ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩

成分名

ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩

適応症状

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

簡易説明

ダビガトランエキシテートは直接トロンビン阻害剤と呼ばれる抗凝固剤になります。
主に血液を固まりにくくすることで血栓ができるのを防ぐための医薬品になります。
血液が固まりやすくなると、血栓ができやすくなり、結果として脳梗塞が起こりやすくなります。
ダビガトランエキシテートを服薬する事で、血液の固まりやすさをちょうどよい状態に調整する事で心房細動が原因とされる脳卒中及び全身性塞栓症の発症を抑制します。
従来から標準的に用いられてきたワルファリンよりも効果の発現が速く、同等以上の効果が期待できます。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/産婦人科/循環器内科/脳神経内科/心臓血管外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:75mg約135円/110mg約240円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2011年1月21日製造販売承認
2011年3月11日薬価基準収載
2011年3月14日販売開始

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

プラザキサカプセル75mg/110mg【製薬メーカー:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社】

関連製品(ジェネリック)

なし

海外での使用実績

EU
2008年3月人工股関節又は人工膝関節全置換術)施行患者における静脈血栓塞栓イベントの一次予防を承認
それ以降2011年8月・2014年4月・2021年3月と各適応症の承認を取得しました。

米国
2010年10月非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症のリスク低減を承認
それ以降2014年4月・2015年11月と各適応症の承認を取得しました。

効果・作用

ダビガトランは非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
血液凝固反応のカスケード上において、その最終段階であるトロンビンを直接、競合的かつ可逆的に阻害します。その結果フィブリノーゲンからフィブリンに変換する反応が阻害される事で血栓形成を抑制しその抗凝固作用を発揮します。

【心原性脳塞栓症とは?】
脳の血管が何らかの原因で詰まってしまう疾患を総称して「虚血性脳卒中(脳梗塞)」と呼びます。脳梗塞にはその原因から①心原性脳塞栓症②ラクナ梗塞③アテローム血栓性脳梗塞④その他の脳梗塞に分類されております。
心原性脳塞栓症とは心臓で発生した血栓が脳の血管を塞栓してしまう疾患の事を呼びます。
心臓で血栓が発生しやすい疾患として、不整脈の一種の「心房細動」があります。心房細動が起きると通常の心臓のポンプとしての役割ができなくなってしまい、心臓内に血液が長時間滞留してしまい、その結果血栓が形成しやすくなると考えられております。

【止血のメカニズム】
止血には、血小板が関与する一次止血と、凝固因子が関与する二次止血があります。
出血が起こるとまずは血中に存在する血小板が活性化し、損傷部位へ集まってきて血栓を形成する事で止血を行います。これを一次止血と呼びます。しかしこれだけでは簡単にはがれてしまう為、一次止血を補強する目的で二次止血が行われます。二次止血では一次止血によってできた血栓の周囲をフィブリンと呼ばれるたんぱく質で覆う事で、より強固な止血血栓を完成させます。二次血栓に関与するフィブリンは様々な「凝固因子」と呼ばれるものが血液凝固反応を引き起こすことによって生成されます。
「血液凝固反応」とは、全部で14種類の凝固因子が活性化する事で引き起こされます。この活性化するカスケードの最終段階においてトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変換する事で二次止血を行います。

使用方法

通常、成人に使用する場合には医薬品主成分である「ダビガトランエテキシラート」として、1回の投与量として150mgを1日2回に、使用する医薬品の規格量としては75mgカプセルを用い、1回に2カプセルを内服させる事とされております。なお、使用する患者の状態に応じて、医薬品主成分である「ダビガトランエテキシラート」として、1回の投与量を150mgから110mgへと減量し、同様に1日2回投与する事。使用する医薬品の規格量としては110mgカプセルを用い、1回に1カプセルを内服させるさせる事とされております。
患者の状態に応じて減量する場合、考慮すべき点としては①中等度の腎機能障害のある患者、②内服投与におけるP-糖蛋白阻害薬を服用している患者、③70歳以上の患者、④消化管からの出血の既往歴がある患者が該当になります。これらの患者に使用した場合には、医薬品主成分である「ダビガトランエテキシラート」の血中における濃度が急激に上昇する可能性があるとの報告があるとともに、③④の患者においては出血の危険性がたかいと判断される場合が多いため、本剤の1回投与量としては110mgを1日2回に投与する事を考慮し、状態を見ながら慎重に使用するべきであるとの報告がございます。

副作用

重大な副作用
1)出血(消化管出血、頭蓋内出血等)
消化管出血(1.6%)、頭蓋内出血(頻度不明)が現れる事があります。
特に本剤の投与により消化管出血等の出血による死亡例が報告されておりますので投与においては慎重に判断する事が必要とされております。
しかし、ワルファリンであればPT-INRを指標に用いますが、ダビガトランにおいてはワルファリンと異なり本剤投与における出血リスクを正確に評価できる指標がない為、投与する場合には常に患者の状態に注意を払う必要があります。
また患者においても出血があった場合には直ちに医師に連絡するようあらかじめ指導しておく必要がございます。鼻血、歯ぐきからの出血、便に血が混じるなどが患者において最もわかりやすく理解しやすい指標となる為、常に確認してもらう様あらかじめ説明しておく必要がございます。
2)間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められることがあります。
3)アナフィラキシー(頻度不明)
じん麻疹、顔面腫脹、呼吸困難等が現れる事があります。
4)急性肝不全、肝機能障害、黄疸いづれも頻度不明になります。
特に本剤は腎排泄になる為適宜腎機能の検査をする必要がございます。

その他の副作用
1)血液及びリンパ系障害
貧血、凝血異常、好酸球増加症(1%未満)
血小板減少症、好中球減少症(頻度不明)
2)免疫系障害
気管支痙攣、薬物過敏症、そう痒、血管浮腫(頻度不明)
3)神経系障害
傾眠、浮動性めまい(1%未満)
4)眼障害
結膜出血、結膜ポリープ(1%未満)
5)心臓障害
動悸、うっ血性心不全(1%未満)
6)血管障害
創傷出血、高血圧(1%未満)
血腫、出血(頻度不明)
7)呼吸器障害
鼻出血(1.3%)
しゃっくり、口腔咽頭不快感、咽喉絞扼感、口腔咽頭痛、胸水(1%未満)
喀血(頻度不明)
8)胃腸障害
消化不良(4.7%)、胃食道炎(3.1%)、悪心(2.8%)、腹部不快感(2.2%)、上腹部痛(1.9%)、心窩部不快感(1.6%)、嘔吐(1.3%)、消化管潰瘍(1.3%)
便秘、歯肉出血、歯肉炎、痔出血、腹部膨満、口腔内出血、下痢、胃腸障害、嚥下障害、胃食道逆流性疾患、吐血,胃酸過多、血便排泄、痔核、口の錯感覚(1%未満)
腹痛(頻度不明)
9)肝胆道系障害
肝障害、胆嚢ポリープ(1%未満)
10)皮膚及び皮下組織障害
皮下出血(3.1%)
発疹、湿疹、じん麻疹、皮膚乾燥、皮膚出血(1%未満)
脱毛症(頻度不明)
11)筋骨格系及び結合組織障害
背部痛、関節腫脹、筋痙縮(1%未満)
出血性関節症(頻度不明)
12)腎及び尿路障害
血尿(1.3%)
腎機能障害、腎不全、排尿困難(1%未満)
尿生殖器出血(頻度不明)
13)生殖系及び乳房障害
女性化乳房、良性前立腺肥大症(1%未満)
14)全身障害及び投与局所様態
胸痛(2.2%)、浮腫(1.6%)
胸部不快感、異常感、熱感、疲労、歩行障害(1%未満)
注射部位出血、カテーテル留置部位出血(頻度不明)
15)臨床検査
ヘモグロビン減少、血中ビリルビン増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、便潜血陽性、肝酵素上昇、血小板数減少(1%未満)
白血球数減少、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(頻度不明)
16)傷害、中毒及び処置合併症
硬膜下血腫、創傷(1%未満)
切開部位出血、外傷性出血(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方プラザキサカプセル75mg/110mgは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼プラザキサカプセル75mg/110mgの有効成分
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
▼代表薬の添加物
酒石酸、アラビアゴム末、ヒプロメロース、ジメチルポリシロキサン、タルク、ヒドロキシプロピルセルロース
カプセル本体にカラギーナン、塩化カリウム、酸化チタン、食用青色2号、ヒプロメロース
食用青色2号はプラザキサカプセル110mgにのみ使用されております。
2)透析患者を含む高度の腎障害のある患者
本剤は主に腎臓を介して排泄される医薬品である為、腎障害のある患者において使用した場合には、本剤の血中濃度が上昇する事により、ダビガトランの作用が増強する事に伴い、出血リスクが助長する危険性があります。本剤を投与する前には必ず腎機能を確認し、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の患者には使用できません。
3)出血症状のある患者、出血性素因のある患者及び止血障害のある患者
本剤はそもそも抗凝固薬である為、もともと出血のある患者への使用はさらなる出血を助長する可能性がある為使用できません。
4)臨床的に問題となる出血リスクのある器質的病変のある患者
例えば6カ月以内に出血性脳卒中を起こした患者等が該当します。使用により出血リスクの危険性が高まる為使用できません。
5)脊椎・硬膜外カテーテルを留置している患者及び抜去後1時間以内の患者
出血のリスクが高い状態での使用は皿習う出血リスクが増大するため使用できません。
6)経口薬としてイトラコナゾールを投与中の患者
本剤はP-糖蛋白の基質である為、P-糖蛋白阻害剤であるケトコナゾールの使用によってダビガトランの血中濃度が増大したとの報告がございます。その為、同じアゾール系抗真菌薬であるイトラコナゾールの経口剤においても同様の作用が期待されるため使用できません。
日本においてケトコナゾールは外用薬のみの販売となっておりますので該当にはなりません。

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①消化管出血の既往歴のある患者及び上部消化管の潰瘍の既往歴のある患者
②出血の危険性が高いと考えられる患者
本剤はそもそも抗凝固薬である為、出血の危険性がが高い状態で使用すると、出血リスクが更に増大する可能性がございます。出血の危険性が高い患者において使用する場合には本剤の減量を考慮する事とされております。
2)腎機能障害患者
腎機能障害患者へ本剤を投与した場合、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある為、適宜腎機能を測定し、クレアチニンクリアランスの値によっては本剤と投与しないこととされております。
3)妊婦
動物実験において胎児に移行する事が認められております。
4)授乳婦
動物実験において乳汁中へ移行する事が認められております。
5)小児等
6)高齢者
一般的に高齢者は腎機能が低下している為、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある為使用において注意が必よとなります。

上記にあてはまる方は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)血小板凝集抑制作用を有する薬剤「チクロピジン塩酸塩、アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、ジピリダモール等」
本剤はもともと抗凝固作用を有するため、これらの薬剤と併用すると出血を助長する可能性がある為注意が必要です。
2)抗凝固剤「ワルファリンカリウム、未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ヘパリン誘導体、フォンダバリヌクスナトリウム等」
血栓溶解剤「ウロキナーゼ、t-PA製剤等」
非ステロイド性消炎鎮痛剤「ジクロフェナクナトリウム等」
本剤は抗凝固作用を有するため、これらの薬剤と併用すると出血を助長する可能性がある為注意が必要です。
3)P-糖蛋白阻害剤(経口剤)「ベラパミル塩酸塩、アミオダロン塩酸塩、タクロリムス、シクロスポリン、リトナビル、キニジン硫酸塩水和物、ネルフィナビル、サキナビル、グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル配合剤等、クラリスロマイシン、カルバマゼピン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等」
本剤による号凝固作用が増強する可能性がある為注意が必要です。
4)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
機序は不明ですが、これらの薬剤との併用する事で出血の危険性が増大したとの報告がある為注意が必要です。

上記を使用している方は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
経口投与によるP-糖蛋白阻害剤「イトラコナゾール(経口剤)」
併用する事で本剤の代謝が阻害され、ダビガトランの血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するとの報告がある為、併用できません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
飲み忘れたときはどうしたらよいか?

飲み忘れた場合はできるだけ早く1回分を服薬してください。但し、次の服用時間まで6時間以上あけて飲んでください。決して2回分を一度の飲まないよう注意してください。

抜歯する場合はどうしたらよいか?

手術や歯の治療などを受ける際には、休薬する可能性もある為必ずこの薬を飲んでいることを医師に伝えてください。

どのように保管しておいたら良いか?

この薬は吸湿性がある為、服用直前にPTPシートから取り出して服薬してください。薬は直射日光と湿気を避けて室温(1~30度)で保管するようにして下さい。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。