紫雲膏

成分名

紫雲膏

適応症状

火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷

簡易説明

江戸時代より受け継がれてきた、漢方の代表的な外用薬です。
生薬という天然由来の成分を使用しているため、副作用はほとんどありません。
また外用薬という点から、多種多様な方が使用できる薬です。
ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎など、使用できる疾病は多岐にわたります。
以上のことから、安心安全に使用することができる薬であることがわかります。
材料さえそろえれば家庭でも作ることができるお手軽な漢方の外用薬で、古くから家庭の常備薬として重宝されています。
必要最低限の成分のみ配合されているため、添加物は使用されていません。

処方可能な診療科目

皮膚科/肛門科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:ツムラ紫雲膏/12.5円(ツムラ)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1984/8/1

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ツムラ紫雲膏【製薬メーカー:ツムラ】

関連製品(ジェネリック)

クラシエ紫雲膏(クラシエ)
紫雲膏(山本漢方製薬)
紫雲膏(松浦薬業)
紫雲膏(小太郎漢方製薬)
紫雲膏(アルフレッサファーマ)
紫雲膏(大晃生薬)
紫雲膏(大草薬品)
ピーチラック紫雲膏(漢方生薬研究所)

効果・作用

江戸時代の名医“華岡青洲”創案の軟膏で、「外科正宗」に収載され、今日まで受け継がれて来た外用の漢方薬の代表的なものです。
中国で書かれた漢方の古典に「外科正宗」があり、ここに潤肌膏(じゅんきこう)という漢方薬が記載されています。
この潤肌膏を元にして、紫雲膏が創出されました。
華岡青洲は1804年(文化元年)に経口麻酔薬である通仙散を作ったことで知られています。
この薬を用いて、世界で初めて乳がんの手術を行ったすごい人です。
ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎など、多岐にわたる皮膚疾患に使用することができます。
皮膚疾患に対して治癒を促すのが本剤の効能です。
炎症を抑えたり、傷の治りをよくする作用があることが知られています。
皮膚がカサカサしていて潤いがない、熱感があるというような症状の方に処方されることが多いです。
逆にジュクジュクしている傷口や分泌物が多くて化膿している状態、年月の経っている傷などにはあまり効果がなく、適応されることはほとんどありません。
本剤の主成分は生薬です。
そのため副作用はほとんど見られず、外用薬のため多種にわたる方に使用することができます。
紫根(しこん)、当帰(とうき)、胡麻油(ごまゆ)、蜜蝋(みつろう)、豚脂(とんし)という5種類の天然由来の成分が含まれています。
紫根には、抗菌作用や解熱・抗炎症作用があります。
または肉芽形成を促すため、皮膚の創傷に重要な役割を果たしています。
シコンエキスは痔疾用内服薬である内服ボラギノールEPにも配合されています。
シコンの主成分であるシコニンにはほかにも抗腫瘍作用などが報告されているが、薬理作用や作用機序等の十分な検討は行われてきませんでした。
2005年から4年間にわたりペルーで実施された臨床試験では、紫雲膏のリーシュマニア症に対する有効性が報告されました。
これは肉芽形成促進作用と抗原虫作用によるものと考えられるが、作用機序は未解明です。
他にも、当帰には血行促進作用があり、これに保湿作用のある胡麻油、蜜蝋、豚脂を組み合わせます。
薬の効果を調べる試験でも、創傷治癒を促進する作用が動物実験などで確認されています。
以上のことから、安心安全に使用できることがわかります。
材料さえそろえれば、家庭でも調剤することができるお手軽な漢方の外用薬です。
すぐに皮膚へ吸収されますが、紫色をした特有の軟膏であるため、衣服への着色などには注意が必要です。
また、豚脂を使用しているため、特有のにおいがあります。

使用方法

患部を清潔にしたのち、1日数回適量を直接患部に塗布、あるいはガーゼにのばして貼付します。

副作用

主な副作用
過敏症(発疹・そう痒感)などがあらわれる場合があります。
このような症状がみられた場合は使用を中止し、速やかに医療機関へ受診してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・重度の熱傷、外傷のある方
・化膿性の創傷で高熱のある方
・患部の湿潤やただれのひどい方

上記にあてはまる方は、紫雲膏を使用する事が出来ない可能性があります。
紫雲膏を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ステロイド剤と併用しても問題ないですか?

添付文書には、併用注意薬の記載などはないため基本的には問題ないと考えられますが、注意したほうが良いケースもあります。たとえば、アトピー性皮膚炎の治療にステロイド外用薬を使用している人は、紫雲膏を併用する前に担当医に相談してください。皮膚の状態によっては、紫雲膏の効果がある場合と逆効果となる場合があります。その他の外用薬であっても、一度医師に相談してから使用するようにしてください。

小児への使用で注意すべきことはありますか?

メーカーによっては、小児へ使用できるものと推奨されていないものがあります。メーカーによって異なりますので、使用前に必ず添付文書を確認してください。また、2歳以下の乳児や幼児については、市販薬の使用よりも医師の診察の方が優先されます。乳幼児に紫雲膏を使いたい場合はまずは医師へご相談ください。

顔や陰部への使用はできますか?

本剤を使用することもできますが、効能・効果の欄に記載がない症状に関しては自己判断で使うことはできません。また顔へ使用する際は目に入らないように注意し、広範囲へ塗布することは避けてください。

家庭での調剤の仕方を教えてください。

まず用意するものはゴマ油50mL・蜜ロウ10g・豚油1g・トウキ4g・シコン4gです。
ゴマ油50mLを鉄製の空き缶(上部を缶切りで開けたもの)に入れ、約140℃を保って1時間加熱します。加熱後、蜜ロウ10g、豚油1gを加えて、さらに約140℃を保って20分加熱します。トウキ4gをガーゼ2枚で包み、内容物がこぼれないようにタコ糸で縛った後、余分のガーゼを切り取ったものを加えてピンセットで絞るなどしながら、約140℃を保って20分間抽出した後、ピンセットで取り出し充分に絞ります。ガーゼ4枚で包んだシコン4gを加え、同様に約140℃を保って15分間加熱します。加熱を停止し、少し冷ました後、固化する前に軟膏容器5つに分け、さらに冷まします。
以上の過程で製剤することができます。現在では市販薬も販売されていますので、そちらのほうがお手軽かもしれません。作ってみたい方はインターネットに掲載されていますので、ぜひそちらを参考にしてください。

参考元一覧

紫雲膏 【添付文書】
紫雲膏 【効能】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。