれがある為、使用出来ません。
■鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の方
穿孔部位の治癒の遅延や感染ののおそれがある為、使用出来ません。
■潰瘍、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の方
皮膚の再生が抑制され治癒が遅延するおそれがあるため、使用出来ません。
■フルオシノロンアセトニド及びフルオシノロンアセトニドを配合した医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、フルコートはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません。
▼フルコートの有効成分
フルオシノロンアセトニド
▼フルコートの添加物
(クリーム)
クエン酸水和物、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、シリコーン樹脂、ステアリン酸、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピルパラベン、プロピルパラベン、ポリソルベート60、メチルパラベン
(軟膏)
クエン酸水和物、ブチルパラペン、プロピレングリコール、ラウリン酸ポリエチレングリコール、ラノリン、ワセリン
(外用液)
クエン酸、プロピレングリコール
(スプレー)
イソプロパノール、クエン酸、プロピレングリコール、LPG(噴射剤)

使用に注意が必要な方
高齢者:一般に副作用があらわれやすいため注意が必要です。
妊婦、産婦、授乳婦:動物実験で胎児への悪影響が報告されています。
小児:発育障害をきたすおそれがあります。

上記にあてはまる方は、フルオシノロンアセトニドを使用する事が出来ない可能性があります。
フルオシノロンアセトニドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

フルオシノロンアセトニドに関する
よくある質問
使用方法に注意点はありますか?

化粧下やひげそり後に使用しないでください。
眼科用としては使用しないでください。
傷口、びらん面などには使用しないでください。(外用薬、スプレー)
(スプレー)
患部まで約10cm離して使用し、1ヵ所に3秒以上使わないでください。
眼や鼻などに入らないよう注意してください。
フルオシノロンアセトニド(フルコート 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

保存方法に注意点はありますか?

室温保存が可能ですが、スプレーは下記に注意してください。

保管及び注意:
高圧ガスを使用した可燃性の製品であり、危険なため、下記の注意を守ること。
1)炎や火気の近くで使用しないこと。
2)火気を使用している室内で大量に使用しないこと。
3)高温にすると破裂の危険があるため、直射日光の当たる所や火気等の近くなど温度が40℃以上となる所に置かないこと。
4)火の中に入れないこと。
5)使い切って捨てること。
高圧ガス:液化石油ガス

フルコートスプレー 添付文書

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

参考元一覧

フルオシノロンアセトニド(フルコート 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

フルオシノロンアセトニドを含む(フルコートf 添付文書) 【PMDA 一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。