成分名 |
アセブトロール塩酸塩 |
適応症状 |
高血圧/狭心症/不整脈 ※発売中止のため、適応はありません。 |
簡易説明 |
アセブトロール塩酸塩は1969年にイギリスのメイ・アンド・ベーカー社(現サノフィグループ)で開発された心選択性を持つβ遮断薬です。
日本国内では1973年より開発が開始され、1981年にアセタノールカプセル(以下、本剤)として製造承認を取得、販売が開始され、1983年に本態性高血圧症の適応が追加承認されました。
2020年11月にサノフィ株式会社より販売中止の案内が発出され、2022年3月末日に経過措置期間満了を迎え薬価削除となりました。なお、在庫消尽による販売中止時期は2021年12月が予定されていました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器内科など ※販売中止のため、処方はできません。 |
健康保険の適応 |
※販売中止のため、適応はありません。
本態性高血圧症(軽症~中等症)
狭心症
頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮、発作性上室性頻脈、新鮮心房細動、除細動後の洞調律の維持) |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
販売中止のため、薬価はありません。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1981年9月1日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
アセタノールカプセル(100、200)【製薬メーカー:サノフィ株式会社】 ※販売中止 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
イギリス(サノフィグループ)
1974年 狭心症・不整脈承認
1976年 高血圧症承認
フランス(サノフィグループ)
1975年 狭心症・不整脈承認
1978年 高血圧症承認 |
効果・作用 |
β遮断薬であるアセブトロール塩酸塩は、β1選択性、内因性交感神経刺激作用、膜安定化作用、降圧作用、血漿レニン活性抑制作用、循環動態が基礎研究にて確認されています。
・β1選択性
ヒト摘出心房筋、摘出気管支筋を用いた実験等で、交感神経の興奮およびカテコールアミン投与により引き起こされる生体反応を心臓に強く反応することを確認しました。
・内因性交感神経刺激作用
ラット心機能を指標とした実験でカテコールアミン枯渇時に軽度のβ刺激作用が確認できました。
・膜安定性
ウサギ摘出心房で不応期延長作用を示し、膜安定化作用(キニジン様)を示しました。
・降圧作用
実験的高血圧動物、性状血圧ラットで降圧作用を認めました。実験的高血圧動物では利尿剤と併用で、持続的な降圧作用を示しました。
・血漿レニン活性抑制作用
健康成人の血漿レニン活性を有意に低下させました。この作用は心拍数の減少や血圧の降下作用から、降圧効果との関連が考えられています。
・循環動態
本態性高血圧患者に投与した結果、心拍出量の有意な減少が見られましたが、全末梢抵抗係数には変化を与えませんでした。
これらの薬理作用を確認するために行われた臨床試験で本剤の有効性が確認されました。
・本態性高血圧患者を対象とした試験
本剤200~400mgを1日1~2回に分けて投与し、対象薬と比較して有用性が認められました。
・本態性高血圧患者を対象とした交叉比較試験(1日400mgを14日間、7日間ごとの比較試験)
24時間安定した降圧効果が確認され、血圧日内変動に及ぼす影響がないことが確認されました。
・本態性高血圧患者を対象に14~38ヵ月投与した試験
試験終了時まで安定した降圧効果が認められました。
・狭心症患者を対象とした試験
本剤600mgを1日3回に分けて投与し、対象薬と比較して有用性が認められました。
・不整脈患者を対象とした試験
本剤300~600mgを1日3回に分けて投与し、対象薬と比較して有用性が認められました。 |
使用方法 |
・本態性高血圧
1日200~400mgを1~2回に分けて飲みます。年齢、症状により適宜増減します。
・狭心症、不整脈
1日300~600mgを3回に分けて食後に飲みます。年齢、症状により適宜増減します。
※販売中止 |
副作用 |
副作用発現率:2.70%(511例/18,895例)
【主な副作用】
めまい・立ちくらみ 0.47%(89件)、徐脈 0.32%(61件)
(0.1~1%未満の副作用)
循環器:低血圧、徐脈、浮腫
精神神経系:めまい・立ちくらみ、頭痛
消化器:腹痛、悪心
【重大な副作用】
・心不全、房室ブロック:心機能検査を定期的に行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、中止などの適切な処置を行います。
・SLE様症状:関節症状、皮膚症状等を初期症状とする症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
※SLE:Systemic Lupus Erythematosus。全身性エリテマトーデス
・間質性肺炎:発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■糖尿病ケトアシドーシス、代謝性ケトアシドーシスの方
アシドーシスに基づく心筋収縮力の抑制を増強させるおそれがあります。
■高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロックのある方
心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化するおそれがあります。
■心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の方
心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがあります。
■未治療の褐色細胞腫の方
本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあります。α-遮断薬で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα-遮断薬を併用します。
■妊婦および妊娠している可能性のある方
安全性が確立していません。
■授乳婦の方
乳汁への移行が動物実験で報告されています。
■アセブトロール塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アセタノールカプセルはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アセタノールカプセルの有効成分
アセブトロール塩酸塩
▼アセタノールカプセルの添加物
(内容物)
バレイショデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
(カプセル)
ゼラチン、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化チタン
使用に注意が必要な方 ・気管支喘息、気管支痙攣の方(そのおそれがある方を含む):気管支を収縮し症状を誘発もしくは悪化させるおそれがあります。気管支拡張剤を併用するなど慎重に投与します。
・うっ血性心不全のおそれがある方:心機能を抑制し症状を発現するおそれがあります。ジギタリス剤や利尿剤を併用するなど慎重に投与します。
・特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の方:低血糖症状をおこしやすく症状が隠蔽されやすいので、血糖値に注意して投与します。
・徐脈、房室ブロック(Ⅰ度)の方:心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがあります。
・重篤な肝、腎機能障害のある方:薬物代謝・排泄が遅延する(薬が体内に蓄積する)おそれがあります。
・末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)の方:心拍出量を抑制するため、症状が増悪するおそれがあります。
・低血圧症の方:降圧作用により症状を悪化させるおそれがあります。
・異形狭心症の方:症状を悪化させるおそれがあります。
・甲状腺中毒症の方:頻脈等の症状を隠蔽するおそれがあります。
・高齢者:一般に過度の降圧は好ましくないとされています。低用量から投与を開始します。
・小児等:安全性が確立していません。
上記にあてはまる方は、アセブトロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アセブトロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・交感神経系に対し抑制的に作用する薬:過剰の交感神経抑制をきたすおそれがあります。
・血糖降下薬:血糖降下作用が増強することがあります。また頻脈、発汗等の低血糖症状を隠蔽することがあるので血糖値に注意が必要です。
・カルシウム拮抗剤:心伝導障害(徐脈、房室ブロック等)、うっ血性心不全があらわれることがあります。
・クロニジン:クロニジン投与中止後のリバウンド現象を増強数rおそれがあります。クロニジンを中止する際は、本剤を先に中止してからクロニジンを徐々に減量します。
・クラスⅠ抗不整脈薬:過度の心機能抑制があらわれるおそれがあります。
・ジギタリス製剤:心伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがあります。
・非ステロイド性抗炎症剤:本剤の降圧作用が減弱するおそれがあります。
・麻酔剤:心機能抑制が過剰にあらわれるおそれがあります。
・フィンゴリモド塩酸塩:フィンゴリモド塩酸塩投与開始時に本剤を併用すると、重度の徐脈や心ブロックがおこることがあります。
上記を使用している方は、アセブトロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アセブトロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
アセブトロール塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
アセブトロール塩酸塩(アセタノール 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
アセタノールカプセル 販売中止のご案内 【サノフィ株式会社】 |
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