成分名 |
フェロジピン |
適応症状 |
高血圧症 |
簡易説明 |
フェロジピンはジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗剤と呼ばれる医薬品です。カルシウム拮抗剤は血管に作用するジヒドロピリジン系、心臓に作用するフェニルアルキルアミン系、そしてその中間に位置するベンゾチアゼピン系に分けられます。その中でフェロジピンはジヒドロピリジン系に該当します。作用の特徴として血管に対して高い選択性を持ち、軽症から中等症、及び重症な高血圧症に対して優れた降圧作用を示します。ガイドラインにおいてカルシウム拮抗剤は高血圧症治療の第一選択薬として使用されます。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/産婦人科/泌尿器科/脳神経外科内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:2.5mg約13円/5mg約23円
薬代後発薬1錠の目安:2.5mg約8円/5mg約13円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1995年1月20日製造承認
2002年7月30日製造承認承継
1995年3月17日薬価基準収載
1995年3月22日発売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
スプレンジール錠2.5mg/5mg【製薬メーカー:アストラゼネカ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
フェロジピン錠2.5mg/5mg「武田テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ株式会社】 |
海外での使用実績 |
フェロジピンは世界80カ国以上で承認または発売されております。
スウェーデン、イギリス、アメリカではPLENDILという商品名で販売しております。またドイツではMODIP、MUNOBALという商品名で販売しております。 |
効果・作用 |
フェロジピンは高血圧症に対して効果のある医薬品になります。カルシウム拮抗剤と呼ばれる医薬品で同種の医薬品にはニフェジピンやアムロジピンなどがあります。いずれもジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗剤と呼ばれております。
その作用機序は、血管平滑筋のカルシウムチャネルを阻害する事によって、末梢血管を拡張して降圧作用をもたらすというものです。つまり細胞外におけるCaイオンの流入に関わる膜電位依存性L型Caチャネルを阻害することによって、血管平滑筋を弛緩させ、末梢血管抵抗を減じて降圧作用を発揮します。
カルシウム拮抗薬は強力な全身血圧低下作用を示す事から、ガイドラインにおいて降圧療法の第一選択薬の一つとして広く使用されております。
そもそもなぜ血圧は下げないといけないのでしょうか。血圧とは心臓から送り出された血液が血管内壁を押す力を指します。血圧の高い状態が続くと血管は厚く硬くなり結果動脈硬化が起こります。この動脈硬化は脳出血や脳梗塞、大動脈瘤や心筋梗塞などの原因になります。最悪の場合心不全になり死亡してしまいます。それを避けるためにも血圧は正常範囲内に抑えておかなければなりません。これが高血圧症がサイレントキラーと呼ばれる所以です。 |
使用方法 |
通常、成人においてはフェロジピンとして1回2.5~5mgを1日2回朝夕に経口投与する事とされております。なお、年齢や患者の症状によって適宜増減する事が可能ですが、効果不十分な場合においては、1回10mgを1日2回まで増量する事ができます。
フェロジピンは長時間作用型の医薬品である為1日2回投与で十分な効果が得られます。食事の影響は少ない為食前でも食後でも投与可能です。他にも服薬する薬がある場合は用法を統一すると良いでしょう。フェロジピンは規制区分が劇薬に該当しておりますので扱いには注意が必要になります。一包化する事は可能です。服薬困難な方等には服用しているお薬全部まとめて一包化してあげると良いでしょう。 |
副作用 |
重大な副作用
血管浮腫が現れる事があります。その発生頻度は0.1%未満と言われております。
その他の副作用
肝臓、腎臓、血液、循環器、精神神経系、消化器、過敏症、口腔、その他の副作用が挙げられます。
発生頻度は以下の通りです。
1)肝臓
AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、LDH の上昇(0.1~1%未満)
2)腎臓
BUN、クレアチニンの上昇(0.1~1%未満)
3)血液
貧血(0.1~1%未満)
4)循環器
ほてり、動悸(1~5%未満)
胸部圧迫感、頻脈、血圧低下(0.1~1%未満)
息切れ(0.1%未満)
5)精神神経系
頭痛、頭重、眩暈・ふらつき(1~5%未満)
倦怠感、眠気(0.1~1%未満)
いらいら感(0.1%未満)
知覚異常(頻度不明)
6)消化器
嘔気・嘔吐、便秘、胃部不快感、腹痛、口渇(0.1~1%未満)
胃のもたれ、胸やけ、食欲低下、下痢(0.1%未満)
7)過敏症
発疹(0.1~1%未満)
掻痒(0.1%未満)
蕁麻疹、光線過敏症、白血球破砕性血管炎(頻度不明)
8)口腔
歯肉炎(0.1%未満)
歯肉肥厚
9)その他
末梢性浮腫、肩こり、頻尿、CK(CPK)の上昇、総コレステロールの上昇、トリグリセライドの上昇(0.1~1%未満)
こむらがえり、脱力感、手指振戦、咳嗽、喉の違和感、発汗、流涙、眼球充血、血清カリウムの低下(0.1%未満)
関節痛、筋肉痛、発熱、勃起不全・性機能障害(頻度不明)
血管浮腫のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人:動物実験で催奇形性作用が報告されている為使用できません。しかし最近の調査結果よりプラセボとの差がほぼないとの事で禁忌から外れるカルシウム拮抗薬も出てきておりますのでご注意ください。
2)心原性ショックの患者:血圧低下により症状が悪化する恐れがある為使用できません。
3)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■フェロジピンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、スプレンジール錠2.5mg/5mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼スプレンジール錠2.5mg/5mgの有効成分
フェロジピン
▼代表薬の添加物
・乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、三二酸化鉄、酸化チタン、ヒプロメロース、マクロゴール4000
使用に注意が必要な方 1)大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄のある患者:血管拡張作用により過度の血圧低下が起こす恐れがある為使用には注意が必要です。
2)肝機能障害のある患者:血中濃度が上昇する事がある為使用には注意が必要です。
3)高齢者:過度の降圧により脳梗塞等が起こる恐れがある為使用には注意が必要です。
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併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)他の降圧剤(トリクロルメチアジド、カプトプリル等)
薬理作用が異なる降圧剤の併用により降圧作用が増強する恐れがある為併用には注意が必要になります。
2)メトプロロール酒石酸塩
フェロジピンの血管拡張作用が影響し結果としてメトプロロールの血中濃度を上昇させる事から併用には注意が必要になります。
3)ジゴキシン
フェロジピンが腎臓の排泄能力を低下させる為、ジゴキシンの血中濃度を上昇させる事から併用には注意が必要になります。
4)シメチジン、エリスロマイシン、イトラコナゾール
シメチジン、エリスロマイシン、イトラコナゾールがフェロジピンの代謝酵素を阻害する為、血中濃度を上昇させてしまい、作用が増強してしまう事から併用には注意が必要になります。
5)フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体
フェロジピンの代謝酵素を誘導する為、血中濃度が低下し作用が減弱することから併用には注意が必要になります。
6)リファンピシン
リファンピシンが代謝酵素を誘導する為、フェロジピンの血中濃度を低下させ、作用を減弱させる事から併用には注意が必要になります。
7)HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、サキナビル等)
HIV プロテアーゼ阻害剤は主にCYP3A4と呼ばれる酵素によって代謝を受けます。フェロジピンもまた同じ酵素で代謝を受けるため、競合阻害によって、フェロジピンの血中濃度を上昇させてしまいます。その為フェロジピンの作用が増強してしまう事から併用には注意が必要になります。
8)タクロリムス
タクロリムスはフェロジピンと同じ酵素で代謝されます。その結果競合阻害してしまい、タクロリムスの血中濃度が上昇し、作用を増強させてしまう事から併用には注意が必要になります。
9)グレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースに含まれる成分がフェロジピンの代謝を抑制し、血中濃度を上昇させてしまう事から併用には注意が必要になります。
10)セイヨウオトギリソウ含有食品
セイヨウオトギリソウがフェロジピンの代謝酵素を誘導すると考えられております。その結果フェロジピンの代謝が促進され、血中濃度が低下する恐れがある事から併用には注意が必要になります。
食品の中では、グレープフルーツ以外でも夏みかん、ダイダイ、ブンタン、スウィーティー、ハッサク、夏みかん、金柑、ライム、そしてイチジクやざくろ等も作用増強すると考えられていますのでフェロジピン服用中は摂取は避けるようにしましょう。果汁の入っているジュースも同様です。
またセイヨウオトギリソウは日本ではまだそれ程浸透しておりません。その為それと自覚せず摂取している場合もあります。どんな剤形なのか、どんな効果を保持しているのかまで伝える事で気づく場合もあります。患者自身の食生活まで一歩踏み込んでお話できるようになると良いでしょう。
上記を使用している方は、フェロジピンを使用する事が出来ない可能性があります。 フェロジピンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【アストラゼネカ株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】 |
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