アログリプチン安息香酸塩

成分名

アログリプチン安息香酸塩

適応症状

2型糖尿病(成人型糖尿病)

簡易説明

2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)の治療薬として使われます。
作用としては、血糖値を一定に保つ働きをするホルモンであるインクレチンを分解する酵素(DPP-4)を阻害します。血糖値が高いと
きにインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑制して、血糖コントロールを改善します。
効果が弱めであるため、他の糖尿病治療薬と併用されることが多いお薬です。また、血糖に依存し比較的ゆるやかに作用するので、効きすぎによる低血糖を起こしにくく、新規発症者や高齢の人に向くお薬と言われています。

処方可能な診療科目

内科/糖尿病内科/内分泌内科/外科/泌尿器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

ネシーナ錠6.25mgを処方してもらう場合
診察料などの目安:約1000円~約2000円(保険により3割負担の場合)
薬代1錠あたりの目安:約49.2円(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2010年6月販売開始(新薬:ネシーナ錠)

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

ネシーナ錠6.25/12.5/25mg【製薬メーカー:武田薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

本剤は、血糖を下げる血糖降下薬です。好ましい特性として、血糖値を適時、適度に下げられる点があげられます。血糖値が高いときにインスリンを分泌させ、血糖をほどよく下げるのです。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながります。

血液中の糖分である「血糖」は、膵臓から分泌されるインスリン・ホルモンで調節されます。糖尿病は、そのインスリンの量が不足したり働きが悪くなることで血糖値が上がってしまう病気です。そのまま放置すると、手足のしびれ(神経障害)、目の病気(網膜症)、腎臓病などといった様々な合併症を引き起こします。

食事をとると、インクレチン(GLP-1、GIP)という消化管ホルモンが分泌され、膵臓に対しインスリン分泌を促します。さらに、インクレチン(GLP-1)は膵臓からのグルカゴン分泌を低下させ、肝臓における糖の産生を抑制します。インクレチンはこのようにして血糖を下げるのですが、血糖依存的に作用するので、血糖値が低い場合にはインスリンの分泌を促進せず必要以上に血糖を下げません。
この薬の有効成分アログリプチンは、インクレチンを分解する酵素DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)を選択的に阻害し、活性型インクレチン濃度を上昇させます。結果的に、鈍っているインクレチンの働きを高め、血糖依存的な血糖低下作用をもたらすことになるのです。このような薬理作用から選択的DPP-4阻害薬と呼ばれています。

国内では3番目の選択的DPP-4阻害薬です。スルホニルウレア系など従来からのインスリン分泌促進薬とは作用機序が違い、その作用は、DPP-4阻害作用にもとづき、インクレチンを介するものです。HbA1c値が低下し、血糖コントロールが改善されます。

単独ではやや弱いので、他の糖尿病治療薬と併用することがあります。インスリン注射薬をふくめ、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、スルフォニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド薬など、すべての糖尿病治療薬との併用が可能です。
血糖に依存し比較的ゆるやかに作用するので、効きすぎによる低血糖を起こしにくいのも特徴の一つです。また、食欲を増進することがなく体重増加をきたしにくいとされています。これらの特性から、新規発症者や高齢の人に向くお薬と言われています。また、肥満型に加えて日本人に多い非肥満型の糖尿病にも有用と考えられています。

注意点として、腎排泄型であるため、腎臓病のある人は慎重に用いる必要があります。腎機能の程度により用量を調整しなければなりません。また、新しい薬なので、本当に合併症を予防できるのか、長生きにつながるのかなど長期的な予後改善効果については、まだ良く分かっていません。長期服用時の有効性や安全性についてが、今後の課題と言えます。

使用方法

通常、成人はアログリプチンとして25mgを1日1回経口投与します。。中等度以上の腎機能障害患者では、排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇するため、腎機能の程度に応じて、投与量を適宜減量して下さい。

使用後、低血糖によるめまいやふらつき、さらには意識障害を起こすおそれがあります。車の運転や高所作業のさいは十分注意してください。また、本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り、適用を検討して下さい。

※使用時の注意事項
・必ず指示された服用方法に従って下さい。
・飲み忘れた場合は、気が付いたときに1回分を飲んで下さい。ただし、次の服用時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間に1回分を飲んで下さい。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
・誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談して下さい。
・医師の指示なしに、自分の判断で飲むのを止めないで下さい。

副作用

主な副作用
次の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行って下さい。
腹痛/便秘/過敏症/発疹/そう痒/じん麻疹/鼓腸/胃腸炎/頭痛/めまい/四肢のしびれ

重大な副作用
低血糖/重篤な低血糖症状/低血糖症状/意識消失/急性膵炎/持続的な激しい腹痛/嘔吐/肝機能障害/黄疸/著しいAST上昇/著しいALT上昇/著しいAL−P上昇/皮膚粘膜眼症候群/Stevens−Johnson症候群/多形紅斑/横紋筋融解症/筋肉痛/脱力感/CK上昇/血中ミオグロビン上昇/尿中ミオグロビン上昇/腸閉塞/高度便秘/腹部膨満/持続する腹痛/間質性肺炎/咳嗽/呼吸困難/発熱/肺音異常/捻髪音/類天疱瘡/水疱/びらん

その他の副作用
倦怠感/鼻咽頭炎/浮腫/動悸/関節痛/貧血

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
該当なし

使用に注意が必要な方
■基本的な注意事項
・低血糖を起こすおそれがあるので、本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明し、注意を喚起して下さい。
・急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導して下さい。
・本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2〜3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮して下さい。
・低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意して下さい。
・本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しています。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていません。
■特定の背景を有する患者に関する注意事項
・心不全(NYHA分類III〜IV)のある患者〔使用経験がなく安全性が確立していない。〕
・低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態〔脳下垂体機能不全又は副腎機能不全/栄養不良状態/飢餓状態/不規則な食事摂取/食事摂取量の不足又は衰弱状態/激しい筋肉運動/過度のアルコール摂取者〕
・腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者〔腸閉塞を起こすおそれがあります。〕
・中等度以上の腎機能障害のある患者〔投与量を適宜減量すること。排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇するおそれがあります。〕
・妊婦〔妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与して下さい。動物試験(ラット)において、胎盤通過が報告されています。〕
・授乳婦〔治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討して下さい。動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されています。〕
・小児等〔小児等を対象とした臨床試験は実施していません。〕
・高齢者〔腎機能に注意し、腎機能障害の程度に応じて適切な用量調整を行って下さい。一般に腎機能が低下していることが多いです。〕

上記にあてはまる方は、アログリプチン安息香酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アログリプチン安息香酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・糖尿病用薬(スルホニルウレア剤/速効型インスリン分泌促進薬/α-グルコシダーゼ阻害剤/ビグアナイド系薬剤/チアゾリジン系薬剤/GLP-1受容体作動薬/SGLT2阻害剤/インスリン製剤)
→血糖降下作用が増強するおそれがあります。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、これらの薬剤の減量を検討して下さい。)

・チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン塩酸塩)
→循環血漿量が増加して浮腫を発現するおそれがあります。観察を十分に行い、浮腫が認められた場合には、患者の状態に応じてチアゾリジン系薬剤を減量あるいは中止し、ループ利尿剤(フロセミド等)を投与するなど適切な処置を行って下さい。

・糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤(β-遮断薬/サリチル酸製剤/モノアミン酸化酵素阻害薬/フィブラート系の高脂血症治療薬/ワルファリン 等)
→血糖が低下するおそれがあります。

・糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン/副腎皮質ホルモン/甲状腺ホルモン 等)
→血糖が上昇するおそれがあります。

上記を使用している方は、アログリプチン安息香酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アログリプチン安息香酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
該当なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
このネシーナとイニシンクという薬は同じものでしょうか。

同じものではありません。イニシンクは、アログリプチン安息香酸塩とメトホルミン塩酸塩の両方が一つになった配合薬です。

長年糖尿病を患っていますが、この薬を飲んだことはありません。効くのでしょうか。

インスリン注射が必要な1型糖尿病や、インスリン分泌能力が著しく低下している重い糖尿病には向きません。その他の方には効果があるかもしれません。詳しくは、かかりつけの医師にご相談下さい。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。