エプレレノン

成分名

エプレレノン

適応症状

高血圧

簡易説明

エプレレノンを主成分とする高血圧・慢性心不全治療薬であるセララ錠(以下、本剤)はファルマシア社(現、ファイザー社)で開発された世界初の選択的アルドステロンブロッカーです。
日本国内では1997年から高血圧治療薬としての開発を開始し、数々の臨床試験等を行った結果、2007年に販売を開始、2016年には慢性心不全の適応症が追加されました。
2021年に本剤はヴィアトリス製薬株式会社に販売移管されました。

処方可能な診療科目

内科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:1,100円(25mg×30日)~3,950円(100mg×30日)
薬代1錠あたりの目安:25mg:36.70円/50mg:70.80円/100mg:131.70円
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
定期的に血液検査をします。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2007年11月13日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

セララ錠(25mg・50mg・100mg)【製薬メーカー:ヴィアトリス製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

本剤はアメリカで2002年9月に高血圧、2003年に心筋梗塞後のうっ血性心不全の適応症で承認され、2022年10月現在、世界60か国以上で承認されています。

効果・作用

血圧は様々なメカニズムによって調整されていますが、その一つにアルドステロンと鉱質コルチコイド受容体(MR)の結合があります。この結合が起こるとナトリウム再吸収等の様々な機序により血圧が上昇するとともに、心臓や血管などに障害などを引き起こします。本剤はこの血圧上昇と臓器障害に関わるアルドステロンとMRの結合をブロックすることで、降圧効果や心臓の保護作用を発揮すると考えられています。
本剤は数多くの臨床試験を経て発売され、発売後にも安全性、有効性を確認するための調査(使用成績調査)が行われています。
試用成績調査(高血圧症)
・1,024例の高血圧症患者に対する有効性:血圧(収縮期血圧/拡張期血圧mmHg)
投与前152.1±19.0/85.8±13.7)→投与12週後:134.8±15.2/77.7±11.4)
・1,139例の慢性心不全患者に対する有効性:投与開始1年後の死亡
死亡者:44例(3.9%)※うち心血管死は15例
本剤は、再審査(最新の医学的知見に基づく有効性・安全性の再評価)の結果が、2017年(高血圧)、2022年(慢性心不全)に通知され、その有効性・安全性が改めて認められました。
一方、アルドステロンにはカリウム代謝に影響を与える作用があり、本剤を投与することでカリウムが上昇するおそれがあると考えられています。このため、本剤投与開始後1週間、1か月後、その後定期的に血清カリウム値を確認する必要があります。

使用方法

(高血圧)
1日1回50mg服用から開始し、効果不十分な場合は100mgまで増量します。
(慢性心不全)
1日1回25mg服用から開始し、症状等に応じて開始4週目以降を目安に1日1回50mgに増量します。(中等度の腎機能障害がある方は、1日1回25mg(隔日)から開始し、1日1回25mg(連日)まで増量します。症状等により減量、中断します。

副作用

重大な副作用
高カリウム血症:唇がしびれる、手足が動きづらい・力が入らない・しびれる・麻痺、筋力が衰える・減退する

(高血圧)
副作用発現率:26.7%(894例/3,353例)
主な副作用
頭痛:6.1%(206例)、めまい:2.6%(88例)、吐き気:1.9%(65例)、高カリウム血症:1.7%(57例)、疲労:1.6%(52例)、ALT上昇:1.4%(48例)、γ‐GTP上昇:1.3%(44例)、消化不良:1.2%(40例)、AST上昇:1.2%(39例)、筋痙攣:1.0%(34例)、高尿酸血症:1.0%(34例)

(慢性心不全)
副作用発現率:21.3%(314例/1,471例)
主な副作用
高カリウム血症:7.3%(107例)、低血圧:1.6%(23例)、めまい:1.4%(20例)、腎機能障害:1.4%(20例)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■高カリウム血症の方、血清カリウム値が5.0mEq/L以上の方
高カリウム血症を増悪させるおそれがある為、服用できません。
■重度の腎障害のある方(クレアチニンクリアランス30mL/分未満)
高カリウム血症を誘発するおそれがある為、服用できません。
■重度の肝機能障害のある方(Chiid-Pugh分類クラスCの肝硬変)
高カリウム血症等の電解質異常が発現する恐れがある為、服用できません。
■カリウム保持性利尿薬、イトラコナゾール、(高血圧の方)カリウム製剤を使用している方
併用禁忌薬の為、服用できません
■(高血圧の方)微量アルブミン尿、蛋白尿を伴う糖尿病の方
高カリウム血症を誘発するおそれがある為、服用できません。
■(高血圧の方)中等度以上の腎機能障害の方
高カリウム血症を誘発するおそれがある為、服用できません。
■エプレレノンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、セララ錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼セララ錠の有効成分
エプレレノン
▼セララ錠の添加物
(共通の添加物)
乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム酸化チタン、マクロゴール400、ポリソルベート80、三二酸化鉄
(25㎎の添加物)
酸化鉄

使用に注意が必要な方
・軽度の腎機能障害のある方:高カリウム血症のリスクが高まるおそれがある為
・軽度~中等度の肝機能障害のある方:高カリウム血症等の電解質異常があらわれるおそれがある為
・妊婦、授乳婦:動物実験で胎児、母乳への移行が確認されている為
・小児:臨床試験を実施していません。
・高齢者:一般に過度の降圧は好ましくなく、脳梗塞等がおこるおそれがある。また一般に腎機能が低下していることが多く、高カリウム血症のリスクが高まるおそれがある為
(慢性心不全の方)
高カリウム血症のリスクが高まるおそれがある為、注意が必要な方
・微量アルブミン尿、タンパク尿を伴う糖尿病の方
・中等度以上の腎機能障害の方(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)
※めまい等があらわれるおそれがあるため、自動車運転等の危険を伴う機械の操作をする際は注意が必要です。

上記にあてはまる方は、エプレレノンを使用する事が出来ない可能性があります。
エプレレノンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
本剤はCYP3A4(肝薬物代謝酵素の一つ)を阻害する薬と併用する場合は、血清カリウム値の上昇を誘発するおそれがあるため1日1回25mg以上は処方できません。

・ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アリスキレンフマル酸塩、シクロスポリン、タクロリムス水和物、ドロスピレノン、(慢性心不全の方)カリウム製剤:カリウム貯留作用が増強する恐れがある為
・CYP3A4を阻害薬:本剤の代謝を阻害するため
・CYP3A4誘導薬、セイヨウオトギリソウ含有食品:本剤の代謝が促進される為(効果が弱まるおそれ)
・炭酸リチウム:利尿薬、ACE阻害薬との併用により、リチウム中毒が報告されている為
・非ステロイド性消炎鎮痛剤:カリウム保持性利尿薬との併用で効果の減弱や腎機能障害の方の高カリウム血症の発現が報告されている為
・ミトタン:ミトタンの作用が弱まる恐れがある為

上記を使用している方は、エプレレノンを使用する事が出来ない可能性があります。
エプレレノンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
カリウム保持性利尿薬、(高血圧の方)カリウム製剤:カリウム貯留作用が増強するおそれ(高カリウム血症のリスク)がある為
イトラコナゾール:本剤の代謝を阻害する為(薬が蓄積される=作用・副作用が強くあらわれるおそれ)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
主な自覚症状がなければ高カリウム血症ではないのですか?

高カリウム血症は自覚症状を伴わないこともあります。医師の指示に従い、血圧検査を受けてください。

カリウム値は食事等でも上がるのですか?

カリウムは様々な食品にも多く含まれています。水分を多くとる、便秘を予防する、カリウムを多く含む食品を取りすぎない、調理法を工夫するなど、日常生活でカリウムの上昇を防ぐこともできます。

参考元一覧

エプレレノン(添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

セララを服用される患者さんへ 【PMDA 医療用医薬品 情報検索(よくある質問)】

患者向医薬品ガイド セララ錠 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

医薬品マスター検索(セララ) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】

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