カルベジロール

成分名

カルベジロール

適応症状

カルベジロールの適応症状は使用する用量によって異なります。低用量の使用では虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全のみが適応になります。少し量を増やすと頻脈性心房細動が適応追加されます。そのあとは一律で、軽症から中等症における本態性高血圧症、腎実質性高血圧症、狭心症に適応を持ちます。但し最大容量の使用時には虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全の適応は持ちません。

簡易説明

カルベジロールはα1受容体遮断薬作用を併用するβ受容体遮断薬と呼ばれる医薬品になります。α1受容体遮断作用はβ受容体遮断作用に比べるとそれほど強くはないですがそれでも血管拡張作用を有し相加的に作用します。また使用する用量によって適応症状が異なることが特徴的です。その適応症状も高血圧症から心不全まで広域にわたり効果を示しますが、いずれのガイドラインにおいても第一選択薬としては使用する事はほぼありません。

処方可能な診療科目

内科/外科/泌尿器科/産婦人科/脳神経外科内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:1.25mg約10円/2.5mg約17円/10mg約26円/20mg約48円
薬代後発薬1錠の目安:1.25mg約10円/2.5mg約17円/10mg約12円/20mg約14円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【アーチスト錠1.25mg】
2002年10月8日製造販売承認
2002年12月6日薬価基準収載
2002年12月12日発売
【アーチスト錠2.5mg】
2002年10月8日製造販売承認
2002年12月6日薬価基準収載
2002年12月12日発売
【アーチスト錠10mg】
1993年1月19日製造販売承認
1993年3月19日薬価基準収載
1993年5月12日発売
【アーチスト錠20mg】
1993年1月19日製造販売承認
1993年3月19日薬価基準収載
1993年5月12日発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アーチスト錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:第一三共株式会社】

関連製品(ジェネリック)

カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「DSEP」【製薬メーカー:第一三共エスファ株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「Me」【製薬メーカー:Meiji Seikaファルマ株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「VTRS」【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「タナベ」【製薬メーカー:ニプロESファーマ株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「アメル」【製薬メーカー:共和薬品工業株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
カルベジロール錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg「TCK」【製薬メーカー:辰巳化学株式会社】
Dilatrend 6.25mg/25mg Tablet(製薬メーカー:Deva社)

海外での使用実績

2018年4月時点では約470以上の国で承認されております。
主な販売国はオーストラリア、オーストリア、ベルギー、チリ、チェコ、エクアドル、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、アイルランド、イタリア、メキシコ、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア連邦、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、アラブ首長国連邦、ベトナム、米国、英国等になります。

効果・作用

カルベジロールは軽症から中等症の本態性高血圧症、腎実質性高血圧症、狭心症、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全、頻脈性心房細動に対して効果のある医薬品になります。α1受容体遮断作用とβ受容体遮断作用の両方を持ち合わせている為幅広い症状に対して効果を示します。しかしその分併用注意薬も多く設定されている為飲み合せには特に注意が必要になります。

薬理作用における作用部位ですが交感神経のβ1受容体、β2受容体、α1受容体に作用します。
比率としてはβ1:β2=7:1であり、またα:β=1:8との報告がございます。
カルベジロールは前述の通りα受容体遮断作用による末梢血管拡張作用と、β受容体遮断作用における心拍出量の低下により降圧作用を示しております。
また、β受容体遮断作用及び後負荷の軽減によって、心筋における酸素の消費量を減少させ、心筋での酸素の需要と供給のバランスを是正する事によって、抗狭心症作用を示します。その作用は低用量においても心機能を改善し、心不全の悪化を予防すると言われております。

高血圧はよくサイレントキラーと呼ばれております。ほおっておくと結果として脳卒中や心筋梗塞を発症し最終的には死んでしまうこともあります。自覚症状がないからと言って放置せず定期的に健康診断を受け、もし血圧で引っかかった場合には病院を受診し主治医とよく相談するようにしましょう。

使用方法

カルベジロールはその規格用量ごとに適応症状が設定されております。

まずはカルベジロール錠1.25mgのみが適応症状を持つ虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全についてです。
通常成人においては1回1.25mgを1日2回食後に経口投与するところから始まります。投与に問題なければ1週間以上の間隔を持ちながら様子を見つつ徐々に段階的に増量していきます。増量していった結果1回2.5mg~10mgを1日2回食後経口投与するところを維持量として見ております。
なお、患者の年齢や、その症状によってはさらに低用量から開始しても良いと言われております。維持量についても適宜増減する事が可能です。

次にカルベジロール錠2.5mgを使用した場合の適応症についてみていきましょう。
2.5mgを使用した場合においては前述した慢性心不全に加え、頻脈性心房細動が追加されます。
頻脈性心房細動の場合には、通常、成人に1回5mgを1日1回経口投与するところから開始します。期待する効果が得られなかった場合には10mgを1日1回、20mgを1日1回へと段階的に増量していきます。なお、こちらも患者の年齢や症状によって適宜増減する事ができますが、最大投与量としては20mgを1日1回までに設定されております。

続いてカルベジロール錠10㎎を使用した場合の適応症になりますがこちはすべての適応症に対して使用する事が可能です。
軽症から中等症の本態性高血圧症、腎実質性高血圧症については、通常成人には1回10mgから20mgを1日1回経口投与します。なお、患者の年齢や症状によって適宜増減する事が可能です。
狭心症については、通常成人においては1回20mgを1日1回経口投与する事とされております。こちらも同様に年齢や症状によって適宜増減する事とされております。

最後にカルベジロール錠20mgを使用した場合について見ていきますと、こちらは虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全以外のすべてについて適応症を持ちます。
用法・用量については前述したとおりになります。

副作用

重大な副作用
重大な副作用はすべて頻度不明として報告されております。頻度は不明ですが副作用自体が重症なものが多い為注意が必要になります。
1)高度な徐脈、ショック、完全房室ブロック、心不全、心停止
2)肝機能障害、黄疸
3)急性腎不全
4)中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
5)アナフィラキシー

その他の副作用
過敏症、循環器、呼吸器、精神神経系、消化器、代謝、肝臓、腎臓・泌尿器、血液、眼、その他の副作用が挙げられます。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
発疹等(0.1~5%未満)
掻痒感等(0.1%未満)
2)循環器
徐脈、低血圧(0.1~5%未満)
動悸、頻脈、心房細動、期外収縮、脚ブロック、血圧上昇、心胸比増大、顔面潮紅、四肢冷感(0.1%未満)
房室ブロック、狭心症(頻度不明)
3)呼吸器
喘息様症状、咳嗽(0.1~5%未満)
呼吸困難、息切れ、鼻閉(0.1%未満)
4)精神神経系
めまい、眠気、頭痛(0.1~5%未満)
失神、不眠、抑うつ、注意力低下、異常感覚(四肢のしびれ感等)(0.1%未満)
5)消化器
悪心、胃部不快感(0.1~5%未満)
嘔吐、便秘、下痢、食欲不振、腹痛(0.1%未満)
6)代謝
血糖値上昇、尿酸上昇、CK(CPK)上昇、総コレステロール上昇、ALP上昇、LDH上昇(0.1~5%未満)
低血糖、尿糖、トリグリセリド上昇、カリウム上昇(0.1%未満)
糖尿病悪化、カリウム低下、ナトリウム低下(頻度不明)
7)肝臓
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等(0.1~5%未満)
8)腎臓・泌尿器
腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)(0.1~5%未満)
尿失禁、頻尿、蛋白尿(0.1%未満)
9)血液
貧血、白血球減少(0.1%未満)
血小板減少(頻度不明)
10)眼
霧視(0.1%未満)
涙液分泌減少(頻度不明)
11)その他
浮腫、脱力感、倦怠感(0.1~5%未満)
勃起不全、耳鳴、疲労感、胸痛、䬶痛、発汗、口渇(0.1%未満)

慢性心不全に至っては上記副作用並びに発生頻度が若干異なっております。いずれの場合においても服薬する事により異常が認められた場合においては必要に応じ投与を中止し直ちに主治医に相談するようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)気管支喘息、気管支痙攣の恐れのある患者:気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある為投与できません。
2)糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者:心筋収縮力の抑制が増強されるおそれがある為投与できません。
3)高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロックのある患者:症状が悪化するおそれがある為投与できません。
4)心原性ショックの患者:循環不全症が悪化する恐れがある為投与できません。
5)強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者:心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある為投与できません。
6)非代償性の心不全患者:心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある為投与できません。
7)肺高血圧による右心不全のある患者:心拍出量が抑制され症状が悪化するおそれがある為投与できません。
8)未治療の褐色細胞腫の患者
9)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
10)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

■カルベジロールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アーチスト錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アーチスト錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mgの有効成分
カルベジロール
▼代表薬の添加物
・乳糖水和物、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、プロピレングリコール、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、 黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ、低置換度
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)

使用に注意が必要な方
1)特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態、栄養状態が不良の患者
2)糖尿病を合併した慢性心不全患者
3)重篤な肝機能障害のある患者
4)重篤な腎機能障害のある患者
5)房室ブロック(Ⅰ度)のある患者
6)徐脈のある患者
7)末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、、間欠性跛行症等)
8)過度に血圧の低い患者
9)高齢者

使用に注意が必要な方の多くは症状の悪化を来す恐れがある為です。体調に異変を感じる場合は直ちに主治医に相談するようにしましょう。

上記にあてはまる方は、カルベジロールを使用する事が出来ない可能性があります。
カルベジロールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤(レセルピン等)
2)血糖降下薬
3)カルシウム拮抗薬(ベラパミル塩酸塩等)
4)ヒドララジン塩酸塩
5)クロニジン塩酸塩
6)クラスⅠ抗不整脈薬(ジソピラミド、プロカインアミド塩酸塩等)
7)アミオダロン塩酸塩
8)シクロスポリン
9)リファンピシン
10)シメチジン
11)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(パロキセチン塩酸塩等)
12)ジギタリス製剤(ジゴキシン等)
13)利尿降圧剤
14)交感神経刺激剤(アドレナリン等)
15)非ステロイド性消炎鎮痛剤

相互に作用する医薬品は非常に多いです。併用禁忌の医薬品はありませんが併用する事で望まない効果が得られる可能性もあります。多剤服薬している方はもちろん自分の飲んでいる薬は大丈夫か等しっかりと主治医もしくは薬剤師に確認するようにしましょう。

上記を使用している方は、カルベジロールを使用する事が出来ない可能性があります。
カルベジロールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
初期に現れやすい副作用は何がありますか?

投与初期や増量時などには眩暈やふらつきが現れやすいと言われております。服用中のかたは自動車の運転など危険を伴う作用には従事しないようにしましょう。

インタビューホーム

【上記引用元:日本新薬株式会社】

食後で処方されましたが必ず食後以外では効果に違いがありますか?

食事の影響は受けませんので食前でも効果に差はありません。しかしカルベジロールは食後で服薬するよう指示されておりますので問題ない限り食後で服薬するようにしましょう。

インタビューホーム

【上記引用元:日本新薬株式会社】

心臓に効く薬なのになぜ気管支喘息のある人は投与できないのか?

カルベジロールはβ受容体に作用します。心臓にあるβ受容体に作用するのはもちろんですが、気管支にもβ受容体が存在します。その為気管支のβ受容体に作用する事で気管支喘息の症状を悪化させてしまうため投与禁忌となっております。

インタビューホーム

【上記引用元:日本新薬株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日本新薬株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。