ニフェカラント塩酸塩

成分名

ニフェカラント塩酸塩

適応症状

・生命に危険のある心室頻拍で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合
・生命に危険のある心室細動で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合

簡易説明

ニフェカラント塩酸塩は、カリウムチャネルを遮断することで不整脈を改善する薬剤です。ほかの薬剤が使えない、もしくは無効な方に効果を示します。消失半減期が短いため、もし効果を示さなかった場合でも投与中止をすることで速やかに薬剤が体内から消失します。もともとはバイエル株式会社が開発しましたが、現在は製造販売権が承継され、トーアエイヨー株式会社が発売しています。

処方可能な診療科目

循環器内科/総合内科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
シンビット静注用50mg 【製薬メーカー:トーアエイヨー】50mg1瓶4194円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1999年9月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

シンビット静注用50mg【製薬メーカー:トーアエイヨー】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

海外では発売されていません。

効果・作用

ニフェカラント塩酸塩は、カリウムチャネルを遮断することで心筋の活動電位持続時間の延長をもたらし、抗不整脈効果を発揮する薬剤です。心筋収縮力に対する影響は少ないとされていることが大きな特徴です。

心筋梗塞を持っているイヌの心室を電気で刺激し、誘発された心室頻拍・細動抑制作用を検討しました。その結果、ニフェカラント1.0mg/kgを静脈内投与すると、心室頻拍・細動の発生を抑制又は重症度を有意に改善することが認められました。これにより、心機能抑制は認められず、ニフェカラントによる心室有効不応期延長作用に基づくことが示唆されました。

多剤で無効なの重症心室頻拍患者の自然発作7例に対して国内第Ⅱ相試験を実施しています。本剤を単回で静脈注射したところ、頻拍停止効果が認められました。効果「改善」以上と判定された 5例のうち 3例は静注によって自然発作が停止しました。さらに他の2例は直流通電によっても停止しなかった発作が本剤静注後に直流通電により停止可能となりました。結果、心室頻拍発作を停止した改善度は71.4%と効果が示されました。

また、本剤の維持静注中に電気生理学的検査法を用いて心室頻拍の誘発性に及ぼす影響を3試験で検討した誘発発作抑制試験を実施しています。いずれの試験においても予防効果が確認されました。評価を統一してまとめたところ、心室頻拍発作の予防の有効率は31例中15例で認められ、48.4%でした。

使用方法

生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して使用しますが、単回か維持療法かで投与方法が異なっています。

〈単回静注法〉
1 回0.3mg/kgを 5分間かけて心電図の連続監視下に静脈内に投与します。年齢、症状により増減可能です。
〈維持静注法〉
単回静注が有効で効果の維持を期待する場合には、 1時間あたり0.4mg/kgを等速度で心電図の連続監視下に静脈内に投与します。年齢、症状により増減可能です。

副作用

主な副作用
主に催不整脈、QT時間延長、ALT上昇 、LDH上昇、ほてりなどがあげられます。
循環器・・QT時間延長(1~3%未満)、洞停止/QRS拡大(0.1~1%未満)、洞性徐脈/徐脈/房室ブロック(頻度不明)
皮膚・・発疹(0.1~1%未満)、皮膚潰瘍形成/皮下組織膿瘍(頻度不明)
肝臓・・ALT上昇/LDH上昇(1~3%未満)、γ-GTP上昇/AlP上昇/総ビリルビン上昇(0.1~1%未満)、AST上昇(頻度不明)
腎臓・・BUN上昇/血中クレアチニン上昇(頻度不明)
血液・・血小板減少/白血球増加/リンパ球減少/好中球増多(0.1~1%未満)、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少)(頻度不明)
代謝異常・・総蛋白低下/アルブミン低下/Cl低下/K上昇/Na低下/K低下/尿酸上昇(0.1~1%未満)、
消化器・・下痢/口渇(0.1~1%未満)
その他・・ほてり(1~3%未満)、胸部不快感/胸内熱感/注射部疼痛/あくび/重感(0.1~1%未満)、CK上昇/静脈炎/注射部炎症/注射部発赤腫脹/注射部硬結/注射部膿瘍(頻度不明)

重大な副作用
重大な副作用として、催不整脈(3%以上)が起こることがあります。
初期症状としては、Torsades de pointesを含む心室頻拍、心室細動、心室性期外収縮、心房細動、心房粗動等に注意をしてください。
もし症状があらわれた場合には、すぐに投与を中止するとともににリドカイン、硫酸マグネシウムの静注、直流通電等適切な処置を行ってください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ニフェカラント塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ニフェカラント塩酸塩の有効成分
ニフェカラント塩酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、pH調節剤

・以前、ニフェカラント塩酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・QT延長症候群の方は本剤の作用によりQT時間が更に延長し、Torsades de pointesを含む心室頻拍を誘発させる恐れがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・著明な洞性徐脈のある方は、徐脈を助長させる恐れがあるため注意をしてください。
・刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある方は刺激伝導障害を増悪させる恐れがあるため注意をしてください。
・血清カリウム低下のある方はTorsades de pointesを含む心室頻拍等の催不整脈作用が発現する恐れがあるため注意をしてください。
・重篤な腎機能障害のある方は本剤の血漿中未変化体濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じる恐れがあるため注意をしてください。
・重篤な肝機能障害のある方は、本剤の血漿中未変化体濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じる恐れがあるため注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性は、催奇形作用が報告されているため注意をしてください。
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、ニフェカラント塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ニフェカラント塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<プロカインアミド/キニジン/ジソピラミド(Ⅰa群不整脈用剤)、アミオダロン経口剤/ソタロール(Ⅲ群不整脈用剤)>
<プロブコール、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、四環系抗うつ剤、交感神経作動薬>
<バルデナフィル塩酸塩水和物、モキシフロキサシン塩酸塩、トレミフェンクエン酸塩>
<利尿剤>
本剤の作用が増強する可能性があるため併用には注意をしてください。

上記を使用している方は、ニフェカラント塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ニフェカラント塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
<アミオダロン注射剤(アンカロン注150)>
併用により、Torsades de pointesを起こす可能性が高くなるため併用できません。
<フィンゴリモド塩酸塩(イムセラ、ジレニア)>
フィンゴリモド塩酸塩の投与により心拍数が低下し、併用により不整脈を増強させる恐れがあるため併用できません。
<エリグルスタット酒石酸塩(サデルガ)>
併用によりQT延長等を生じる恐れがあるため併用できません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ニフェカラント塩酸塩に関する
よくある質問
シンビット静注用50mgで効果不十分の場合にはどうしたらよいですか?

対応方法としては4点あります。①電気的除細動(DC)を施行・・本剤はDCによる除細動閾値を低下させるという報告があります。

②本剤の増量・・QTの延長度やVT/VFの再発状況などを見ながら随時増量や静注の追加を行います。

③他剤(アミオダロン)へ変更・・QTc>550msecでも効果不十分であればアミオダロンへの変更を考慮してください。

④β遮断薬を併用・・洞頻脈や心房細動などのレートが高い状況がニフェカラントの効果を減弱させていると考えられる場合は、少量のβ遮断薬の併用を考慮してください(徐脈を誘発するとTdP発生の危険性が高くなるため)。

シンビット静注用50mg 効果不十分な場合

【上記引用元:トーアエイヨー医療関係者向け情報】

単回静注を繰り返し行う場合に気を付けることはありますか?

単回静注を繰り返し行う場合には、血中濃度の過剰な上昇を回避するため、直前の投与後 2 時間以上の間隔をあけて投与してください。

用法及び用量に関連する注意

【上記引用元:シンビット静注用50mg医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

シンビット静注用50mgの基本情報 【日経メディカル】
シンビット静注用50mg添付文書

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