成分名 |
ピモベンダン |
適応症状 |
心不全 |
簡易説明 |
ピモベンダンは日本国内では1994年にベーリンガーインゲルハイム株式会社がカプセル剤(アカルディア:現在は製造中止)として上市した心不全治療薬(強心剤)です。
トーアエイヨー株式会社は三全製薬株式会社との共同研究でアカルディアを錠剤化し、フィルムコーティング錠としてピモベンダン錠(以下、本剤)として2008年11月に発売しました。
なお、本剤のうち1.25㎎錠と2.5㎎錠には割線が入っているので分割することができます。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器内科/他 |
健康保険の適応 |
・下記の状態で、利尿剤等を投与しても十分な心機能改善が得られない場合
心不全
・下記の状態で、ジギタリス製剤、利尿剤等の基礎治療剤を投与しても十分な効果が得られない場合
慢性心不全(軽症~中等症) |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安(*):約1,150円(2.5㎎:81.80円×14日)~1,250円(1.25㎎:44.70円×2錠×14日)
(*)併用するジギタリス製剤、利尿薬等により変わる可能性があります。一般用量で計算していますが、高齢者等は少量(例えば1回1.25㎎)から始める場合もあります。
薬代1錠あたりの目安:0.625㎎ 25.30円/1.25㎎ 44.70円/2.5㎎ 81.80円
薬代後発品1錠の目安:先発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
投与中は血圧、心拍数、心電図、尿量等を定期的に検査します。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:2008年11月12日 |
国内のジェネリック認可 |
現在先発医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
なし(販売中止品:アカルディアカプセル【製薬メーカー:ベーリンガーインゲルハイム株式会社】) |
関連製品(ジェネリック) |
ピモベンダン錠「TE」【製薬メーカー:トーアエイヨー株式会社】 |
効果・作用 |
心不全は「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」(以下、GL2017)では、一般向けの定義として「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義されています。この“心臓が悪い”とは何らかの理由で血液のポンプとしての心臓の機能が悪くなった状態を指しています。
ピモベンダンは主に2つの作用により、この“心臓が悪い”状態を改善する薬です。
一つ目は心臓の収縮機能を高める作用。心臓の筋肉(心筋)はカルシウムイオンを取り込むことで活動していますが、ピモベンダンはそのカルシウムイオンを取り込む受容体の感受性を高める作用があります。
二つ目は血管の拡張作用。ピモベンダンには血管拡張作用があるので、心臓の血管(冠動脈)を広げ血流を増やす事で、カルシウムイオン等の供給量を増やします。
ピモベンダンの臨床試験(アカルディア再審査報告書より)
国内648施設から収集された3,627例の集計結果(有効性評価症例は2,614例)
改善、不変、悪化、判定不能(202例:集計から除外)の3段階評価
無効症例率:
急性心不全:8.0%(52/650例)
慢性心不全:24.7%(526/2,064例)
GL2017では、ピモベンダンは「経口強心薬」として記載されていますが、「QOLの改善、経静脈的強心薬(点滴治療)からの離脱を目的とした短期治療(クラスⅡa:有効である可能性が高い)」、「β遮断薬(降圧剤)導入時の投与(クラスⅡb:有効性がそれほど確立していない)」、「無症状の患者に対する長期投与(クラスⅢ:有効、有用ではなく、ときに有害であるとのエビデンスがある、または見解が一致している」という評価にとどまっています。また「心拍出量の増加と肺毛細血管圧の低下が得られるが、急性心不全の対する明確なエビデンスはない」との記載があります。
なお、GL2017は2021年に最新の研究報告等を基にアップデート版が作成されましたが、その中には経口強心薬の記載はありません(「急性心不全に対する初期対応から急性期対応のフローチャート」はGL2017のままなので、ガイドラインから完全に削除されている訳ではありません)。 |
使用方法 |
〈急性心不全〉
成人には1回2.5㎎を飲みます。患者さんの病態に応じて、2回に分けて飲むことができます。必要に応じて、ジギタリス製剤を併用します。
〈慢性心不全(軽症~中等症)〉
成人には1日2.5㎎を2回に分けて食後に飲みます。患者さんの年齢、症状によって適宜増減します。ただし、ジギタリス製剤、利尿剤等と併用します。 |
副作用 |
主な副作用
副作用発現率(*):6.6%(231/3,526例)
動悸(35件)、心室性期外収縮(22件)、GOT上昇(15件)、GPT上昇(14件)、吐き気(14件)
(*)アカルディアカプセル再審査報告書
重大な副作用
※いずれも頻度不明
心室細動
心室頻拍、心室性期外収縮
肝機能障害、黄疸
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ピモベンダンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ピモベンダン錠「TE」はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ビモベンダン錠「TE」の有効成分
ビモベンダン
▼ビモベンダン錠「TE」の添加物
全規格共通の添加物
・乳糖水和物、結晶セルロース、フマル酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、黄色三二酸化鉄、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウ
0.625㎎のみに含まれる添加物
三二酸化鉄
※本剤は吸収・代謝に個人差があります。
使用に注意が必要な方 ・肥大性閉塞性心筋症、閉塞性弁疾患の方(流出路閉塞が増強するおそれがあります。)
・急性心筋梗塞の方(不整脈があらわれることがあります。)
・重篤な不整脈のある方、房室ブロックのある方(不整脈を助長することがあります。)
・重篤な脳血管障害のある方(病態を悪化させるおそれがあります。)
・重篤な腎機能障害のある方(副作用があらわれやすくなるおそれがあります。)
・腎障害のある方(脱水傾向になることがあり、腎障害が悪化するおそれがあるため、利尿剤を併用する場合は、利尿剤減少するなどの処置が必要となります。)
・重篤な肝障害のある方(副作用があらわれやすくなるおそれがあります。)
・妊婦、妊娠している可能性のある女性(動物実験で胎児への悪影響が報告されています)
・授乳婦(動物実験で母乳への移行が報告されているため、授乳しないことが望ましいとされています。)
・小児(臨床試験を行っていません。)
・高齢者(副作用があらわれやすくなるおそれがあります。)
上記にあてはまる方は、ピモベンダンを使用する事が出来ない可能性があります。 ピモベンダンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 添付文書の記載はありませんが、腎障害のある方などは併用する利尿薬の効果が強くあらわれる場合があります。
上記を使用している方は、ピモベンダンを使用する事が出来ない可能性があります。 ピモベンダンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ピモベンダンに関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ピモベンダン(添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
再審査報告書(アルカディアカプセル) 【PMDA 再審査報告書】
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) 【一般社団法人 日本心不全学会 ステートメント・ガイドライン】
2021年 JCS/JHFSガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療 【一般社団法人 日本心不全学会 ステートメント・ガイドライン】 |
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