成分名 |
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 |
適応症状 |
▼テノゼット錠300mg
B型肝炎、B型肝硬変
▼ビリアード錠300mg
HIV感染症 |
簡易説明 |
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、B型肝炎、B型肝硬変、HIV感染症の治療に用いられる医薬品の成分になります。
▼作用①(B型肝炎、B型肝硬変)
B型肝炎はHBV(B型肝炎ウイルス)の感染によっておこります。慢性化し進行すると肝硬変や肝がんが発生しやすくなります。
HBVが肝臓細胞で増殖するためには、DNAポリメラーゼ(相補的なDNA鎖を合成する酵素の総称)という酵素が関わっています。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、DNAポリメラーゼを阻害しHBVの増殖を抑制する抗ウイルス作用を示します。
DNAなどは核酸と呼ばれるため、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は核酸アナログ製剤とも呼ばれています。
▼作用②(HIV感染症)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は体内のリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こします。
HIVは宿主細胞(ウイルスまたは外来DNA分子が自己増殖のために利用する細胞)に侵入した後、自身の遺伝子を逆転写酵素によってDNAに変換し宿主の染色体に組み込むことで感染を成立させます。このテノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、逆転写酵素の活性を阻害し、HIVの宿主細胞への感染を抑制する作用を示します。
他の抗HIV薬と併用する多剤併用療法(ART)に用いられます。 |
処方可能な診療科目 |
消化器内科/性感染症内科/性病科など |
健康保険の適応 |
保険適用あり |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安
B型肝炎の場合:約3,000円~5,000円
HIVの場合:約20,000円~
薬代1錠あたりの目安(先発薬):約726.8~1539円
薬代1錠あたりの目安(後発薬):無し
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
▼テノゼット錠300mg
承認年月日:2014年3月24日
販売年月日:2014年5月23日
▼ビリアード錠300mg
承認年月日:2004年3月25日
販売年月日:2004年4月12日 |
国内のジェネリック認可 |
該当記載事項なし |
関連製品(先発薬) |
テノゼット錠300mg【製薬メーカー:GSK】
ビリアード錠300mg【製薬メーカー:ギリアド・サイエンシズ】 |
関連製品(ジェネリック) |
該当記載事項なし |
効果・作用 |
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、B型肝炎、B型肝硬変、HIV感染症の治療に用いられる医薬品の成分になります。
▼作用①(B型肝炎、B型肝硬変)
B型肝炎はHBV(B型肝炎ウイルス)の感染によっておこる肝臓の病気になります。成人になって感染する「急性B型肝炎」、母子感染等による患者が多い「慢性B型肝炎」に大まかに分かれます。なお、急性B型肝炎は慢性化する場合があります。B型肝炎は、進行すると肝硬変や肝がんが発生しやすくなります。
治療には、ウイルスを攻撃する「抗ウイルス療法」や肝臓を保護する「肝庇護療法」などが用いられます。
HBVが肝臓細胞で増殖するために、肝臓の細胞を乗っ取ってHBV自身を複製するための遺伝情報を含んだDNAを合成します。これによりウイルスの複製・増殖が行われます。新たなDNAを作るには、「DNAポリメラーゼ(相補的なDNA鎖を合成する酵素の総称)」という酵素が必要になります。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、DNAポリメラーゼを阻害しHBVの増殖を抑制する抗ウイルス作用を示します。
DNAやRNAのことを核酸と呼びます。テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は構成成分に類似した構造などを有していることから、「類似の」を意味する「アナログ」という言葉を用いて「核酸アナログ製剤」とも呼ばれています。
核酸アナログ製剤とも呼ばれています。
▼作用②(HIV感染症)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は体内の免疫系の中心のリンパ球(主にCD4というリンパ球)や、マクロファージ(体内に侵入した細菌を消化・殺菌する細胞)に感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こします。
HIV感染症の治療は、抗HIV薬を複数の成分(複数の医薬品)を併用する強力な多剤併用療法(ART)を行うことが一般的です。
ARTは、「キードラッグ(HIVを抑制する効果がより強力な薬)」と「バックボーン(キードラッグの効果を補いウイルスを抑制する効果を高める薬)」を組み合わせて実施します。
近年では、「キードラッグ」を2剤(2成分)組み合わせて行う方法なども治療の選択肢となっています。
抗HIV薬はその作用機序により、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害薬I(NNRT)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)などに分かれます。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、インテグラーゼ阻害薬に分類され、多剤併用療法(ART)に用いられます。
HIVは宿主細胞(ウイルスまたは外来DNA分子が自己増殖のために利用する細胞)に侵入します。その後、HIV自身のRNA遺伝子を脱穀後、DNAに変換(逆転写反応)し、宿主の染色体に組み込むことで感染を成立させます。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、逆転写反応に必要となるHIVの逆転写酵素と競合します。その後、DNAに取り込まれた後にDNA鎖の伸長を停止します。
HIV逆転写酵素の活性を阻害し、HIVの宿主細胞への感染の成立を防ぐ作用をあらわします。 |
使用方法 |
▼テノゼット錠300mg
通常、成人にはテノホビルジソプロキシルフマル酸塩として1回300mgを1日1回経口投与する。
▼ビリアード錠300mg
通常、成人にはテノホビルジソプロキシルフマル酸塩として1回300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。 |
副作用 |
主な副作用
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩には、副作用が起こる可能性があります。
を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。
▼消化器
悪心、腹痛、下痢、嘔吐、鼓腸
▼腎臓
蛋白尿、多尿
▼肝臓
肝炎
▼過敏症
アレルギー反応(血管浮腫)
▼代謝
低カリウム血症、低リン酸血症、体脂肪の再分布/蓄積
▼筋骨格
骨軟化症(骨痛、骨折)、ミオパチー
▼臨床検査
肝機能検査値異常(AST、ALT及びγ-GTP増加等)、クレアチニン増加、アミラーゼ増加、リパーゼ増加
▼その他
発疹、浮動性めまい、呼吸困難、無力症
重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意ください。
▼腎不全等の重度の腎機能障害(頻度不明)
腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害があらわれることがあります。定期的に検査を行う等観察を十分に行い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う必要があります。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意する必要があります。
▼乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
▼膵炎(頻度不明)
血中アミラーゼ、リパーゼ、血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられ、膵炎と診断された場合にはテノホビルジソプロキシルフマル酸塩の投与を中止するなど適切な処置を行う必要があります。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ▼テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼テノゼット錠300mgの有効成分
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩
▼代表薬の添加物
・部分アルファー化デンプン
・クロスカルメロースナトリウム
・乳糖水和物
・結晶セルロース
・ステアリン酸 マグネシウム
・ヒプロメロース
・酸化チタン
・トリアセチン
▼ビリアード錠300mgの有効成分
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩
▼代表薬の添加物
・クロスカルメロースNa
・乳糖
・ステアリン酸Mg
・セルロース
・部分アルファー化デンプン
・青色2号
・ヒプロメロース
・酸化チタン
・トリアセチン
使用に注意が必要な方 ▼合併症・既往歴等のある患者
▼HIV/HBV重複感染患者
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩のみの投与は避ける必要があります。薬剤耐性HIVが出現する可能性があります。
▼腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査も実施する必要があります。
▼腎機能障害患者
高い血中濃度が持続するおそれがあります。
▼肝機能障害患者
▼非代償性肝硬変患者
非代償性肝硬変患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していません。
▼妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する必要があります。テノホビルはサルにおいて胎盤を通過することが認められているが、胎児組織への蓄積は認められていません。
▼授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討する必要があります。テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されています。
▼小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していません。
▼高齢者
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、主として腎臓から排泄されます。一般に高齢者では生理機能が低下しているため、高い血中濃度が持続するおそれがあります。
上記にあてはまる方は、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ▼ジダノシン
膵炎、乳酸アシドーシス等のジダノシンによる副作用を増強するおそれがあるので、ジダノシンの減量を考慮する必要があるため。
▼アタザナビル硫酸塩
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩による副作用を増強するおそれがあるため。
▼ロピナビル・リトナビル
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩による副作用を増強するおそれがある。
▼アシクロビル、バラシクロビル塩酸塩、ガンシクロビル、バルガンシクロビル塩酸塩
これらの薬剤又はテノホビルジソプロキシルフマル酸塩による副作用を増強するおそれがあるため。
▼レジパスビル・ソホスブビル
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とレジパスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇するため。
▼ベルパタスビル・ソホスブビル
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とベルパタスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇するため。
▼腎毒性を有する薬剤
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となるため、併用は避けることが望ましいです。
上記を使用している方は、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 該当記載事項なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |