ビホナゾール

成分名

ビホナゾール

適応症状

足部白癬/体部白癬/癜風/皮膚カンジダ症/股部白癬/カンジダ症の間擦疹/カンジダ症の指間糜爛症 など

簡易説明

ビホナゾールを主成分とする薬剤は、白癬、皮膚ガンジダ症、癜風などの皮膚疾患の治療に用いられます。

上記3疾患、白癬は「白癬菌」が外部から皮膚に入り込むこと、皮膚ガンジダ症は「ガンジダ菌」という元々ヒトに住み着く菌が免疫低下などにより異常増殖すること、癜風は「マラセチア」というヒトの皮膚に住み着いている常在菌が増殖することによってそれぞれ発症するのですが、これら3つの菌はいずれも「真菌(カビの一種)」と呼ばれる菌の一種です。

ビホナゾールには、真菌が細胞膜を合成することを阻止するはたらき(抗真菌作用)があります。さらに同成分は、体内でその濃度が高くなると真菌の細胞膜に直接はたらきかけて、特異な化学反応を起こして細胞膜の性質を変化させる、殺菌的にも作用するようになります。

真菌はその構造上、細胞膜なしでは生きていけません。
そのため当該成分を主とする薬剤は、標記各疾患の治療に効果を発揮するのです。

処方可能な診療科目

皮膚科/感染症内科/泌尿器科/産婦人科/性病科/アレルギー科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約3,000円~5,000円
薬代の目安:1%1g 9.9~21.9円
薬代後発薬の目安:1%1g 9.2~9.9円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

日本:1986年11月28日(発売)
国際誕生:1982年11月30日

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

・マイコスポールクリーム1%(製薬会社:バイエル薬品)
・マイコスポール外用液1%(製薬会社:バイエル薬品)

関連製品(ジェネリック)

・ビルミチンクリーム1%(製薬会社:武田テバ薬品)
・マイコゾールクリーム1%(製薬会社:共和薬品)
・ビフォノールクリーム1%(製薬会社:東光薬品)
・ビホナゾールクリーム1%「サワイ」(製薬会社:沢井製薬)
・ビホナゾールクリーム1%「YD」(製薬会社:陽進堂)
・ビホナゾールクリーム1%「F」(製薬会社:富士製薬)
・ビホナゾールクリーム1%「イワキ」(製薬会社:岩城製薬)
・ビホナゾールクリーム1%「武田テバ」(製薬会社:武田テバ薬品)
・ビスコポールクリーム1%(製薬会社:龍角散)
・マリンゾールクリーム1%(製薬会社:佐藤製薬)
・ビスコポール外用液1%(製薬会社:龍角散)
・ビクロノール外用液1%(製薬会社:岩城製薬)

効果・作用

ビホナゾールの作用は、「体内に存在する、感染症を引き起こし増悪させる常在菌の生成を阻止、あるいはその菌に直接はたらきかけることによって、その感染症の症状を改善する」というものです。

ヒトは、生まれると同時に菌に感染します。胎内では無菌状態にありますが、産道や外気、また周囲の人間から菌が付着するのがその始まりです。
付着した菌の一部は皮膚、口腔内、消化管などに住み着き、「常在菌」となります。

常在菌は細菌の一つではありますが、必ずしも人体に有害なものばかりではありません。
無害なもの、むしろ有益なもの、特定の条件下でのみ害を及ぼすものなど種類によって様々です。
実際、ヒトの体を形成している細胞が約30兆個なのに対し、常在菌は体内外で約40~100兆個存在するといわれています。これは個人差こそありますが、疾患の有無に関わらず誰もがほぼ一律です。

そうしてヒトと共生している常在菌ですが、種類または取り巻く環境により、時として人体に害を及ぼすことがあります。例えばそれが皮膚に現れた場合、「白癬」「皮膚ガンジダ症」「癜風」といった疾患となります。

上記3疾患は、それぞれ「白癬菌」「ガンジダ菌」「マラセチア」という常在菌の増殖により発現するのですが、それらの菌はすべて「真菌(カビの一種)」と呼ばれる細菌に属しています。
つまり真菌の増殖を抑えることが、上記皮膚疾患の治癒に直結するということです。

本成分ビホナゾールには、抗真菌作用や殺真菌作用があります。

真菌は自給自足で生きていくことが出来ないため、生命を維持するには外界から糖やタンパクを取り入れなければなりません。ただ外界には真菌にとって害になるものもあるので、""必要な成分のみ""を選択的に取り入れる必要があり、その役割を果たしているのが細胞膜です。

真菌の細胞膜構成成分の一つに「エルゴステロール」があります。
これはアセチルCoAという物質がいくつかの工程を経て、メバロン酸、ラノステロールなどに形を変えながら最終的に合成されるものです。

その際、各工程において反応速度を上げるために、工程特有の酵素が用いられます。

ビホナゾールはその酵素の一つ「ラノステロールC-14脱メチル化酵素」にはたらきかけ、同酵素を失活させます。それによりエルゴステロールの合成、すなわち真菌の生命維持に不可欠な細胞膜の生成が抑えられ、真菌の増殖が断たれることで皮膚疾患治癒の効果が得られるのです。
なおビホナゾールは体内でその濃度が高くなると、真菌の細胞膜に含まれるリン脂質と反応を起こして細胞膜の性質を変化させる殺真菌作用も呈するようになります。

使用方法

通常1日1回、患部を清潔にして適量を塗布します。
お風呂上がりは角質層が柔らかくなり皮膚の浸透が良くなるため、そのタイミングで塗布することが効果的ではありますが、医師から指示された使用方法に従うことを最優先にしてください。

使い忘れに気付いた時は、思い出したその時に塗布してください。2回分をまとめて塗布してはいけません。

副作用

重大な副作用
皮膚局所刺激感/皮膚炎/発赤/紅斑/皮膚そう痒/皮膚糜爛/鱗屑/皮膚亀裂/皮膚水疱/皮膚軟化/皮膚乾燥

その他の副作用
皮膚浮腫/蕁麻疹

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ビホナゾールに対し、過敏症の既往歴のある方

使用に注意が必要な方
■他のイミダゾール系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある方

■妊婦(3か月以内)または妊娠している可能性のある女性
妊娠中の使用に関する安全性は確立していません。
そのため標題に該当する方は、治療上の有益性が危険性を上回るという医師の判断があった場合のみ使用するようにして下さい。

■授乳婦
ラットを用いた動物実験において、成分が乳汁中へ移行することが報告されています。
そのため標題に該当する方は、治療上の有益性が危険性を上回るという医師の判断があった場合のみ使用するようにして下さい。

上記にあてはまる方は、ビホナゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
ビホナゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

報告はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ビホナゾールを主成分とする薬剤の使用にあたり、上記以外で注意する点はありますか?

まず当該薬剤は外用です。服用は出来ません。
また角膜や結膜、著しいびらん面には決して使用しないでください。
びらん面や亀裂には注意を払いながらでしたら使用することは出来ますが、使用前に必ず医師に相談し判断を仰いでください。

ビホナゾールの作用に「細胞膜構成成分の合成阻止」がありますが、これは人体を構成する細胞の細胞膜には影響しないのですか?

真菌の細胞膜は主に「リン脂質」「エルゴステロール」、ヒトの細胞膜は主に「リン脂質」「コレステロール」で構成されています。
ビホナゾールはエルゴステロールの合成を阻止する物質ですので、人体を構成する細胞の細胞膜には影響しません。

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