パンテノール

成分名

パンテノール

適応症状

1)パントテン酸欠乏症の予防及び治療
2)パントテン酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦等)
3)下記疾患のうち、パントテン酸の欠乏症又は代謝障害が関与すると推定される場合
〇ストレプトマイシン及びカナマイシンによる副作用の予防及び治療
〇接触性皮膚炎、急・慢性湿疹
〇術後腸管麻痺
(上記3.に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。)

簡易説明

パンテノールは、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種に該当します。体内に吸収される事で、必須ビタミンとされおりますビタミンB5(パントテン酸)に変換されることから、別名「プロビタミンB5」と呼ばれております。
パンテノールはパントテン酸のアルコール誘導体であり、パントテン酸と比較して安全面で優れていると言われております。さらに、パントテン酸の生理作用に加えて保湿作用もある為、医療用医薬品のみならず多くのスキンケア商品やヘアケア製品に配合されております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/皮膚科/小児科/産婦人科/血液内科/消化器内科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~6,000円
薬代1管あたりの目安:100mg約60円/250mg約60円/500mg約60円
薬代後発薬1管の目安:100mg約60円/250mg約60円/500mg約60円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。また入院加療が必要な場合は別途入院費及び差額自己負担分の費用が発生します。詳細についてはかかりつけの医療機関へお問い合わせください。

厚生労働省による認可、または発売年月日

100mg 1959年3月20日 製造販売承認
250mg 1962年11月26日 製造販売承認
500mg 1967年3月14日 製造販売承認

100mg 1960年6月1日 薬価基準収載
250mg 1965年11月1日 薬価基準収載
500mg 1970年8月1日 薬価基準収載

100mg 1959年4月8日 発売
250mg 1962年12月10日 発売
500mg 1970年8月10日 発売

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

パントール注射液100mg/250mg/500mg【製薬メーカー:トーアエイヨー株式会社】

関連製品(ジェネリック)

パンテノール注100mg「KCC」/250mg「KCC]/500mg「KCC」【製薬メーカー:共和クリティケア株式会社】

効果・作用

パンテノールは医療用医薬品として下記効能・効果への使用が認められております。
1)パントテン酸欠乏症の予防及び治療
2)パントテン酸の需要が増大し、消耗性疾患や甲状腺機能亢進症、また妊産婦、授乳婦等の食事からの摂取が不十分な際の補給
3)ストレプトマイシン及びカナマイシンによる副作用の予防及び治療、接触性皮膚炎、急・慢性湿疹、術後腸管麻痺の疾患のうち、パントテン酸の欠乏症又は代謝障害が関与すると推定される場合

【作用機序】
生体内に投与されたパンテノールは、体内で酸化されることによりパントテン酸へと変換されます。パントテン酸は更にCoenzymeA(CoA)→アセチルCoAとなって、TCAサイクルにおけるオキザロ酢酸のアセチル化、神経刺激伝達に不可欠であるアセチルコリンの生成、其の他酢酸、芳香族アミン、グルコサミン、アミノ酸等体内重要物質のアセチル化に関与しております。

パンテノールは健常ウサギの呼吸、循環系、腸運動にほとんど作用を示しませんが、実験的に虫垂を切除したウサギの腸運動を更新する事が認められております。この作用機序は、アセチルコリンの生成を促し、腸管の緊張増大や神経伝達の改善等により腸管蠕動を促進すると考えられております。

その他にも、ストレスを緩和し、イライラを抑える副腎皮質ステロイドホルモンの合成や、神経伝達物質と呼ばれるアセチルコリンの合成にも関与しており、我々の体の生理機能の維持に欠かせない必須栄養素なのだと言われております。

【その他期待される効果】
1)創傷治癒効果
パンテノールは肌が生まれ変わるサイクルを活性化させたり、線維芽細胞の増殖を促したりすることで、傷の治りを早くする効果があることが分かっております。
2)乾燥を改善する効果
パンテノールは肌に浸透しやすく、非常に高い保湿効果を持つことから、肌にツヤとうるおいを与えて、肌のキメを整えてくれると言われております。また、パンテノールはパントテン酸に代謝された後、ビタミンCと共に肌においてのコラーゲン生成を助ける事で保湿効果をさらに強めたり、肌の小じわやハリ等を改善する効果もあると報告されております。
3)ニキビや痒みを改善する効果
パンテノールは体内においてパントテン酸に変換された後、白血球細胞に働きかけて抗炎症作用を持つことが知られております。その為、肌のかゆみや赤み、ニキビの症状を軽減する効果も期待できると言われております。その他、ホルモンバランスが乱れた時にできるニキビの一因としてパントテン酸が関与する事が分かっており、大人ニキビの予防にも役立つと考えられております。
4)肌のバリア機能を高める効果
パンテノールは、脂質の合成と表皮の分化を促進する事で、皮膚におけるバリア機能の修復を促進することができます。バリア機能を修復する事で強化する事と、合わせて抗炎症作用を持つことから、パンテノールは紫外線からの皮膚保護作用も報告されております。
5)育毛効果
パンテノールは毛母細胞を活性化させることで、毛髪の成長を促して抜け毛や薄毛などに効果を発揮すると言われております。また頭皮も肌の一部である為、パンテノールによって肌のターンオーバーが活性化されることで頭皮環境がよくなり、丈夫な毛髪を育てることができます。その為、パンテノールは市販薬として育毛剤によく配合されております。
6)髪にうるおいやツヤを与える効果
パンテノールは高い保湿効果を持つため、毛髪を潤してツヤを与える作用があります。また頭皮を保湿して抜け毛を防ぐ効果もある為、シャンプー・コンディショナー・トリートメント等の多くのヘアケア製品に配合されております。
7)頭皮のかゆみを抑える効果
パンテノールの抗炎症作用により、頭皮のトラブルや掻痒を抑える効果があります。特に、乾燥による痒みには高い効果が期待出るとされております。
8)眼への効果
パンテノールは疲れ目やドライアイを改善する目薬の成分としても使用されております。パンテノールは、ムチンという涙を安定化する粘液を増加させることによって、角膜を保湿する事によってドライアイを改善する効果があります。
更にパンテノールは、エネルギー物質であるATPの賛成を増加さる為、神経伝達物質であるアセチルコリンの原料となることから、眼のピント調節を行う毛様体筋を動かしやすくして疲れ目を改善する効果があると言われております。
9)肥満体質への効果
パントテン酸は脂質の代謝に関わっている為、パントテン酸やパントテン酸誘導体を補給する事で、余分な脂質の代謝を促進する事で、メタボリックシンドロームの改善に対し、効果があるという報告がございます。また、HDL(善玉)コレステロールを増加させることで、動脈硬化や心疾患を予防する効果も期待できると言われております。

使用方法

通常、成人においてはパンテノールとして1回20~100mgを1日1~2回、術後腸管麻痺には1回50~500mgを1日1~3回、必要に応じては6回まで、皮下、筋肉内又は静脈内注射する事とされております。
なお、使用する患者の年齢や症状により適宜増減する事とされております。

副作用

パントール注射液は使用成績調査等の副作用についての発現する頻度が明確となるような調査は実施しておりません。

重大な副作用
重大な副作用についての記載は明記されておりません。

その他の副作用
消化器
腹痛、下痢(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
血友病の患者(出血時間を延長させる恐れがある為投与しないこととされております。)

使用に注意が必要な方
小児
1)低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立しておりません。
2)低出生体重児、新生児に使用する場合には十分な注意が必要とされております。

その他の注意
低カリウム血症、機械的腸閉塞症の患者(臨床効果は得られておりません。)

上記にあてはまる方は、パンテノールを使用する事が出来ない可能性があります。
パンテノールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

パントール注射液については併用禁忌並びに併用注意に該当する医薬品は明記されておりません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
パンテノールを摂りすぎたらどうなるか?

過剰摂取によるリスクは、ほとんど報告されておりません。摂りすぎたパントテン酸は、水溶性ビタミンの為尿中にすぐ排出されるためです。

パンテノール欠乏症の症状はどのようなものか?

成長停止や副腎障害、生理的な悪影響(手や足の痺れと灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃部不快感を伴う食欲不振など)が起こると報告されております。

食事から摂取するには何を摂ったらよいか?

パントテン酸は、広く食品に含まれますが、特に多いのはレバー、納豆、鮭やイワシなどの魚介類、肉類、卵などです。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。