グリセリンカリ

成分名

グリセリンカリ

適応症状

手足の亀裂性皮膚炎/手足の落屑性皮膚炎など

簡易説明

グリセリンカリは、皮膚の角質を軟らかくして乾燥を防止する物質です。
主成分はグリセリンと水酸化カリウムで、いずれも角質を軟化させるはたらきがあります。
さらにグリセリンは、多くの化粧水に用いられる程に高い保湿作用も持っています。
これらの作用により、皮膚の亀裂や炎症を改善する効果が得られます。
ただし人によって皮膚刺激感やかゆみなどが生じる可能性がありますので、使用の際には注意が必要です。

処方可能な診療科目

皮膚科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代10mgあたりの目安:6.5円~12.6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1979年1月(発売)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

・グリセリンカリ液(山善)【製薬会社:山善製薬】
・グリセリンカリ液FM【製薬会社:フヂミ製薬所】
・グリセリンカリ液「マルイシ」【製薬会社:丸石製薬】
・グリセリンカリ液「ニッコー」【製薬会社:日興製薬】
・グリセリンカリ液「ケンエー」【製薬会社:健栄製薬】
・グリセリンカリ液「JG」【製薬会社:日本ジェネリック】
・グリセリンカリ液「東豊」【製薬会社:東豊薬品】
・グリセリンカリ液「司生堂」【製薬会社:司生堂製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

グリセリンカリは、グリセリンと水酸化カリウムを主成分とする物質で、「亀裂性湿疹」(あかぎれ)や「落屑性皮膚炎」(皮膚が粉をふいたり、患部の体液が出てきたりする疾患)の改善に効果を示すものです。

グリセリンカリは、グリセリンと水酸化カリウムを主成分とする物質で、「亀裂性湿疹」(あかぎれ)や「落屑性皮膚炎」(皮膚が粉をふいたり、患部の体液が出てきたりする疾患)の改善に効果を示すものです。
近年グリセリンカリは、保険薬局のみならず、ドラッグストアや通販サイトでも販売していて、安価での購入が可能です。
そして皮膚疾患の治療だけでなく、肌の角質や黒ずみのケアといった美容の分野でも広く用いられています。
そのように身近で手軽に使用出来るグリセリンカリですが、本来美容用ではなく医学の世界で使われる医薬品として開発されたものですので、使用にあたっては、効果作用に関して注意が必要です。
主成分の一つ水酸化カリウムは、単体ではpH12(*)を示す強アルカリ性物質です。
その強いアルカリには皮膚を溶かす作用があります。
同物質は石鹸の原材料として有名ですが、石鹸使用時、皮膚がぬめる感覚があります。
あの感覚は、同物質の作用で皮膚の表面が薄く溶けることにより生じるものです。
その作用は、皮膚疾患治療においては、硬くガサガサになったり毛羽立ったりしてしまった肌の表面を滑らかにするのにとても有用です。
ただし、同物質が身体の粘膜に付くと危険です。
粘膜自体を溶かしてしまい、例えば付着したのが目の粘膜であれば、手当が遅れると最悪の場合失明に至ります。
また同作用は、美容の分野では肌の角質や黒ずみを削るのに有用とされています。
しかし、グリセリンカリは元々「治療が必要な程に硬くなった皮膚」に使用するものとして安全性が確立されている医薬品ですので、そうではない健康な肌に長期間使用したり、デリケートな部分に用いたりすると、傷が付く、炎症が起こるなどの肌トラブルが生じる恐れがあります。
もう一つの主成分グリセリンは保湿効果が非常に高い物質です。
そのため化粧品の基本成分として汎用されていて、化粧水や保湿クリーム、美容液などに多く配合されています。
同物質は、高濃度のものであれば吸水能が高く、皮膚に塗布するとかえって水分を奪われたり、水と混ざると発熱したりするなどの危険がありますが、そうでなく安全基準を満たして販売されているものであれば、特に問題はありません。
以上よりグリセリンカリは、主成分の
・グリセリンと水酸化カリウムが、角質を軟化して皮膚の表面を滑らかにする
・グリセリンが強く保湿する
2つの作用があるので、塗布することにより、皮膚の亀裂や炎症を改善する効果が得られるのです。
(*)pHは水溶液の性質を示すための指数です。(基本的に)すべての水溶液はpH0~pH14に分類されます。pH7を中性として、数字が小さいほど酸性が強く、数字が大きいほどアルカリ性が強いことを示します。

使用方法

通常、1日1〜数回適量をそのまま患部に塗布します。

副作用

グリセリンカリを主成分とする医薬品に於いて、使用成績調査などの副作用発現頻度が明確になるような調査は実施されていません。
そのため頻度は不明ですが、皮膚刺激感や発赤、かゆみが生じたケースが報告されています。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■グリセリンカリを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方

下記添加物にアレルギーをお持ちの方は、グリセリンカリ液(山善)はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません。
▼グリセリンカリ液(山善)の有効成分
・水酸化カリウム
・グリセリン
▼グリセリンカリ液(山善)の添加物
・香料
・エタノール

■湿潤やただれのひどい方
現在の症状が悪化したり、副作用が発現しやすくなったりする恐れがあります。

上記にあてはまる方は、グリセリンカリを使用する事が出来ない可能性があります。
グリセリンカリを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬、併用注意薬とも特に報告はありません。

ただし他に薬(大衆薬を含む)を使っている場合、お互いに作用を強めたり弱めたりする可能性がありますので、併用の際は念のため医師や薬剤師にご相談ください。

よくある質問
グリセリンカリの使用にあたり、上段記載のもの以外に注意する点はありますか?

上段記載のもの以外の注意点としては
・皮膚が刺激に対して弱くなることがあるので、長期連続使用を避けること
・副作用が強く出る可能性があるので、ガーゼに染み込ませて患部にあてるなどの使い方をしないこと
・粘膜だけでなく、傷口や炎症部位にも使用しないこと
・第二石油類、水溶性、危険等級IIIと定められており、火気厳禁であること
・気密容器に保存する必要があること
などが挙げられます。

グリセリンカリは粘膜に付着すると危険とのことですが、万が一目に入った場合はどのように対処すればいいですか?

万が一目に入った場合は、すぐに水またはぬるま湯で洗い流して下さい。それでも違和感が残る場合は眼科を受診してください。

グリセリンカリを主成分とする医薬品「グリセリンカリ液」は「ベルツ水」とも呼ばれますが、両者の違いは何ですか?

ベルツ水は、グリセリンカリ液の別名ですので全く同じものです。
明治時代、箱根の旅館に滞在していたドイツ人医師ベルツが、その旅館で働いていた女性の手が荒れているのを見て調合したためこの名が付きました。
日本薬局方名はグリセリンカリ液です。

グリセリンカリ液について、処方薬と市販薬の成分は同じですか?

同じです。
.グリセリンカリ液は指定医薬部外品(*)ですので、処方薬と全く同じ成分のものが市販されています。

(*)指定医薬部外品とは、元は医薬品として扱われていたものが、後に医薬部外品に移行した品目のことです。
一部のビタミン剤や整腸剤など、効き目の穏やかな医薬品がその対象になり得ます。
医薬品は薬局・薬店でしか購入出来ませんが、医薬部外品に移行することでスーパーやコンビニでも取り扱えるようになります。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。