プラスグレル塩酸塩

成分名

プラスグレル塩酸塩

適応症状

・経皮的冠動脈形成術<PCI>が適用される急性冠症候群/虚血性心疾患/ST上昇心筋梗塞/安定狭心症/・陳旧性心筋梗塞/非ST上昇心筋梗塞/不安定狭心症
・虚血性脳血管障害<小血管の閉塞に伴う/大血管アテローム硬化に伴う>後の再発抑制

簡易説明

血小板が凝集すると血液が固まりやすく、血栓ができたり、心筋梗塞や脳梗塞などがおこりやすくなります。体内で血小板を活性化し血小板凝集を亢進させるADP(adenosine diphosphate:アデノシン二リン酸)という物質があります。ADPは自身の受容体となるP2Y12受容体やP2Y1受容体を介して血小板凝集を活性化させます。ADPの働きを抑えることができれば血小板凝集を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などを予防する効果が期待できます。プラスグレル塩酸塩は、ADPの受容体であるP2Y12受容体を阻害することでADPの働きを抑制し、血小板の活性化に基づく抗血小板作用があり、血栓の形成を抑制する働きがあります。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科/循環器内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円~
薬代1錠あたりの目安:1錠2.5mg 約191.1円
薬代後発薬1錠の目安:1錠5mg 約70.8円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 2014年5月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外のみ)

関連製品(先発薬)

エフィエント錠2.5mg/3.75mg/5mg/OD錠20mg 【製薬メーカー:第一三共】

関連製品(ジェネリック)

プラスグレル (プラックス / エフィエント ジェネリック)【製薬メーカー:Torrent Pharma】

効果・作用

出血したとき、血液が固まることはとても重要なことです。血が固まることで、ようやく傷の修復などを行うことができるようになります。しかし、血の塊が血管内で作られてしまうと、この塊が血管を詰まらせてしまうことがあります。血管内に作られる血の塊を血栓と呼び、血栓の生成が脳の血管を詰まらせると脳梗塞などを引き起こすようになります。
そこで、これら血栓による病気の発症を防ぐために使用される薬としてプラスグレル塩酸塩があります。プラスグレルはADP受容体阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。また、含まれるチクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルといった成分はチエノピリジン骨格という共通の化学構造をもつことから、チエノピリジン系抗血小板薬などと呼ばれることもあります。

≪作用機序≫
・体内には「血小板の凝集抑制」に関わる物質が存在します。これをcAMPと呼びます。血小板凝集を抑制するので、言い換えれば血液を固まりにくくするということです。血液をサラサラにする作用です。
つまり、cAMPの量を増やせば、血液サラサラ作用を得ることができるようになります。cAMPは酵素によって新たに作られますが、この酵素をアデニル酸シクラーゼ(AC)と呼びます。アデニル酸シクラーゼが活発に働けば、その分だけcAMPが作られ、血液が固まりにくくなります。
ただ、体内にはアデニル酸シクラーゼの働きを抑制する受容体が存在します。これをADP受容体と呼びます。プラスグレル塩酸塩は、ADP受容体を阻害する作用があり、これによってcAMPの生成に関わる酵素の働きが強くなり、結果として血液サラサラ作用を得るようになります。

▼他のADP阻害薬▼
プラビックス/エフィエント/パナルジン

使用方法

≪エフィエント錠2.5mg≫
<経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患>
・成人は、投与開始日に20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与すること。
<虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制>
・成人は、3.75mgを1日1回経口投与すること。

≪エフィエント錠3.75mg≫
<経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患>
・成人には、投与開始日に20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与すること。
<虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制>
・成人には、3.75mgを1日1回経口投与すること。

≪エフィエント錠5mg≫
<経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患>
成人は、投与開始日に20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与すること。

≪エフィエントOD錠20mg≫
<経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患>
成人は、投与開始日に20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与すること。

副作用

主な副作用
出血傾向、皮下出血、貧血、血小板数減少、好酸球数増加、白血球数減少、鼻出血、血尿、血管穿刺部位血腫、血腫、皮下血腫

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。

出血、頭蓋内出血、頭痛、悪心、発熱、嘔吐、片麻痺、消化管出血、心嚢内出血、意識障害、血栓性血小板減少性紫斑病、血小板減少、肝機能障害、紫斑、TTP、倦怠感、食欲不振、出血症状、精神・神経症状、破砕赤血球の出現を認める溶血性貧血、腎機能障害、過敏症、血管浮腫、黄疸、無顆粒球症、再生不良性貧血、汎血球減少症

その他の副作用
穿刺部位出血、歯肉出血、しびれ、結膜出血、ALT上昇、創傷出血、便潜血、痔出血、処置による出血、喀血、網膜出血、カテーテル留置部位出血、下部消化管出血、点状出血、胃潰瘍、硝子体出血、血管偽動脈瘤、不正子宮出血、γ-GTP上昇、上部消化管出血、ALP上昇、AST上昇、尿蛋白増加、浮動性めまい、味覚障害、回転性めまい、下痢、便秘、口腔内出血、胃食道逆流性疾患、腹痛、腹部不快感、胃炎、胃腸出血、十二指腸潰瘍、発疹、紅斑、蕁麻疹、期外収縮、血圧上昇、狭心症、尿酸上昇、末梢性浮腫、背部痛、血管穿刺部位腫脹、出血性腸憩室、血中甲状腺刺激ホルモン増加、尿糖上昇

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■プラスグレル塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方エフィエントは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼エフィエントの有効成分
プラスグレル塩酸塩
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、結晶セルロース、アルファー化デンプン、カルメロース、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、アセスルファムカリウム、ステアリン酸マグネシウム、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄

■その他の使用できない方
・妊婦/産婦
・過敏症
・喀血/硝子体出血/血友病/出血/消化管出血/頭蓋内出血/尿路出血

使用に注意が必要な方
・高齢者
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児/小児
・TIA/過敏症
・高度腎機能障害
・出血/出血傾向/出血傾向素因
・高度肝機能障害
・頭蓋内出血/脳梗塞
・一過性脳虚血発作/血小板凝集抑制が問題となるような手術
・高血圧が持続

上記にあてはまる方は、プラスグレル塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
プラスグレル塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
血液凝固阻止剤/ワルファリン/ヘパリン製剤/エドキサバン/血小板凝集抑制作用を有する薬剤/アスピリン/血栓溶解剤/ウロキナーゼ/アルテプラーゼ/非ステロイド系抗炎症剤/ロキソプロフェン/ナプロキセン

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
投与量を増減してもよいですか?

適宜増減は承認されていません。増減による血小板凝集抑制作用への影響が見込まれますので、通常は増減しないでください。ただし、体重50kg以下の低体重の方では、出血の危険性が増大するおそれがあります。年齢、腎機能等の他の出血リスク因子及び血栓性イベントの発現リスクを評価した上で、必要に応じて3.75mgから2.5mgへの減量も考慮してください。

血小板凝集抑制作用の持続時間について教えてください。

『2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法』では、プラスグレルの効果消失までの時間は7~10日と解説されています。なお、血小板上のP2Y12受容体に非可逆的に結合して作用を発現します。また、血小板寿命は7~10日程度と報告されています。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。