イバブラジン塩酸塩

成分名

イバブラジン塩酸塩

適応症状

慢性心不全

簡易説明

イバブラジン塩酸塩は、心臓の洞結節の興奮を抑制し、心拍数を減少させ心臓の負担を軽減する作用があります。息切れ、むくみなどの心不全の症状をやわらげ、主に慢性心不全の治療に使用されます。洞結節のHCNチャネルにのみに作用するので、心臓の伝導性、収縮性、再分極など、血圧や心機能やには影響することなく心拍数を下げるといった特徴があります。

処方可能な診療科目

内科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:2.5mg約82.9円/5mg約145.4円/7.5mg約201.9円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月 : 2019年11月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外のみ)

関連製品(先発薬)

コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg【製薬メーカー:小野薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

イバブラジン5mg/7.5mg(NDA)【製薬メーカー:Amgen Inc】
イバブラジン5mg/5mL(NDA)【製薬メーカー:Amgen Inc】
イバブラジン5mg(NDA)【製薬メーカー:REMEDYREPACK INC.】

効果・作用

イバブラジン塩酸塩は、心臓の洞結節に発現するHCNチャネルを阻害することで、過分極活性化陽イオン電流(If)を抑制する働きがあります。主に慢性心不全の治療に使用されます。

▼作用機序
HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル遮断薬で、洞結節のペースメーカー電流Ifを構成するHCN4チャネルを阻害します。活動電位の拡張期脱分極相における立ち上がり時間を遅延させ、心拍数を減少させます。

▼薬理作用
心不全は何らかの原因により心臓の働きが弱くなり、全身に血液を送りづらくなっている状態です。症状としては息苦しさ、息切れ、体のむくみなどがあります。慢性心不全は、交感神経の働きが活性化することで、弱った心臓を動かし、心機能がより悪化する傾向にあります。正常な心拍数は、心臓内の洞結節と呼ばれる部位の自発興奮が自律神経によって修飾され決定します。洞結節細胞の自発興奮機能は、電気的拡張期に働く電位依存性のイオンチャネルや心筋細胞内のカルシウムイオンの働きなどによって維持されます。過分極活性化内向き電流(If)は、電位依存性のイオンチャネルのひとつなので、洞結節の自動能形成に貢献し、HCNチャネルなどにより形成されます。イバブラジン塩酸塩は、HCNチャネルを妨害することでIfを抑えこみ、拡張期脱分極相での活動電位の立ち上がりを遅らせます。また、心拍数を減少させ、心臓の負担を軽くする効果があります。

▼特徴
HCNチャネルを選択的に遮断します。
ペースメーカー電流(If)の発生が抑えられることで心拍数を低下させます。
HFrEF(LVEFの低下した心不全)で心拍数が高い方に対して治療効果が期待できます。

▼慢性心不全とは
心臓は1年におよそ1億回、体の隅々に血液を送り出すポンプの仕事をしています。このポンプが、脳・腎臓・肝臓等の臓器に十分な血液や栄養を送ることができなくなる状況が「心不全」です。この状態が長期間にわたって起こり、次第に進行するときの状態を「慢性心不全」といいます。

使用方法

成人には1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始してください。
※開始後は忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、必要に応じ、2週間以上の間隔で段階的に用量を増減してください。
※1回投与量は2.5、5もしくは7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量においても、1日2回食後経口投与とします。
※患者の状態により適宜減量してください。
(用法用量に関連する注意)
・維持量は、安静時心拍数または、忍容性を基に個々の患者に応じて設定してください。
・目標とする安静時心拍数の時は、50~60回/分とし、安静時心拍数が60回/分を超える場合は段階的に増量、安静時心拍数が50回/分を下回る、または徐脈めまい、倦怠感、低血圧等が認められた場合は段階的に減量してください。
・1回2.5mg、1日2回食後経口投与において継続して安静時心拍数が50回/分を下回る、または徐脈に関連する症状が認められた場合は、本剤を中止してください。
・休薬後、投与を再開する場合は、休薬前の用量を超えない用量で再開してください。
・休薬後の安静時心拍数が、投与開始前値付近の場合は、低用量から投与を開始し、段階的に増量することが望ましいです。

副作用

主な副作用
心不全、動悸、洞不全症候群、高血圧、血圧変動、起立性低血圧、羞明、視力障害、複視、便秘、悪心

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

徐脈、心拍数減少、徐脈に関連する症状、めまい、倦怠感、低血圧、光視症、霧視、一過性にまぶしい光を感じる、光輪現象、像分離、ストロボ様作用、万華鏡様作用、有色光、二重像、房室ブロック、心房細動、心電図QT延長、心室性頻脈、心室性期外収縮、心室細動、トルサード・ド・ポアン、心室性不整脈

その他の副作用
下痢、腹痛、胃炎、消化不良、疲労、無力症、肝機能障害、腎不全、血中クレアチニン増加、糖尿病、高尿酸血症、浮動性めまい、頭痛、失神、皮膚そう痒症、発疹、呼吸困難、筋痙攣、回転性めまい、紅斑、じん麻疹、血管浮腫、好酸球増加症

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
妊婦/授乳者
過敏症
急性心不全
心原性ショック
高度低血圧
イトラコナゾール投与中
クラリスロマイシン投与中
インジナビル投与中
サキナビル投与中
ジョサマイシン投与中
ネルフィナビル投与中
重度肝機能障害
ジルチアゼム投与中
ボリコナゾール投与中
テラプレビル投与中
コビシスタット含有製剤投与中
リトナビル含有製剤投与中
Child−Pugh C
ベラパミル投与中
拡張期血圧が50mmHg未満
収縮期血圧が90mmHg未満
第三度房室ブロック<ペースメーカー使用を除く>
洞不全症候群<ペースメーカー使用を除く>
洞房ブロック<ペースメーカー使用を除く>

■イバブラジン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方コラランは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼コラランの有効成分
イバブラジン塩酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、デキストリン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク三二酸化鉄

使用に注意が必要な方
新生児/乳児/幼児/小児
脚ブロック
QT延長症候群
第一度房室ブロック
第二度房室ブロック
QT延長作用のある薬剤投与中
心室同期不全
心室内電気伝導障害
頻脈性不整脈<心室性>
頻脈性不整脈<上室性>
電気的除細動

上記にあてはまる方は、イバブラジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イバブラジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
ネルフィナビル
サキナビル
テラプレビル
ベラパミル
ジルチアゼム
CYP3Aを阻害する薬剤<中等度>
フルコナゾール
CYP3A酵素誘導剤
リファンピシン類
フェニトイン
バルビツール酸誘導体
QTを延長する薬剤
キニジン
ジソピラミド
ベプリジル
ソタロール
アミオダロン
ピモジド
メフロキン
ペンタミジン
カリウム排泄型利尿剤
ループ利尿剤
チアジド系薬剤
グレープフルーツジュース
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むもの

上記を使用している方は、イバブラジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イバブラジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
リトナビル含有製剤
ジョサマイシン
イトラコナゾール
イトリゾール
クラリスロマイシン
クラリシッド
コビシスタット含有製剤
スタリビルド
インジナビル
クリキシバン
ボリコナゾール
ブイフェンド
ネルフィナビル
ビラセプト
サキナビル
インビラーゼ
テラプレビル
テラビック
ベラパミル
ワソラン
ジルチアゼム
ヘルベッサー

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
副作用の光視症は服用してすぐあらわれるのでしょうか?

光視症や霧視は服用を始めてからおおよそ3ヵ月以内に現れることがわかってます。

コララン錠を服用される患者さんへ

【上記引用元:小野薬品工業株式会社】

胃腸障害があるのですが服用して問題ないですか?

本剤は主として肝代謝(CYP3A4で代謝)されるため、腎機能による用量調節は必要ないと考えています。

コラランQ&A

【上記引用元:小野薬品工業株式会社】

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