成分名 |
メトプロロール酒石酸塩 |
適応症状 |
軽症~中等症の本態性高血圧症/狭心症/頻脈性不整脈 |
簡易説明 |
メトプロロール酒石酸塩は、主に心筋に分布するβ受容体をブロックすることで、血圧を低下させるまたは心拍数を下げる効果を示す薬剤です。
心臓の負荷を軽減し、心保護作用があるため、頻脈性不整脈や狭心症の症状改善を目的に使用されてます。加えて、長期的な降圧効果も認められているため、高血圧症の改善にも使用されています。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器科/糖尿病内科 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約1,000円~3,000円
薬代1錠あたりの目安:
20mg10.1円/40㎎15.2円/120㎎85円
薬代後発薬1錠の目安:
20mg7.4円/40㎎7.5円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
【セロケン錠20mg】1983年2月発売
【セロケンL錠120mg】1992年5月発売
【ロプレソール錠20mg】1983年2月発売
【ロプレソール錠40mg】1983年2月発売
【ロプレソールSR錠120mg】1992年5月発売 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
セロケン錠20mg/セロケンL錠120mg【製薬メーカー:太陽ファルマ】
ロプレソール錠20mg/ロプレソール錠40mg/ロプレソールSR錠120mg【製薬メーカー:サンファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
メトプロロール酒石酸塩錠20mg「NIG」 【製薬メーカー:日医工】/メトプロロール酒石酸塩錠20mg「テバ」 【製薬メーカー:武田テバファーマ】/メトプロロール酒石酸塩錠20mg「トーワ」 【製薬メーカー:東和薬品】/メトプロロール酒石酸塩錠20mg「サワイ」 【製薬メーカー:沢井製薬】/メトプロロール酒石酸塩錠40mg「NIG」 【製薬メーカー:日医工】/メトプロロール酒石酸塩錠40mg「テバ」 【製薬メーカー:武田テバファーマ】/メトプロロール酒石酸塩錠40mg「トーワ」 【製薬メーカー:東和薬品】/メトプロロール酒石酸塩錠40mg「サワイ」 【製薬メーカー:沢井製薬】 |
海外での使用実績 |
【スウェーデン】
1975 年に発売され、「Seloken」という名前でAstraZeneca社から販売されています。規格は錠剤 50mg、100mgの2種類であり、以下の適応を取得しています。
・高血圧症・狭心症・不整脈・甲状腺機能亢進症・心筋梗塞・片頭痛予防
【イギリス】
Recordati Pharmaceuticals社から「Lopresor SR,Lopresor Tablets」という名前で発売をされています。
効能・効果は以下の通りです。
・高血圧症、狭心症、片頭痛予防
・高血圧症及び狭心症、不整脈(特に上室性頻脈性不整脈)、甲状腺中毒症治療の補助、片頭痛予防等
【ドイツ】
「Beloc-Zok」という名前でAstraZeneca社から販売されています。Beloc-Zok (47.5mg,95mg,190mg)では年齢によって使用できる疾患が異なっており、適応としては以下の通りです。
・高血圧症、狭心症、過動心症候群、頻脈性不整脈、心筋梗塞後の長期治療、片頭痛予防、心室収縮機能不全(駆出率 40%以下)を伴う軽度から中等度の安定した慢性心不全:通常の ACE 阻害薬、利尿薬、強心配糖体(必要に応じ)による標準的治療に追加
・高血圧症
心室収縮機能不全(駆出率 40%以下)を伴う軽度から中等度の安定した慢性心不全:通常の ACE 阻害薬、利尿薬、強心配糖体(必要に応じ)による標準的治療に追加
高血圧症
【フランス】
「SELOKEN LP 200mg」という名前でAstraZeneca社から販売されています。片頭痛予防の承認はありません。
・高血圧症、労作性狭心症予防、片頭痛
【オーストラリア】
「Betaloc tablet」という名前でAstraZeneca社から販売されています。
・高血圧症、狭心症予防、(疑われる又は確定診断を受けた)心筋梗塞、片頭痛予防 |
効果・作用 |
メトプロロール酒石酸塩は、スウェーデンの Astra Hassle 社(現 AstraZeneca 社)で合成されたβ受容体遮断薬です。
β受容体は主に心筋に分布すると考えられており、本剤は特にβ1受容体への高い選択性を示すことが認められています。そのため、気管支、末梢循環、糖
代謝に及ぼす影響が少なく、心臓に対してもたらす影響が強いことが特徴です。
本態性高血圧患者に対して、384例を対象に臨床試験を行っています。プラセボと呼ばれる偽薬、本剤のみ、本剤とチアジド系利尿降圧剤又は血管拡張性降圧剤の併用、どれかを服用してもらい、有効性を検討しました。結果、プラセボを服用した人に比べて、本剤とチアジド系利尿降圧剤又は血管拡張性降圧剤を併用した人の有効率はは67.6%であることが認められました。また、本剤のみを服用した人の有効率はプラセボに比べて59.3%であることが示されています。
加えて試験では、降圧効果は2週間後から発現し、4週間後に最大に達することも認められました。
狭心症の患者144例を対象に行われた臨床試験では、プラセボと比較したときの有効率は65.3%であることが認められています。特に労作性狭心症に対する有効率が高く、67.2%でした。
頻脈性不整脈(洞性頻脈、心房細動・粗動を伴う頻脈、発作性上室性頻拍、上室性期外収縮、心室性期外収縮)患者、153例を対象に行われた試験では頻脈性不整脈に対する有効率68.0%であることが認められています。 |
使用方法 |
経口投与する薬剤ですが、使用する疾患によって服用用量が異なります。
【セロケン錠20mg/ロプレソール錠20mg/ロプレソール錠40mg】
狭心症、頻脈性不整脈の場合、1日60~120mgを1日2回、もしくは3回に分けて服用します。1日の用量は年齢・症状によって増やしたり減らしたりすることが可能です。
本態性高血圧症(軽症~中等症)の場合、1日60~120mgを1日3回に分けて服用します。効果が足りない時は240mgまで増量することができます。1日の用量は年齢・症状によって増やしたり減らしたりすることが可能です。
【セロケンL錠120mg/ロプレソールSR錠120mg】
1日1回1錠を朝食後経口投与します。 |
副作用 |
主に徐脈、めまい・ふらつき、倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、浮腫、トリグリセライド値上昇、ALT(GPT)値上昇、AST(GOT)値上昇があげられます。
主な発現頻度は以下の通りです。
精神神経系・・めまい・ふらつき(0.59%)、頭痛(0.25%)
消化器・・悪心・嘔吐(0.26%)
肝臓・・ALT(GPT)値上昇(0.14%)、AST(GOT)値上昇(0.13%)
その他・・徐脈(1.22%)、倦怠感90件(0.31%)、浮腫(0.19%)、トリグリセライド値上昇(0.15%)
最も多い副作用でも発生頻度は5%未満となっています。
頻度不明ですが、心原性ショック・洞機能不全・肝機能障害・黄疸が報告されております。初期症状が出た場合には投与を中止してください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■メトプロロール酒石酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メトプロロール酒石酸塩の有効成分
メトプロロール酒石酸塩
▼代表薬の添加物
【セロケン錠20mg/ロプレソール錠20mg/ロプレソール錠40mg】
ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、カルメロース、セルロース、乳糖、マクロゴール、酸化チタン、ヒプロメロース
【セロケンL錠120mg】
リン酸水素カルシウム水和物、無水ケイ酸、セルロース、ヒプロメロース、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール6000、酸化チタン その他 1 成分
【ロプレソールSR錠120mg】
ステアリン酸マグネシウム、無水ケイ酸、グリセリン脂肪酸エステル、ヒプロメロース、リン酸水素カルシウム、セルロース、三二酸化鉄、酸化チタン、マクロゴール その他 1成分
・以前、メトプロロール酒石酸塩、もしくは他のβ-遮断剤を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・妊婦又は妊娠している可能性のある方は使用できません。
・糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある方は心筋収縮力抑制を増強する恐れがあるため使用できません。
・著しい洞性徐脈等の高度の徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある方は心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させる恐れがあるため使用できません。
・心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の方は心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させる恐れがあるため使用できません。
・壊疽等の重症末梢循環障害のある方は症状を悪化させる恐れがあるため使用できません。
・未治療の褐色細胞腫の方は本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあるので、初期治療として使用することはできません。α-遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα-遮断剤を併用することとされています。
・ 低血圧症の方は降圧作用により症状を悪化させる恐れがあるため使用できません。(セロケン錠20mg/ロプレソール錠20mg/ロプレソール錠40mのみ)
使用に注意が必要な方 ・気管支喘息、気管支痙攣の恐れのある方は喘息の症状を悪化させる恐れがあるため注意をしてください。処方する際は気管支拡張剤を併用するなどしてください。
・うっ血性心不全のおそれのある方は、心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させる可能性があるため注意をしてください。処方する際はジギタリス剤を併用するなどしてください。
・低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の方は低血糖症状を起こしやすく、低血糖の前兆症状である頻脈等の症状を見えにくくするため、血糖値の変動に注意をしながら処方をしてください。
・重篤な肝障害・腎障害のある方は代謝又は排泄が遅延する恐れがあるため注意をしてください。
・徐脈、房室ブロック(Ⅰ度)のある方は心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させる恐れがあるため注意をしてください。
・異型狭心症の方は症状を悪化させる恐れがあるため注意をしてください。
・甲状腺中毒症の方は頻脈などの中毒症状が見えにくくなる恐れがあるため注意をしてください。
ある
・末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)のある方は症状を悪化させる恐れがあるため注意をしてください。
・高齢者では過度の降圧によって脳梗塞等が起こる恐れがあるため注意をしてください。もし休薬が必要になった場合には、徐々に減量しながら中止をしてください。
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立されていないため、注意をしてください。
上記にあてはまる方は、メトプロロール酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 メトプロロール酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <レセルピンβ-遮断剤(交感神経系に対し抑制的に作用する薬剤)>
併用すると協力的に交感神経抑制作用を有することとなり、徐脈、血圧低下等があらわれる恐れがあります。
<インスリン/グリベンクラミド等(血糖降下剤)>
血糖降下作用が増強され、低血糖を示す症状が見えにくくなる恐れがあります。血糖値の変動には注意をしてください。
<ベラパミル/ジルチアゼム等(カルシウム拮抗剤)>
作用が増強され、過度の降圧もしくは心機能抑制があらわれることがありますので、用量に注意してください。
<クロニジン>
本剤とクロニジンを併用した後、クロニジンを投与中止すると、血圧上昇を増強する恐れがあるため注意をしてください。クロニジンを投与中止する際には、本剤を数日前に中止し、症状を見ながら行ってください。
<ジソピラミド/プロカインアミド/アジマリン等(ClassI抗不整脈剤)、アミオダロン等(ClassⅢ抗不整脈剤)>
協力的に心機能抑制作用が発現してしまい、心機能抑制があらわれることがあります。用量に注意しながら併用してください。
<ミラベグロン>
ミラベグロンが本剤の作用を増強することで、本剤の血中濃度が上昇する恐れがあります。
<キニジン/プロパフェノン/アミオダロン等(抗不整脈剤)、シメチジン、パロキセチン等(選択的セロトニン再取込み阻害剤)、ジフェンヒドラミン等(抗ヒスタミン剤)/ヒドララジン>
本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるため、用量に注意しながら併用してください。
<セボフルラン等(麻酔剤)>
協力的に交感神経抑制作作用が発現する恐れがあるため、心臓の機能の変化には注意をしながら併用をしてください。
<ジギタリス製剤>
両方の薬剤が刺激伝導速度の抑制作用を有するため、房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等があらわれる恐れがあります。併用する際は心機能に注意してください。
<インドメタシン等(非ステロイド性抗炎症剤)>
本剤の降圧作用が減弱することがあるので、用量に注意しながら併用をしてください。
<ニトログリセリン/タダラフィル等(降圧作用を有する他の薬剤)>
共に降圧作用を有し、過度の降圧を来す恐れがあります
<フィンゴリモド>
共に徐脈や心ブロックを引き起こす恐れがあります。特に、フィンゴリモドの投与開始時に本剤を併用していると重度の徐脈や心ブロックが認められることがあります。
<リファンピシン>
リファンピシンのもつ肝代謝酵素誘導作用によって本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあります。
<リドカイン>
リドカインの血中濃度を上昇させることがあります。
上記を使用している方は、メトプロロール酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 メトプロロール酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
メトプロロール酒石酸塩に関する よくある質問 |
|
参考元一覧 |
ロプレソール錠20㎎/ロプレソール錠40㎎ 添付文書
セロケン錠20㎎ 添付文書
No.38 β遮断薬 【おくすり通信】
要望内容に関連する事項 【未承認薬・適応外薬の要望に対する企業見解】 |
サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |