メトホルミン塩酸塩

成分名

メトホルミン塩酸塩

適応症状

・2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限ります。
食事療法・運動療法のみ
食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用

・多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激(適応は一部メーカ、商品に限る)
ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限ります。

簡易説明

糖尿病は高血糖状態が続くと合併症を引き起こす病気であり、肝臓での糖新生の亢進や筋肉・脂肪組織での糖取り込みの低下、小腸での糖吸収増加が血糖値を上げる原因となります。この薬は、肝臓での糖新生を抑制する作用に加えて、インスリン抵抗性を改善することで筋肉・脂肪組織での糖取り込みを促進し、小腸での糖吸収を抑制することによって複数の作用によって血糖値を改善します。ただし、使用する製剤によって承認された1日の上限量が異なる場合がある点にご注意ください。

処方可能な診療科目

糖尿病内科/肝臓内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~2,000円
薬代1錠当たりの目安:500㎎1錠約11.6円/(薬価)
薬代後発薬1錠当たりの目安:500㎎1錠約10.1円/(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:メトグルコ錠250㎎:2013年12月1日
発売年月日:メトグルコ錠500㎎:2013年8月1日

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

グリコラン錠250mg【製薬メーカー:日本新薬】
メトグルコ錠250mg/500㎎【製薬メーカー:住友ファーマ】

関連製品(ジェネリック)

メトホルミン塩酸塩錠500mgMT:「ファイザー」/「三和」/「TE」/「JG」/「ニプロ」/「DSEP」/「TCK」/「日医工」/「DSPB」/「明治」/「明治」/「VTRS」
メトホルミン塩酸塩錠500㎎:「SN」/「トーワ」
メトホルミン塩酸塩錠250mg:「SN」/「トーワ」
(海外)
METFORMIN (Aphena Pharma Solutions - Tennessee), METFORMIN (Granules Pharmaceuticals), METFORMIN (Ingenus Pharmaceuticals), METFORMIN (Legacy Pharmaceutical Packaging), METFORMIN (NuCare Pharmaceuticals), METFORMIN (REMEDYREPACK), METFORMIN ER 500 MG (Granules India)など

海外での使用実績

アメリカ:アメリカでは、メトホルミン塩酸塩は2型糖尿病の治療に広く使われている薬剤です。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、メトホルミン塩酸塩を含む複数のブランド名で市販されているジェネリック医薬品を承認しています。また、FDAはメトホルミン塩酸塩を単独で使用するだけでなく、他の糖尿病薬剤と併用することを推奨しています。

また、メトホルミン塩酸塩は、2型糖尿病以外の用途でも使用されています。たとえば、ポリシステム性卵巣症候群(PCOS)の治療に使用されることがあります。メトホルミン塩酸塩は、多くの場合、他の医薬品との併用によって使用されます。

イギリス:イギリスでも、メトホルミン塩酸塩は2型糖尿病の治療に広く使用されています。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)は、メトホルミン塩酸塩を含む多くのジェネリック医薬品を承認しています。メトホルミン塩酸塩は、2型糖尿病の第一選択の治療薬として推奨されています。

効果・作用

糖尿病とは、血液中の糖(ブドウ糖)が正常値を超えて増加し、血糖値が高くなる状態を指します。この状態が長期間続くと、様々な合併症が引き起こされます。

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンであり、血糖値を下げる作用があります。しかし、インスリンが効きにくくなっている状態(インスリン抵抗性がある状態)では、血糖値を下げることが困難となります。例えば、筋肉や脂肪組織における糖の取り込みが低下すると血糖値が上昇しやすくなります。

メトホルミン塩酸塩は、主に肝臓からの糖の放出を抑える作用があります。また、インスリン抵抗性を改善し、筋肉や脂肪組織における糖の取り込みを促進する作用、腸管(小腸)での糖吸収を抑える作用を示します。これらの作用が組み合わさることで、血糖値の改善が期待されます。また、トリグリセリド(中性脂肪)やLDLコレステロールの値を改善する働きも期待されます。そのため肥満型糖尿病の改善に効果が期待されています。

また、メトホルミン塩酸塩は、2型糖尿病以外の用途でも使用されています。たとえば、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療に使用されることがあります。ほか適応外ですが脂肪肝などの改善に効果があるとも言われていて、他の治療薬と併用されることが多くあります。

商品によって、上限量や禁忌が異なるので注意が必要です。

使用方法

■メトグルコ/メトホルミン塩酸塩MT:
<2型糖尿病>通常、成人はメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口服用します。維持量は効果を観察しながら決めますが、通常1日750~1,500mgとするのが一般的です。なお、患者の状態により適宜増減しますが、1日最高服用量は2,250mgです。

通常、10歳以上の小児はメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口服用します。維持量は効果を観察しながら決めますが、通常1日500~1,500mgとします。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高服用量は2,000mgです。

<多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発>
他の排卵誘発薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は排卵までに中止する。

<多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激>
他の卵巣刺激薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は採卵までに中止する。


■メトグルコ/メトホルミン塩酸塩MT以外:
<2型糖尿病>通常、成人はメトホルミン塩酸塩として1日量500mgより開始し、1日2~3回食後に分割経口服用する。維持量は効果を観察しながら決定しますが、1日最高服用量は750mgです。

副作用

主な副作用
下痢、悪心、食欲不振、腹痛等(5%以上)

重大な副作用
・低血糖(5%以上)
低血糖の場合、急に冷や汗が出たり、気持ちが悪くなったり、手足が震えたり、めまいや弱さを感じたりすることがあります。このような症状が出た場合は、速やかに吸収の早い糖分を摂取する必要があります。また、糖分を摂取しても症状が改善しない場合は、医師や薬剤師に連絡することが大切です。高所作業や自動車運転など、危険を伴う作業に従事している場合は、十分な注意が必要です。
・乳酸アシドーシス(頻度不明)
乳酸アシドーシスは稀な症状であり、吐き気や腹痛、下痢、筋肉痛、倦怠感、脱力感などが現れます。これらの症状が現れた場合は、放置せずに速やかに医師や薬剤師に連絡することが必要です。心疾患や慢性腎不全、慢性肺疾患、高齢者などは、乳酸アシドーシスの危険因子となるため、注意が必要です。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■乳酸アシドーシスを起こしやすい方
重篤な乳酸アシドーシスを起こし、死亡に至った例も報告されている為、服用できません。
以下がそれに該当します。
▼乳酸アシドーシスの既往のある方
▼重篤な腎障害のある方、または透析をされている方
▼重度の肝障害のある方
▼心血管系、肺機能に高度の障害のある方及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある方
▼脱水症の方又は脱水状態が懸念される方
▼過度のアルコールを摂取される方

■重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の方
輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須の為、投与しないでください。

■重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方
インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は避けてください。また乳酸アシドーシスを起こしやすいと考えられる為、投与しないでください。

■栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全または副腎機能不全の方
低血糖を起こしやすい為、投与しないでください。

■メトホルミン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、メトグルコはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メトグルコの有効成分
メトホルミン塩酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000

・有効成分メトホルミン塩酸塩に対して、過敏症の既往歴がある方は使用できません。
・妊婦の方、または妊娠している可能性のある女性には使用してはいけません。
・授乳中の方は、服用中には授乳を中止してください。
・18歳未満の方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・軽度~中程度の腎障害の方
・重篤ではない感染症の方
・軽度~中程度以外の肝障害の方

上記にあてはまる方は、メトホルミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メトホルミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼ヨード造影剤、腎毒性の強い抗生物質(ゲンタマイシンなど)
腎機能低下により、本剤の排出能低下を招き、乳酸アシドーシスのリスクが増大することがあります。この為、本剤との併用はしないでください。併用する場合は本剤を一時的に減量・中止などを適切な処置を行ってください。
▼利尿剤、SGLT2阻害剤など利尿作用を有する薬剤
利尿作用により脱水状態になることがあるため、乳酸アシドーシスのリスクが増大することがあります。この為、本剤との併用はしないでください。併用する場合は本剤を一時的に減量・中止などを適切な処置を行ってください。

持病、服用中の薬がある方、通院中、治療中の方は必ずかかりつけの医師に相談してから服用するようにして下さい。

上記を使用している方は、メトホルミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メトホルミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
▼アルコール(過度の摂取)
肝臓における乳酸の代謝能が低下することがあります、また、脱水状態を来すことがあり乳酸アシドーシスを起こしやすいため併用しないでください。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

メトホルミン塩酸塩に関する
よくある質問
ヨード造影剤投与前後の休薬期間について教えてください。

ヨード造影剤を用いた検査前については、メトグルコの投与を何時間前に中止しなければならないという 具体的な目安はありません。予め対応可能な範囲で、メトグルコの投与を一時的に中止してください。た だし、緊急に検査を行う必要がある場合を除きます。また、ヨード造影剤投与後48時間はメトグルコの投与を再開しないでください。なお、投与再開時には患 者の状態に注意してください。

メトグルコ錠医療関係者サイトQ&A

【上記引用元:住友ファーマ株式会社】

過度のアルコール摂取者は禁忌に設定されていますが、摂取量の目安はありますか?

(1) どの程度のアルコール摂取が「過度」になるかは個人差が大きく、具体的な摂取量の目安はありません。なお、メトグルコの国内臨床試験(用量反応検討試験(単独療法)1)・長期投与試験2))では1日平均アルコール換算でビール大瓶2本以上のアルコール常用者を対象から除外しました。

メトグルコ錠インタビューフォーム

【上記引用元:住友ファーマ株式会社】

参考元一覧

メトグルコ錠添付文章【住友ファーマ株式会社】
メトグルコ錠インタビューフォーム【住友ファーマ株式会社】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。