成分名 |
メチルジゴキシン |
適応症状 |
心不全/頻脈など |
簡易説明 |
ケジギタリスという植物から抽出されたジゴキシンには適度な排泄速度のため効果持続時間が適切であるという長所がある。また吸収率が高い一方、排泄速度が遅いという難点があり、この難点を克服する研究が行われてきました。
ジゴキシンの一部を変化(メチル化)させたメチルジゴキシンは、良好な吸収、ジギタリスより早い排泄速度、ジゴキシンと同等の薬理作用を持つ成分として開発されました。
日本国内では、中外製薬がメチルジゴキシンを主成分とする「ラニラピッド錠」(以下、本剤)を開発しました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応
・次の疾患に基づくうっ血性心不全
先天性心疾患、弁膜疾患、高血圧症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
・心房細動・粗動による頻脈、発作性上室性頻脈 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:約200円(0.1㎎×30日)~410円(0.2㎎×30日)
※維持療法の場合で計算していますが、本剤は患者さんの症状や薬の反応性等によって服用量が異なります。
薬代1錠あたりの目安:0.05㎎ 5.70円/0.1㎎ 6.60円
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1979年7月5日 |
国内のジェネリック認可 |
国内ジェネリック認可あり |
関連製品(先発薬) |
ラニラピッド錠(0.05㎎、0.1㎎)【製薬メーカー:中外製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
メチルジゴキシン錠「NIG」(0.05㎎、0.1㎎)【製薬メーカー:日医工岐阜工場株式会社】 |
海外での使用実績 | 販売されていません(2020年10月現在) |
効果・作用 |
メチルジゴキシンはジゴキシンの改良成分なので、薬理作用はジゴキシンと同様です。
心臓はナトリウムイオンとカリウムイオンを交換することで活動エネルギーを生み出します。また、ナトリウムイオン交換で取り込まれるカルシウムイオンが心筋の収縮力を高める働きがあります。
ジゴキシンはナトリウムイオンとカリウムイオンの交換を阻害する薬です。この結果、心筋に相対的に増えたナトリウムイオンがカルシウムイオンと交換され、心筋の働きが強くなる強心作用を発現します。
メチルジゴキシンの効果は主にジゴキシンとの比較試験で確認されています。
心収縮力、心不全に対する作用、強心作用はいずれもジギタリスと同程度であることが動物実験で確認されています。
【国内で行われた臨床試験成績】(有効率)
・心房細動・粗動による頻脈:飽和療法 95.7%(45/47)、維持療法 81.7%(201/246)
・発作性上室性頻脈:維持療法 75.0%(3/4)
・先天性心疾患:飽和療法:100.0%(2/2)、維持療法 88.5%(23/26)
・弁膜疾患:維持療法 88.5%(23/26)、維持療法 76.8%(116/151)
・高血圧症:維持療法 100.0%(9/9)、維持療法 77.1%(54/70)
・虚血性心疾患:飽和療法 100.0%(17/17)、維持療法 81.9%(59/72)
なお、本剤はジゴキシン同様に緊急を要さない患者には治療開始初期から維持量(定用量処方)を行う、少量から開始して患者さんごとに異なる適正な使用量を調節する、などの注意がなされています。 |
使用方法 |
・急速飽和療法(飽和量:0.6~1.8㎎)
初回0.2~3㎎(0.05㎎:4~6錠、0.1㎎:2~3錠)、以後1回0.2㎎(0.05㎎:4錠、0.1㎎:2錠)を1日3回飲み、十分に効果があらわれるまで続けます。
・維持療法
1日0.1~0.2㎎(0.05㎎:2~4錠、0.1㎎;1~2錠)飲みます。 |
副作用 |
主な副作用
副作用発現率:2.5%(116/4,667)
重大な副作用
・ジギタリス中毒:消化器、眼、精神神経系症状があらわれることが多いのですが、不整脈が先にあらわれることもあります。
・非閉塞性腸間膜貧血:激しい腹痛、血便等
その他の副作用
・消化器:吐き気・嘔吐(0.8%)、食欲不振(0.6%)、下痢
・循環器:不整脈(0.5%)、動悸
・精神神経系:頭痛
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■房室ブロック、洞房ブロック、閉塞性心筋疾患の方
症状を悪化させることがある為、服用できません。
■ジギタリス中毒の方
中毒症状が悪化する為、服用できません。
■メチルジゴキシンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ラニラピッド錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ラニラピッド錠の有効成分
メチルジゴキシン
▼ラニラピッドの添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク
(0.05㎎のみ:プロピルセルロース)
使用に注意が必要な方 ・急性心筋梗塞の方:症状を悪化させるおそれがあります。
・心室性期外収縮の方:ジギタリス中毒との鑑別ができないおそれがあります。
・心膜炎、肺性心、電解質異常(*):少量でジギタリス中毒をおこすおそれがあります。
(*)低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症、等)
・WPW症候群(生まれつきの心疾患)の方:不整脈が悪化するおそれがあります。
・甲状腺機能低下症の方:本剤の作用が増強され、ジギタリス中毒をおこすおそれがあります。
・甲状腺機能亢進症の方:本剤の作用が減弱され、大量投与を要することがあります。
・腎疾患のある方:本剤の排泄が遅れるため、ジギタリス中毒をおこすおそれがあります。特に血液統制を受けている方は血清カリウムの低下に伴うジギタリス中毒をおこすおそれがあります。
・妊婦:治療の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ使用します。
・授乳婦:有益性を考慮した上で、授乳継続の可否を検討します。
・小児・高齢者:ジギタリス中毒がおこりやすいため、少量から開始します。
上記にあてはまる方は、メチルジゴキシンを使用する事が出来ない可能性があります。 メチルジゴキシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・本剤の作用を増強するため、ジギタリス中毒があらわれることがある薬
カルシウム(飲み薬)、カルシウム含有製剤、解熱・鎮痛・消炎剤、トラゾドン塩酸塩、抗コリン剤、不整脈用剤、β遮断薬、利尿剤(カリウム排泄型利尿剤、スピロノラクトン、トルバプタン、レセルビン系薬剤、テルミサルタン、カルシウム拮抗剤、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物、ポリスチレンスルホン酸塩、交感神経刺激剤、プロトンポンプ阻害剤、ビタミンD製剤、ジスルフィラム、シクロスポリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ガチフロキサシン水和物、テトラサイクリン塩酸塩、アジスロマイシン、アムホテリシンB、エンビオマイシン、リトナビル、エトラビリン、レジパスビル/ソホスブビル配合剤、イトラコナゾール、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、チアマゾール、プロピルチオウラシル、ベムラフェニブ
・本剤の作用が減弱することがある薬
カルバマゼピン、コレスチラミン、コレスチミド、スクラルファート水和物、制酸剤、フラジオマイシン、リファンピシン、サラゾスル、ファピリジン、乾燥甲状腺、レボチロキシンナトリウム水和物、リオチロニンナトリウム、アカルボース、ミグリトール、セイヨウオトギリソウ含有食品
・カルシウム(注射剤):血中カルシウム濃度上昇により本剤の毒性が急激にあらわれることがあります。
・スキサメトニウム塩酸塩水和物:重篤な不整脈を起こすおそれがあります。
・ブビバカイン:ブビバカインの副作用を増強したとの報告があります。
・ヘパリン:ヘパリンの作用を減弱するおそれがあります。
・吐き気止め:ジギタリス中毒の消化器症状を隠すおそれがあります。
上記を使用している方は、メチルジゴキシンを使用する事が出来ない可能性があります。 メチルジゴキシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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