エンパグリフロジン

成分名

エンパグリフロジン

適応症状

・慢性心不全
・2型糖尿病

簡易説明

・糖尿病の治療に使用され、血糖を下げる効果があります。
・エンパグリフロジンは、体液量調節を介した血行動態に対する作用で、慢性心不全などの糖尿病以外に対する有効性も考えられております。
・尿から血管へ糖を運ぶ運び屋のような物質「SGLT2」の働きを阻害し、尿として糖や水分、グルコースを排泄します。
・糖の代謝に関わるインスリンに直接関与しないので「本剤単独投与」の場合は低血糖が少ないとされております。

処方可能な診療科目

内科、消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1,000円~10,000円

ジャディアンス錠:10mg,25mg/189円(10mg1錠)/322.7円(25mg1錠)
トラディアンス配合錠AP:257.7円(1錠)
トラディアンス配合錠BP:360.6円(1錠)

※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2015年2月販売開始

国内のジェネリック認可

ありません

関連製品(先発薬)

ジャディアンス錠10mg,25mg/トラディアンス配合錠AP/トラディアンス配合錠BP

関連製品(ジェネリック)

ありません

効果・作用

▼エンパグリフロジンの作用▼
・尿が送られる管に「尿細管」というものがあり、この尿細管の一部で尿から血管へ糖などの吸収/再吸収が行われており、尿細管から血管へ糖を運ぶ役割を果たしているのが「SGLT2」という物質です。このSGLT2の働きを阻害すると血管への糖の再吸収が阻害され、尿中に残った糖はそのまま尿として体外へ排泄されます。エンパグリフロジンは、SGLT2阻害する作用があり、血糖値を下げる効果がございます。
・エンパグリフロジンは、インスリンに作用せず、糖の尿中排泄を促進させるというメカニズムで、低血糖のリスクが少なく、体重増加を起こさないと考えられております。

▼SGLT2の腎臓での働き▼
・原尿のグルコース99は%以上腎臓の尿細管で再吸収されますが、再吸収で約9割を担っているのが近位尿細管に存在するSGLT2となっており、SGLT2によって血液中にグルコースが再吸収されることで血糖値が上昇いたします。
・SGLTは、細胞表面にある膜タンパク質で「Na+/グルコース共輸送担体(Sodium GLucose coTransporter)」と呼びます。ナトリウムの濃度勾配を駆動力として、ブドウ糖を細胞内へ輸送します。SGLTには異なる部位で働く2つのタイプがあり、SGLT2は腎臓の近位尿細管でのブドウ糖再吸収に関係しております。

▼糖と腎臓の関係性▼
・グルコースは、腎臓の糸球体で一旦原尿中に排出され、尿細管から再吸収されます。SGLT2は腎臓の近位尿細管にあり、グルコースの再吸収の約90%をしましており血糖値が高い場合、SGLT2を阻害すると尿中へ排泄されるグルコースが増加し、血液中のグルコース濃度が適正化されます。

▼DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬配合剤▼
・エンパグリフロジン単独では効果がやや弱いので、他の糖尿病治療薬と併用することございます。以下の薬剤が併用可能となっております。
・インスリン注射薬
・αグルコシダーゼ阻害薬
・チアゾリジン薬
・スルフォニル尿素薬
・速効型インスリン分泌促進薬
・ビグアナイド薬
他、すべての糖尿病治療薬との併用が可能となっております。

使用方法

「2型糖尿病」

・成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与すること。
※効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができます。

「慢性心不全」
・成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与してください。

(用法及び用量に関連する注意)
・2型糖尿病と慢性心不全を合併する方は、血糖コントロールが不十分な場合には血糖コントロールの改善を目的として本剤25mgに増量することができる。
※慢性心不全に対して本剤10mg1日1回を超える用量の有効性は確認されていないため、慢性心不全に対して本剤10mgを上回る有効性を期待して本剤25mgを投与しないでください。

・利尿作用による体液量の減少に伴い脱水がおこる場合があるので注意してください。

副作用

主な副作用
エンパグリフロジンには、副作用が起こる可能性があります。
服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

尿路感染、膀胱炎、外陰部腟カンジダ症、無症候性細菌尿、亀頭包皮炎、陰部そう痒症、亀頭炎、高脂血症、めまい、便秘、皮膚そう痒症

▼注意すべき副作用▼
・低血糖、脱水、口渇、多尿、頻尿、血圧低下、敗血症、敗血症性ショック、尿路感染、膀胱炎

重大な副作用
低血糖、脱水、口渇、多尿、頻尿、血圧低下、敗血症、敗血症性ショック、低血糖症状、脳梗塞、血栓・塞栓症、ケトアシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、腎盂腎炎、フルニエ壊疽、外陰部壊死性筋膜炎、会陰部壊死性筋膜炎

※極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
※重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
※異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
排尿困難、尿量増加、空腹感、体重減少、外陰部腟炎、細菌性腟炎、トリコモナス症、外陰腟そう痒症、外陰腟不快感、体液量減少、血液濃縮、味覚異常、腹部膨満、発疹、湿疹、じん麻疹、尿意切迫、尿中ケトン体陽性、血中ケトン体陽性

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・過敏症/重症感染症/重症ケトーシス/重篤な外傷/手術前後/糖尿病性前昏睡/糖尿病性昏睡/1型糖尿病/2型糖尿病で透析中の末期腎不全
/2型糖尿病で高度腎機能障害
・妊婦・産婦

使用に注意が必要な方
・栄養不良状態/過度のアルコール摂取/感染症/飢餓状態/食事摂取不良/腎機能障害/高度肝機能障害/体液量減少/脱水/低血糖/尿閉/脳下垂体機能不全/排尿困難/激しい筋肉運動/不規則な食事摂取/副腎機能不全/乏尿/無尿/尿路感染/利尿剤併用/利尿薬併用/食事摂取量不足/インスリン分泌能低下/性器感染/血糖コントロールが極めて不良/インスリン製剤減量/インスリン製剤中止/過度な糖質摂取制限/2型糖尿病で中等度腎機能障害/2型糖尿病で腎機能障害/慢性心不全でeGFRが20mL/min/1.73㎡未満/慢性心不全で高度腎機能障害
・授乳婦
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児・小児
・高齢者
・虚弱者(衰弱者を含む)

上記にあてはまる方は、エンパグリフロジンを使用する事が出来ない可能性があります。
エンパグリフロジンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
・利尿剤/糖尿病用薬/スルホニルウレア系薬剤/速効型食後血糖降下剤/αグルコシダーゼ阻害剤/ビグアナイド系製剤/チアゾリジン系薬剤/DPP4阻害剤/GLP1アナログ/インスリン製剤

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬を粉砕して服用しても大丈夫ですか?

承認された用法ではないので、お勧めはできません。

手術期患者では、ジャディアンス錠の休薬が必要ですか?

手術期の患者は添付文書上の禁忌に該当しますのでおやめください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。