アプリンジン塩酸塩

成分名

アプリンジン塩酸塩

適応症状

「頻脈性不整脈」の状態で、その他の抗不整脈薬が使用できない、または無効の場合

簡易説明

心臓は拡張と収縮を絶えず繰り返すことで全身に血液を送りこみます。これの一連の動きにはナトリウムやカリウムなどの「イオン」の動きが大きく関係しています。心臓の細胞において、様々なイオンが動くことで電気的な信号が発生します。そしてこの電気的な信号によって心臓が収縮・拡張するための刺激が連続的に伝わる仕組みになっています。一連の流れの内、アプリンジン塩酸塩はプラスイオンのナトリウムが心臓の細胞に流入してくるのをブロックすることで不整脈への効果を発揮します。

処方可能な診療科目

内科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円~2000円
薬代1カプセルあたりの目安:10mg 29.6円/ 20mg 45.8円
薬代後発薬1カプセルの目安:10mg 14.1円/ 20mg 21.8円
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
※「薬代1錠あたりの目安」はアスペノンカプセル10/20の薬価で算出しています。
※診察費は3割負担で算出しています。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1987年3月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アスペノンカプセル10/アスペノンカプセル20(バイエル薬品)

関連製品(ジェネリック)

アプリンジン塩酸塩カプセル10mg「NP」/アプリンジン塩酸塩カプセル20mg「NP」(ニプロ)

効果・作用

アプリンジン塩酸塩は不整脈(脈が乱れてしまい正常に全身に血液を送り出すことができない状態)に対して使用する薬です。
心臓は拡張と収縮を絶えず繰り返すことで全身に血液を送りこみます。これの一連の動きにはナトリウムやカリウムなどの「イオン」の動きが大きく関係しています。心臓の細胞において、様々なイオンが動くことで電気的な信号が発生します。そしてこの電気的な信号によって心臓が収縮・拡張するための刺激が連続的に伝わる仕組みになっています。
心臓は基本的に「マイナスイオン」の状態となっています。このマイナスイオンの状態から電気的な信号が発生するためには、最初にプラスイオンであるナトリウムが心臓の細胞に流入してくる必要があります。ナトリウムが入ってくることで心臓の細胞はマイナスからプラスの状態へと変換されます。その後、今度はプラスイオンであるカリウムが心臓の細胞から外へ放出されます。プラスイオンのカリウムが出ていくため、今度はマイナスの状態に傾きます。そして時間が経つと最初の状態へ戻り、この繰り返しで心臓は収縮と拡張を連続的に繰り返しています。
一連の流れの内、アプリンジン塩酸塩はプラスイオンのナトリウムが心臓の細胞に流入してくるのをブロックすることで不整脈への効果を発揮します。

使用方法

成人(15歳以上):アプリンジン塩酸塩として、1日40ミリグラムから服用を始めます。効果が不十分な場合は医師の指示のもと60ミリグラムまで増量することができ、通常1日2〜3回に分けて服用します。また、年齢や症状によって医師の判断のもと適宜増量、減量することがあります。

副作用

重大な副作用
・無顆粒球症
※初期症状として、咽頭痛、発熱、全身倦怠感などが引き起こされることがあります。このような症状がでてきた際には服用を一度中止し医師に報告、相談してください。
・催不整脈
※心室頻拍などが引き起こされることがあります。心電図検査を定期的に行いながら使用します。
・肝臓の機能障害、黄疸症状
※血液検査にて、AST(GOT)、γ-GTP、ALT(GPT)の上昇などを伴った肝臓機能の障害や黄疸症状が引き起こされることがあります。このような症状がでてきた際には服用を一度中止し医師に報告、相談してください。
・間質性肺炎
※初期症状として息切れ、咳嗽、発熱、呼吸困難など引き起こされることがあります。このような症状がでてきた際には服用を一度中止し医師に報告、相談してください。

その他の副作用
・腎臓系:腎臓機能の異常、排尿障害(尿の出にくさ)
・肝臓系:総ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTPなどの上昇、肝炎
・循環器系:徐脈、動悸、息切れ、胸の痛み、血圧の低下、心不全、房室ブロック
・視覚器系:視力の異常、複視、緑視
・過敏症:発疹、かゆみ、赤み
・消化器系:下痢、便秘、嘔吐、食欲不振、悪心、嘔気、口渇、消化不良、腹痛
・血液系:白血球の減少、顆粒球の減少、貧血、好酸球の増多、血小板の減少
・精神神経系:めまい、しびれ、うつ、不眠症状、ふらつき、眠気、頭がぼうっとする、幻覚、言語障害、ふるえ、足のもつれ
・その他:倦怠感、発熱、頭重感、異常な発汗、頭痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・完全房室ブロックなどの重篤な「刺激伝導障害」を治療中の方
※治療中の「刺激伝導障害」が悪化してしまう可能性があります。
・重篤な「うっ血性心不全」を治療中の方
※心臓の筋肉の収縮力低下によって、治療中の心不全が悪化してしまう可能性があります。
・妊娠している方または妊娠している可能性のある方
※妊娠中の服用にかんする安全性が確立していません。
※動物試験(ラット):胎児の発育障害が増加したというデータがあります。
※動物試験(ウサギ):胎児死亡数の増加がみられたというデータがあります。

使用に注意が必要な方
・弁膜症、心筋梗塞、心筋症などの「基礎心疾患」を治療中の方
・軽度の「刺激伝導障害(不完全房室ブロック、脚ブロックなど)」を治療中の方
※治療中の刺激伝導障害が悪化する可能性があります。
・著しい「洞性徐脈」の方
※徐脈が悪化する可能性があります。
・重篤な肝臓機能障害のある患者
※肝臓の機能が悪化する可能性があります。
・重篤な腎臓機能障害のある患者
※腎臓の機能が悪化する可能性があります。
・「うっ血性心不全」を治療中の方
※心臓の筋肉の収縮力低下によって、治療中の心不全が悪化する可能性があります。
・「パーキンソン症候群」を治療中の方
※パーキンソン様症状が悪化する可能性があります。
・血液中のカリウム値が低下している方
※不整脈が起こる可能性があります。
・高齢者
※肝臓・腎臓機能が低下している可能性が高く、体重も少ない傾向があり副作用が起こりやすい(入院している状態で服用開始をすることが最適)です。
・授乳している方
やむを得ず服用する場合は授乳を避ける必要があります。
※動物試験(ラット):乳汁中へのアプリンジン塩酸塩の移行が報告されています。
・小児
※使用経験が少なく安全性が確立していません。

上記にあてはまる方は、アプリンジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アプリンジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・ジソピラミド、メキシレチン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物
※動物試験:ともに作用を増強し合うとの報告があり、刺激伝導障害(脚ブロック、房室ブロックなど)を起こす可能性があります。
・ジルチアゼム塩酸塩
※ともに血液中の濃度が上昇したとの報告があります。併用する場合には両方の薬剤を減量する必要があります。
・アミオダロン塩酸塩
※アプリンジン塩酸塩の血液中の濃度が上昇するとの報告があります。
・局所麻酔剤、メピバカイン塩酸塩
※ともに心臓および中枢神経系に対する副作用を増強させる可能性があります
・ベラパミル塩酸塩
※アプリンジン塩酸塩の血液中の濃度が上昇するとの報告があります。

上記を使用している方は、アプリンジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アプリンジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
アプリンジン塩酸塩はどのくらいの割合で効果がでますか?

「心室性期外収縮」に対しての改善度は約62%、「上室性期外収縮」に対しての改善度は約58%だったというデータがあります。

アスペノンカプセル10/20

【上記引用元:アスペノンカプセル10/20 添付文書】

アプリンジン塩酸塩を服用してからどのくらいで効果がでますか?

効果があらわれる時間に個人差はありますが、服用してから2~4時間で血液中のアプリンジン塩酸塩の濃度が最大になります。

アスペノンカプセル10/20

【上記引用元:アスペノンカプセル10/20 添付文書】

症状に変化がなくてもアプリンジン塩酸塩を飲み続ける必要がありますか?

アプリンジン塩酸塩を毎日服用した場合、7~14日後に血液中の濃度が安定するというデータがあるので症状に関わらず医師の指示どおりの期間で服用してください。

アスペノンカプセル10/20

【上記引用元:アスペノンカプセル10/20 添付文書】

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