オルプリノン塩酸塩水和物

成分名

オルプリノン塩酸塩水和物

適応症状

下記の状態において、その他の薬を使用しても効果が得られない場合
・急性心不全

簡易説明

オルプリノン塩酸塩水和物は急性心不全に用いる成分です。おもに心臓の収縮能力を改善することで心臓の血液送出能力を向上させます。具体的には、オルプリノン塩酸塩水和物がホスホジエステラーゼⅢと呼ばれる酵素をブロックすることで、心臓の細胞内におけるcAMP(サイクリックAMP)の濃度を上昇させる効果を持ちます。

処方可能な診療科目

内科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~,2000円
薬代1袋あたりの目安:5mg約4,728円
薬代後発薬1袋の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1996年4月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

コアテック注5mg(エーザイ)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

オルプリノン塩酸塩水和物は、心不全の治療に使用される薬のひとつです。
心不全は、心臓が十分に身体中に血液を送り出せていない状態を指します。この状態は、心臓の収縮能力や拡張能力の低下、血管抵抗の増加、血液の容積増加など様々な要因によって引き起こされます。これらの要因によって心臓に大きな負荷がかかり、徐脈、頻脈、息切れ、浮腫、疲労感などの症状が現れ、重症になると生命に影響を与えかねません。
オルプリノン塩酸塩水和物は特に、心臓の収縮能力を改善することで心臓の血液送出能力を向上させます。具体的には、オルプリノン塩酸塩水和物がホスホジエステラーゼⅢと呼ばれる酵素をブロックすることで、心臓の細胞内におけるcAMP(サイクリックAMP)の濃度を上昇させます。cAMPは、心臓の収縮力を増加させるためのシグナル伝達分子であり、心筋細胞のカルシウムイオンの放出を促進することで、結果として収縮力を向上させます。またオルプリノン塩酸塩水和物は、血管拡張作用を持っており、血管抵抗の低下も促進させます。血管拡張作用とは、血管内の筋肉をゆるめることで、血管内側の通り道を広げる作用のことを指します。この作用によって心臓にかかる負荷が軽減され、心臓の血液送出能力が向上します。

使用方法

成人(15歳以上)の場合:コアテック注を注射液そのまま、またはブドウ糖液、生理食塩液などでうすめ、オルプリノン塩酸塩水和物として体重1kgあたり10μgとなる用量を5分間かけて徐々に静脈内に投与します。その後、引き続き1分間あたり0.1〜0.3μg/体重kgを点滴にて静脈内注射します。
なお、点滴での投与量は症状に応じて医師の判断のもと適宜増量、減量し、必要ある場合には1分間あたり0.4μg/体重kgまで増量することができます。
※高齢者や腎機能が低下している方では、点滴での静脈内注射の際には1分間あたり0.1μg/体重kgからスタートし、過量投与にならないよう使用量に十分注意してください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用前に、電解質の補正、体液減少、呼吸管理などの必要な処置を行ってください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用によって不整脈があらわれる可能性が高まるとの報告があるので注意しながら使用してください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用によって症状が改善し、心不全の状態が安定してきたら(急性期を脱することができた場合)、その他の治療法に変更してください。なお、1日のトータルでの使用量は0.6mg/体重kgを超えてはいけません(1分間あたり0.4μg/体重kgで24時間投与した場合に相当します)。
※オルプリノン塩酸塩水和物はその他の薬を使用しても効果が不十分なケースに限って使用してください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の投与スタート後、2時間で症状の改善がみられない場合、使用を中止し、その他の適切な処置を行ってください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用は、心拍数、血圧、尿量、心電図、体液および電解質、できる限り心拍出量、肺動脈楔入圧および血液ガスなど、方の状態を観察しながら行ってください。
※3時間を超える長時間の使用では副作用が引き起こされる可能性が高くなる傾向にあります。3時間を超えて使用する場合には、十分に注意して使用してください。
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用中に、心拍数の過剰な増加、血圧の過剰な低下が引き起こされた場合には、過量な使用量になっている可能性があるので、減量または中止するなど、適切な処置を行ってください。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・腎機能障害
・心室頻拍(トルサードポアンツを含む)、心室細動、血圧低下

その他の副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。
・消化器系:嘔吐
・循環器系:頻脈、上室性または心室性期外収縮などの不整脈
・泌尿器系:尿量減少
・精神神経系:頭重感、頭痛
・呼吸器系:低酸素血症
・血液系:血小板の減少、白血球の減少、白血球の増加、貧血
・過敏症:かゆみ、発疹、赤み
・その他:熱感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・オルプリノン塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、コアテック注5mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼コアテック注5mgの有効成分
オルプリノン塩酸塩水和物
▼代表薬の添加物
クエン酸水和物、水酸化ナトリウム、D-ソルビトール
・肥大型閉塞性心筋症を患っている方
※左室流出路狭窄が悪化する可能性があります。
・妊婦または妊娠している可能性のある方

使用に注意が必要な方
・重篤な頻脈性不整脈を治療中の方
※オルプリノン塩酸塩水和物は不整脈を悪化させる可能性があります。
・重篤な冠動脈疾患を治療中の方
※オルプリノン塩酸塩水和物は冠動脈疾患を悪化させる可能性があります。
・著しく血圧が低い状態の方
※オルプリノン塩酸塩水和物は血管を拡張させる作用があり、血圧をさらに低下させる可能性があります。
・高度の大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄などを治療中の方
※オルプリノン塩酸塩水和物では改善がみられないケースがあります。
・利尿剤を大量に使用している方
※オルプリノン塩酸塩水和物に十分反応せず効果不十分になる可能性があります。
・ジギタリス療法にて治療している方
※オルプリノン塩酸塩水和物の使用によって過度の利尿および低カリウム血症が引き起こされる可能性があります。
・遺伝性果糖不耐症の方
※肝不全、低血糖、腎不全などが引き起こされる可能性があります。
・腎機能に障害をおもちの方
※オルプリノン塩酸塩水和物の排泄が遅くなります。また、腎機能の障害がさらに悪化する可能性があります。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
・授乳している方
※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
・小児
※小児などを対象としている臨床試験が実施されていません。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。

上記にあてはまる方は、オルプリノン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
オルプリノン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■併用注意薬
・アデニル酸シクラーゼ活性化剤(コルホルシンダロパート塩酸塩)、カテコールアミン系の強心薬(ドブタミン塩酸塩、ドパミン塩酸塩など)
※お互いに強心作用を増強し、不整脈を引き起こす可能性があります。
・ジソピラミド
※過度の血圧低下が引き起こされる可能性があります。

上記を使用している方は、オルプリノン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
オルプリノン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

オルプリノン塩酸塩水和物に関する
よくある質問
オルプリノン塩酸塩水和物はその他の薬を使用しても効果が得られない場合に使うような成分ですが、治療成功率はどのくらいですか?

急性心不全にたいする有効率は77.6%(107例中83例に効果あり)というデータがあります。有効性が認められない場合はその他の治療法も存在するので安心してください。

オルプリノン塩酸塩水和物の使用後、比較的早期に副作用が起こると聞きましたが確率は高いのですか?

オルプリノン塩酸塩水和物使用3時間以内で副作用が起こる確率は14.16%だったというデータがあります。

参考元一覧

コアテック 【コアテック 添付文書】

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