成分名 |
ボセンタン水和物 |
適応症状 |
ボセンタン水和物は代表医薬品として成人に用いるトラクリア錠62.5mg及び小児に用いるトラクリア小児用分散錠32mgがあります。
適応症は、WHO機能分類クラスⅡ、Ⅲ及びⅣにあたる肺動脈性肺高血圧症、そして現在手指潰瘍を有している、又は手指潰瘍の既往歴のある全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制の2点に対して使用が認められております。 |
簡易説明 |
ボセンタン水和物の代表薬であるトラクリア錠62.5mgはエンドセリン受容体拮抗薬と呼ばれる医薬品になります。小児にも使用できるようトラクリア小児用分散錠32mgも発売されました。経口投与可能な非蛋白性のET-1レセプター拮抗物質で、ETA及びETB受容体に対する非選択的拮抗薬になります。臨床試験の結果を経て肺動脈性肺高血圧症並びに手指潰瘍の発症抑制に効果がある事が示され日本でも発売に至りました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/精神科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:62.5mg約3,540円
薬代後発薬1錠の目安:62.5mg約720円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
トラクリア錠62.5mgは2005年4月11日に製造販売が承認され2005年6月3日に薬価基準収載、その後2005年6月10日に発売されました。
小児適応を持つトラクリア小児用分散錠32mgは、少し遅れて2015年9月28日に製造販売承認され、2015年11月26日に薬価基準収載し、その後2016年1月12日に発売となりました。 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
トラクリア錠62.5mg【製薬メーカー:ヤンセンファーマ株式会社】
トラクリア小児用分散錠32mg【製薬メーカー:ヤンセンファーマ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ボセンタン成人用DS6.25%「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売株式会社】
ボセンタン錠62.5mg「DSEP」【製薬メーカー:第一三共エスファ株式会社】
ボセンタン錠62.5mg「VTRS」【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】
ボセンタン錠 62.5mg「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売株式会社】
ボセンタン錠62.5mg「JG」【製薬メーカー:長生堂製薬株式会社】 |
効果・作用 |
ボセンタン水和物を主成分とするトラクリア錠62.5mgは、WHO機能分類クラスⅡ、Ⅲ及びⅣにあたる肺動脈性肺高血圧症、そして現在手指潰瘍を有している、又は過去に手指潰瘍を経験したことのある全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制にたいして効果のある医薬品になります。
その作用機序として、エンドセリンー1は神経ホルモンであり、その作用は内皮細胞のETB受容体及び血管平滑筋のETA受容体と結合する事により発揮されます。肺高血圧症患者における血漿と肺組織とではエンドセリンー1の濃度が上昇している事から、このことは、エンドセリンー1が肺高血圧症の病因的な役割を果たしていることを示唆しています。ボセンタンは、エンドセリン受容体ETAとETBの両受容体に非選択的に結合する拮抗薬です。両方の受容体を阻害する事により、エンドセリンー1は受容体に作用する事が出来ず、血管の収縮、及び細胞の増殖・肥大、さらに細胞外マトリックス産生等の全てを抑制しました。
【薬効薬理】
1)血管収縮の阻害
臨床試験において実験動物から摘出した内皮を剥離した大動脈において、エンドセリンー1刺激による収縮、そして上皮を剥離した気管のサラフォトキシンS6c刺激による収縮の両方とも阻害した。
2)細胞増殖の阻害
臨床試験において自然発生した高血圧の実験動物より採取した動脈における血管平滑筋の細胞、また気管における平滑筋の細胞におけるエンドセリンー1刺激による細胞の増殖を阻害した。
3)血管内皮機能の改善
臨床試験において実験動物の心臓を採取し、虚血/再灌流時の冠血管でのAChが誘発された内皮依存性弛緩反応の低下を改善し、内皮機能を高めた。
4)コラーゲン産生の抑制
全身性強皮症患者の線維芽細胞から産生されるコラーゲンの産生を抑制した。 |
使用方法 |
【トラクリア錠62.5mg】
通常、成人に投与する場合、初回投与開始日から4週間は1回62.5mg(1錠)を1日2回朝夕食後に投与します。投与5週間目以降は、1回量を125mg(2錠)に増量し、1日2回朝夕食後に投与します。なお、用量は患者の症状や忍容性などに応じて適宜増減する事が認められておりますが、最大1日250mgまでとされております。
【トラクリア小児用分散錠32mg】
通常、乳児、幼児又は小児に投与する場合には、1回量として2mg/kgを1日2回朝夕に、都度少量の水に分散させ投与する事とされております。但し、最大投与量としては1回120mg、1日240mgまでとされており、小児の体重が60kgを超える場合には注意が必要です |
副作用 |
重大な副作用
1)重篤な肝機能障害(1.3%)
2)汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血(頻度不明)
3)心不全、うっ血性心不全(頻度不明)
その他の副作用
精神神経系、心臓障害、血管障害、呼吸器、胸郭及び縦隔障害、胃腸障害、肝胆道系障害、皮膚及び皮下組織障害、筋骨格系及び結合組織障害、全身障害及び投与局所様態、診療検査、代謝及び栄養障害の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)10%以上
頭痛、肝機能異常、筋痛、倦怠感、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γーGT(GTP)上昇、白血球数減少、ヘモグロビン減少
2)10%未満
体位性眩暈、動悸、ほてり、潮紅、血圧低下、背部痛、下肢浮腫、疲労、Al-P上昇、赤血球数減少、好酸球数増加、ヘマトクリット減少
3)頻度不明
浮動性眩暈、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、皮膚炎、掻痒症、発疹、発熱、浮腫、血小板数減少、ビリルビン上昇、体液貯留
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
2)中等度あるいは重度の肝障害のある患者
3)シクロスポリンまたはタクロリムスを投与中の患者
4)グリベンクラミドを投与中の患者
5)本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
■ボセンタン水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、トラクリア錠62.5mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼トラクリア錠62.5mgの有効成分
ボセンタン水和物
▼代表薬の添加物
・トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチNa、ポビドン、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸Mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリアセチン、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、エチルセルロース水分散液
使用に注意が必要な方 1)投与開始前のAST(GOT)、ALT(GPT)値のいずれか又は両方が基準値上限の3倍を超える患者
肝機能障害を憎悪っせる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)高齢者
3)低血圧の患者
血圧を一層低下させる恐れがある為使用には注意が必要です。
4)ワルファリンを投与中の患者
本剤との併用によりワルファリンの効果が減弱する事がある為使用には注意が必要です。
上記にあてはまる方は、ボセンタン水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ボセンタン水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)ワルファリン
2)ケトコナゾール、フルコナゾール
3)HMG-CoA還元酵素阻害薬(シンバスタチン等)
4)リファンピシン
5)カルシウム拮抗薬
6)経口避妊薬
7)グレープフルーツジュース
8)セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品
9)プロスタグランジン系薬物(ベラプロストナトリウム、エポプロステノールナトリウム)
10)PDE5阻害薬(クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィル)
11)HIV感染症治療薬(リトナビル等)
上記を使用している方は、ボセンタン水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ボセンタン水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 1)シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
2)グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ボセンタン水和物に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【ヤンセンファーマ株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】 |
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