成分名 |
ジゴキシン |
適応症状 |
心不全/頻脈など |
簡易説明 |
ジギタリスは古くから民間薬として使用され、1785年にはWiteringが浮腫の治療薬として強心配糖体の効果を報告しています。ジゴキシンという成分は、1932年にスイスのサンドファーマ社(現、ノバルティスファーマ社)研究所のStollらによって得られました。
日本国内では1957年に中外製薬(以下、本剤)、1962年に山之内製薬(現、アステラス製薬)、1964年にサンドファーマが販売を開始し、現在は日本薬局方に記載されています。
なお、全ての製剤が現在は他社に販売承継されています。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器内科など |
健康保険の適応 |
・次の疾患に基づく
うっ血性心不全(肺水腫、心臓喘息を含む)
先天性心疾患、弁膜疾患、高血圧症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)、肺性心(肺血栓・塞栓症、肺気腫、肺線維症等によるもの)、その他の心疾患(心膜炎、心筋疾患等)、腎疾患、甲状腺機能亢進症ならびに低下症等
・心房細動・粗動による頻脈
・発作性上室性頻拍
・次の際における心不全及び各種頻脈の予防と治療
手術、急性熱性疾患、出産、ショック、急性中毒 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:1日10円×日数(維持療法の場合)
※本剤の投与量は個人差が大きいため、診察料は個々の治療内容により異なります。
薬代1錠あたりの目安:0.0625㎎・0.125㎎・0.25㎎ともに9.80円
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1957年7月5日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ジゴシン(錠、散)【製薬メーカー:太陽ファルマ株式会社】、ジゴキシンKY錠、錠「KYO」【製薬メーカー:京都薬品工業株式会社】、ジゴキシン錠「AFP」 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
・アメリカ
販売名:Lanoxin
含量:0.0625㎎、0.125㎎、0.185㎎、0.25㎎
・イギリス
販売名:Lanoxin
含量:0.0625㎎、0.125㎎、0.25㎎
・ドイツ
販売名(含量):
Lenoxin mite(0.125㎎)、Lenoxin(0.25㎎)、Digacin(0.25mg)、Lanicor(0.25㎎)
※2022年4月時点。いずれも錠剤。 |
効果・作用 |
心臓はナトリウムイオンとカリウムイオンを交換することで運動エネルギーを生み出します。またこの時に同時に得られるカルシウムイオンが心臓の収縮力の原動力となっています。
ジゴキシンはこのナトリウムとカリウムの交換を阻害する働きを持っています。この結果、異常な心臓の収縮(不整脈)を抑え、心臓の活動力を高める、いわゆる強心作用を発現します。
これらの作用は主に下記、動物実験で確認されています。
・心収縮に対する作用
モルモットの心臓でジゴシンの収縮力に対する作用を確認したところ、低濃度では収縮力が増加したが、高濃度になると抑制的に働き心停止に至りました。
・血圧、心拍数等に対する作用
イヌにジゴキシンを投与すると、血圧は経度に上昇しました。心拍数等は開始後徐々に弱まり、様々な不整脈が生じ、心停止に至りました。
・心不全に対する作用
心不全状態のモルモットにジゴキシンを投与すると、投与量に応じて、心臓の働きが強くなりましたが、一定量を超えると不整脈がおこりました。
このように投与量によっては有効性がありますが、過量になると副作用が発現するため、本剤は劇薬とされています。このため、本剤を使用する場合は患者さんの様子を慎重に確認しながら少量ずつ適正量まで増量していきます。また過量投与にならないように、緊急を要さない方に対しては、少量の投与である維持量から開始することも考慮するように注意がなされています。 |
使用方法 |
【成人】
・急速飽和療法(飽和量:1.0~4.0㎎)
初回0.5㎎~1.0㎎、以後0.5㎎を6~8時間ごとに飲み、十分効果があらわれるまで続けます。
比較的急速飽和療法、維持療法を行うことができます。
・維持療法
1日0.25㎎~0.5㎎を飲みます。
【小児】
・急速飽和療法
2歳以下:1日0.06~0.08㎎/㎏を3~4回に分けて飲みます。
2歳以上:1日0.04~0.06㎎/㎏を3~4回に分けて飲みます。
・維持療法
飽和量の1/5~1/3量を飲みます。 |
副作用 |
重大な副作用
・ジギタリス中毒:不整脈が現れることがあります。またさらに重篤な症状に移行することもあります。
初期症状:消化器、眼、精神神経系症状があらわれることがおおいが、それ以前に不整脈があらわれることもあります。
・非閉塞性腸間膜虚血:腸管壊死に至った報告もあります。
初期症状:激しい腹痛、血便等
その他の副作用
消化器:食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢等
眼:視覚異常
精神神経系:めまい、頭痛、失見当識、錯乱、譫妄等
肝臓:AST、ALT、γ‐GTP、AL-Pの上昇
血液:血小板減少
過敏症:発疹、じんましん、青あざ、浮腫等
その他:女性型乳房、筋力低下
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■房室ブロック、洞房ブロック、ジギタリス中毒、閉塞性心疾患のある方は症状を悪化させることがあるため、服用できません。
■ジゴキシンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ジゴシンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ジゴシンの有効成分(*)
ジゴキシン
▼ジゴシンの添加物
・乳糖水和物
(錠剤のみ)
・トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム
(*)ジゴキシンKY錠・「KYO」、ジゴキシン「AFP」はそれぞれ添加物が異なります。
使用に注意が必要な方 ・急性心筋梗塞のある方:心筋虚血を悪化させる恐れがあります。
・心室期外収縮のある方:中毒と症状が見分けられないおそれがあります。
・心膜炎、肺性心のある方:少量で中毒を起こすおそれがあります。
・WPW症候群(先天性心疾患の一種)の方:不整脈を悪化させるおそればあります。
・電解質異常(高カルシウム血症等)のある方:少量で中毒を起こすおそれがあります。
・甲状腺機能低下症の方:作用が増強し、中毒を起こすおそれがあります。
・甲状腺機能亢進症の方:作用が減弱し、大量投与が必要となることがあります。
・腎疾患のある方:排泄が遅延し(薬が蓄積し)、中毒を起こすおそれがあります。
・透析を受けている方:電解質異常により中毒を起こすおそれがあります。
・妊婦:治療上の有益性がリスクを上回る時のみ使用します。
・授乳婦:わずかに母乳に移行するため、有益性から授乳継続を判断します。
・小児等、高齢者:ジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から開始します。
上記にあてはまる方は、ジゴキシンを使用する事が出来ない可能性があります。 ジゴキシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・本剤の作用を増強する(ジギタリス中毒がおこりやすくなる)薬
解熱・鎮痛・消炎剤、トラゾドン、抗コリン剤、不整脈用剤、β遮断薬、利尿薬(カリウム排泄型利尿薬、スピロノラクトン、トルバプタン)、レセルピン系薬剤、テルミサルタン、カルシウム拮抗薬、フルバスタチン、アトルバスタチン、ポリスチレンスルホン酸塩、交感神経刺激薬、プロトンポンプ阻害薬、副腎皮質ホルモン剤、ビタミンD製剤、カルシウム(経口)・カルシウム含有製剤、ジスルフィラム、シクロスポリン、抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、アムホテリシンB、エンビオマイシン)、リトナビル、エトラビリン、レジバスビル・スホスブビル、イトラコナゾール、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、チアマゾール、プロピルチオウラシル、ベムラフェニア
・本剤の作用を減弱する薬
カルバマゼピン、コレスチラミン、スクラルファート水和物、制酸剤、リファンピシン、サラゾスルファピリジン、レボチロキシン、リオチロニン、ミグリトール、セイヨウオトギリソウ含有食品
・重篤な不整脈を起こすおそれがある薬
スキサメトニウム塩化物水和物
・本剤の毒性が急激に出現するおそれのある薬
カルシウム注射(グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム水和物)
・併用薬の副作用を増強したと報告されている薬
ブビバカイン塩酸塩水和物
・併用薬の作用を減弱するおそれのある薬
ヘパリン
・ジギタリス中毒の症状を隠すおそれのある薬
吐き気止め
上記を使用している方は、ジゴキシンを使用する事が出来ない可能性があります。 ジゴキシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
ジゴキシン(添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索(よくある質問)】
医薬品マスター検索 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】 |
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