ニコランジル

成分名

ニコランジル

適応症状

狭心症

簡易説明

ニコランジルはATP感受性Kチャネルを開放することによって、血管平滑筋の弛緩を促進し、血管を拡張させます。また、cGMPの産生を増加させることによっても、血管拡張作用を発揮します。さらに、心筋の代謝に必要なATPの産生を効率化することによって、心筋の酸素需要を低下させます。これらの作用によってニコランジルは狭心症の症状の改善に対して効果を発揮します。

処方可能な診療科目

内科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :800円~1,000円
薬代1錠あたりの目安:2.5mg約9円/5mg約10円
薬代後発薬1錠の目安:2.5mg約6円/5mg約6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1984年4月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

シグマート錠2.5mg/5mg(中外製薬)

関連製品(ジェネリック)

ニコランジル錠2.5mg/5mg「サワイ」(メディサ新薬)、ニコランジル錠2.5mg/5mg「日医工」(日医工)、ニコランジル錠2.5mg/5mg「トーワ」(東和薬品)

効果・作用

ニコランジルは、狭心症の治療薬として広く用いられる薬で複数の作用メカニズムを持っています。
1つ目の作用機序は、血管を拡張する作用です。ニコランジルは細胞内にあるATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)を活性化することによって、血管平滑筋の弛緩を促進し、血管を拡張させます。これによって、心臓に酸素や栄養素を供給する冠動脈(広い血管)の拡張が促進され、狭心症の症状を改善することができます。
2つ目の作用機序は、細胞内のサイクリックGMP(cGMP)の産生量を増加させることです。cGMPは、血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度を低下させることにより、血管を拡張させる役割を持っています。ニコランジルは、アデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャネルを開放することによって、cGMPの産生量を増加させます。ATP感受性Kチャネルは、血管平滑筋細胞膜上のチャネルであり、細胞外のATP濃度によって開閉します。ニコランジルはこのチャネルを開放し、細胞内カルシウム濃度を低下させ、血管を拡張させます。この作用により、心筋への酸素供給が増加し、狭心症の症状が改善されます。
また、ニコランジルは心筋の酸素需要を低下させる作用もあります。これはニコランジルが、心筋の代謝に必要なATPの産生を効率化することによって実現されます。つまりニコランジルは心筋のエネルギー供給を改善し、心筋の酸素需要を低下させることにより、狭心症の症状の改善をもたらすとされています。

使用方法

・成人(15歳以上)の場合:ニコランジルとして、1日量15ミリグラムを3回に分けて服用します。なお、年齢や症状によって医師の判断のもと適宜増量、減量できます。

副作用

重大な副作用
※次の副作用があらわれる可能性があるので、健康状態を十分に観察し、異常を感じたら服用を中止したり、医療機関を受診したりと適切な対処をしてください。
・黄疸症状、肝機能障害
※ALT、AST、γ-GTPの上昇などを伴った肝機能の障害、黄疸症状が引き起こされる可能性があります。
・舌における潰瘍、口内における潰瘍、消化管における潰瘍、肛門における潰瘍
・血小板の減少

その他の副作用
※次の副作用があらわれる可能性があるので、健康状態を十分に観察し、異常を感じたら服用を中止したり、医療機関を受診したりと適切な対処をしてください。
・精神神経系:頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、眠気、舌のしびれ、肩こりなど
・循環器系:下肢のむくみ、全身の倦怠感、気分不良、顔面紅潮、胸の痛み、動悸、のぼせ感など
・肝臓系:ALTの上昇、ビリルビンの上昇、Al-Pの上昇等、ASTの上昇
・過敏症:発疹、かゆみなど
・眼:角膜潰瘍、複視、眼筋麻痺
・生殖器:性器における潰瘍
・血液系:血小板の減少
・皮膚:皮膚における潰瘍
・その他:頸部の痛み、血液中のカリウム濃度増加

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・ホスホジエステラーゼ5阻害作用をもっている薬(バルデナフィル塩酸塩水和物、シルデナフィルクエン酸塩、タダラフィル)またはグアニル酸シクラーゼ刺激作用をもっている薬(リオシグアト)を服用中の方

使用に注意が必要な方
・重篤な肝障害のある方
※ニコランジル服用中に肝機能検査値の異常が引き起こされる可能性があります。
・緑内障を治療中の方
※ニコランジル服用によって眼圧上昇が引き起こされる可能性があります。
・授乳している方
※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ服用してください。
※動物実験(ラット):ニコランジルおよびその分解物が乳汁を移行したというデータがあります。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ服用してください。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら服用してください。
・小児
※小児などを対象とした臨床試験が実施されていません。

上記にあてはまる方は、ニコランジルを使用する事が出来ない可能性があります。
ニコランジルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
▼ホスホジエステラーゼ5阻害作用をもっている薬
バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ、バイアグラ)、タダラフィル(アドシルカ、シアリス、ザルティア)
※ニコランジルはcGMPの産生を促し、一方でホスホジエステラーゼ5阻害作用をもっている薬はcGMPの分解をブロックすることから、両成分の併用によってcGMPの増大作用をもつニコランジルの降圧作用が増強してしまう可能性があります。服用前にこれらの薬を服用していないことを確認するとともに、服用中、および服用後において上記の薬を服用しないよう十分注意してください。
▼グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト(アデムパス)
※ニコランジルとグアニル酸シクラーゼ刺激作用をもっている薬は、ともにcGMPの産生を促進するので、両成分の併用によってcGMPの増大作用をもつニコランジルの降圧作用が増強してしまう可能性があります。服用前にこれらの薬を服用していないことを確認するとともに、服用中、および服用後において上記の薬を服用しないよう十分注意してください。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ニコランジルに関する
よくある質問
ニコランジルの服用開始後に頭痛が起きやすいと聞いていますが対処法はありますか?

ニコランジル服用開始時期において、血管拡張作用による拍動性の頭痛が引き起こされる可能性がありますが、このような場合には減量またはひどければ中止も検討するよう添付文書に記載があります。ニコランジルは急な服用中止によって副作用が起きやすいので頭痛がひどくない場合は自己判断で中止せずかかりつけ医を受診して支持を仰ぎましょう。シグマート 【シグマート 添付文書】

ニコランジルの保管方法は注意が必要と聞きましたがどんな注意が必要ですか?

ニコランジルの添付文書では「湿気を避けて保存すること」と明記されています。基本的には室温保存で5年間の有効期限となっていますが、薬局から薬をもらった状態によってはその通りにいかない可能性もあります。ピロー包装(銀色のパック)に包まれていない錠剤から服用を開始するとともに湿気のない場所にて保管してください。シグマート 【シグマート 添付文書】

参考元一覧

シグマート 【シグマート 添付文書】

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