トリクロルメチアジド

成分名

トリクロルメチアジド

適応症状

高血圧症/悪性高血圧/肝性浮腫/心性浮腫/腎性高血圧症/腎性浮腫/うっ血性心不全/本態性高血圧症/月経前緊張症

簡易説明

体内の余分な水分などを尿として排泄させ、むくみや高血圧を改善する薬です。
高血圧を改善することにより心臓の負担が軽くなり、心臓病や脳卒中、腎臓病を防ぐことに繋がります。
海外におけるいくつかの臨床試験において、寿命を延ばす効果があることが証明されています。
また、副作用が少ない・古くからある薬であり薬価が安いのがメリットとして挙げられます。

処方可能な診療科目

内科/泌尿器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

トリクロルメチアジド錠2mg(ジェネリック)を処方してもらう場合。
診察料などの目安:約1000円~約2000円(保険により3割負担の場合)
薬代1錠あたりの目安:約6.2円(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1960年11月販売開始(新薬:フルイトラン錠2mg)

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

フルイトラン錠1mg/2mg(シオノギファーマ)

関連製品(ジェネリック)

トリクロルメチアジド錠1mg/2mg(武田テバファーマ、日本ジェネリック、ニプロ、シオノケミカル、辰巳化学、陽進堂、コーアイセイ、鶴原製薬、東和薬品、日医工)
クバクロン錠2mg(シオノケミカル)

効果・作用

体内の余分な水分を、塩分とともに尿として排出します。それにより血圧が下がって心臓の負担も軽くなり、むくみの解消につながります。主に、高血圧症、心不全、肝硬変、などの治療に使用されます。

体のむくみの原因の一つとして、体内に過剰な水分が蓄えられるというのがあります。血液にも水分が含まれているため、体内の水分増加は高血圧の原因になる場合があるのです。腎臓の尿細管では尿に含まれている電解質や水分などを血液中へ戻す再吸収が行われています。この再吸収を抑制することにより、尿として塩分や水分などを排出することができます。

本剤は、主に腎臓の遠位尿細管における塩分や水分の再吸収を抑えることで尿として水分を排出し、体内の余分な水分を減らします。こうして体内の水分量が減ることにより、高血圧やむくみの改善、心臓の負担の軽減が期待できます。ちなみに、腎性尿崩症においては、近位尿細管での水分の再吸収促進作用が優勢となるため、かえって尿量が減少することがあります。

なお、本剤の成分の中には、他の降圧成分と配合された製剤が複数存在します。具体的には、ARBとの配合製剤(ARB・利尿薬配合剤)であるプレミネント配合錠やイルトラ配合錠などがそれにあたります。

副作用については、少量であれば、ほとんど出ません。飲み始めに体のだるさを感じることがありますが、徐々に慣れてきます。服用量が多いと、脱水や血圧の低下により強いめまいや立ちくらみを起こすことがあります。とくに高齢の人、また他の薬と併用するときに注意してください。また、長期にわたって多くの量を飲み続けると、血液中のナトリウムやカリウム分が減ってしまったり、逆に、カルシウム、血糖、尿酸値などが増えてくることがあります。定期的に血液の検査を受けることが大切です。

また、まれに光線過敏症を起こすことがあります。もし日光にあたった部分に発疹ができたら、早めに医師に申し出てください。

使用方法

通常、成人は1日に2~8mgを1~2回に分けて経口服用します。(年齢、症状により適宜増減して下さい。)
高血圧症に用いる場合は、少量から服用を始めて徐々に増量して下さい。
また、悪性高血圧に用いる場合は、通常、他の降圧剤と併用されます。

副作用

重大な副作用
再生不良性貧血/低ナトリウム血症/低カリウム血症/間質性肺炎/肺水腫 など

その他の副作用
発疹/顔面潮紅/光線過敏症/電解質失調(低クロール性アルカローシス、血中、カルシウムの上昇等)/血清脂質増加/高尿酸血症/高血糖症/肝炎/食欲不振/悪心・嘔吐/口渇/腹部不快感/便秘/胃痛/膵炎/下痢/唾液腺炎/眩暈/頭痛/知覚異常/視力異常(霧視等)/黄視症/倦怠感/動悸/鼻閉/全身性紅斑性狼瘡の悪化/筋痙攣 など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・無尿の患者。効果が期待できないため。
・急性腎不全の患者。腎機能を更に悪化させるおそれがあるため。
・体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者。低ナトリウム血症、低カリウム血症等の電解質失調を悪化させるおそれがあるため。
・チアジド系薬剤又はその類似化合物に対する過敏症の既往歴のある患者。

使用に注意が必要な方
・進行した肝硬変症のある患者。肝性昏睡を誘発することがあるため。
・重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者。急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがあるため。
・重篤な腎障害のある患者。腎機能を更に悪化させるおそれがあるため。
・肝疾患・肝機能障害のある患者。肝機能を更に悪化させるおそれがあるため。
・本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者。高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、血糖値の悪化や顕性化のおそれがあるため
・下痢、嘔吐のある患者。電解質失調を起こすおそれがあるため。
・高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症のある患者。血清カルシウムを上昇させるおそれがあるため。
・ジギタリス剤、糖質副腎皮質ホルモン剤又はACTHの投与を受けている患者。
・減塩療法時の患者。低ナトリウム血症等の電解質失調を起こすおそれがあるため。
・高齢者
・乳児
・交感神経切除後の患者。本剤の降圧作用が増強されるため。

上記にあてはまる方は、トリクロルメチアジドを使用する事が出来ない可能性があります。
トリクロルメチアジドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
バルビツール酸誘導体/アヘンアルカロイド系麻薬/アルコール/昇圧アミン/ツボクラリン及びその類似作用物質/その他降圧剤/ジギタリス剤/糖質副腎皮質ホルモン剤/ACTH/グリチルリチン製剤/甘草含有製剤/糖尿病用剤/リチウム製剤/コレスチラミン/非ステロイド系消炎鎮痛剤

上記を使用している方は、トリクロルメチアジドを使用する事が出来ない可能性があります。
トリクロルメチアジドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
デスモプレシン酢酸塩水和物
低ナトリウム血症が発現するおそれがあります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
かなり古くからある薬のようだが大丈夫でしょうか。

古くからあるが故に実績も多く、安全なお薬と言えます。薬価が安くて副作用も比較的少ないのも大きなメリットです。

痛風には効きますか。

痛風の患者さんには慎重投与とされているお薬です。効く一方で副作用が出る可能性もあるので、医師や薬剤師にご相談下さい。

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