成分名 |
パロモマイシン硫酸塩 |
適応症状 |
腸管アメーバ症 |
簡易説明 |
原虫感染症における腸管アメーバ症の治療に用います。
原虫の中でも赤痢アメーバは根足虫類に属します。
国内においてパロモマイシンは商品名アメパロモカプセル200mgとして販売されております。
パロモマイシンは消化管からはほとんど吸収されません。
内服することで主に腸管内で作用します。
作用機序としては30Sリボソームに結合し、遺伝コードの解読を不完全にさせ、転座を阻害することにより感受性の高い病原体のタンパク質合成を阻害します。
男性同性愛者間や心身障害者施設での伝播が見られやすい赤痢アメーバによる感染症を治療します。
腸管アメーバ症の他にジアルジア症、クリプトスポリジウム症にも効果を示しますが未承認適応症となっております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/消化器内科/泌尿器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応/全額自己負担による治療も可能 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診療の目安としては診察料・検査料・薬剤料がかかります。
病院によっても若干前後しますがおおよそ以下の通りですが、検査する項目が多ければさらに加算されます。症状のひどい場合には入院が必要となります。入院費は別途加算されます。
診察料として3500円~5000円
検査料として3500円~
薬剤料として26900円
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2012年12月25日製造販売承認
2013年2月22日薬価基準収載
2013年4月12日発売開始 |
国内のジェネリック認可 |
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関連製品(先発薬) |
アメパロモカプセル200mg【製薬メーカー:ファイザー株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
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効果・作用 |
腸管アメーバ症の治療に用います。
パロモマイシンは経口投与時に消化管からほとんど吸収されず、腸管腔内の赤痢アメーバに高濃度で作用します。
パロモマイシンはWHOのガイドラインにおいて、赤痢アメーバ症の標準治療として、メトロニダゾールなどによる治療の後に、アメパロモなどにより腸管内のアメーバ原虫及び死すと駆除を行うことが推奨されております。
赤痢アメーバのの嚢子に有効で、治療抵抗例や無症候性キャリアの治療にも用います。
腸管外アメーバ症には無効なので注意が必要です。
腸管外アメーバ症は、腸管アメーバ症が進展し、台帳の病変部から血行性ないし、リンパ行性に転移病巣を形成するもので、最も多いのが肝膿瘍であり、脳、はい、肛門周辺の皮膚や膵臓などにも転移します。
肝膿瘍の症状は発熱、右季肋部痛、悪心、嘔吐、全身違和感や白血球数の増加が認められる。
国内における腸管外アメーバ症の治療薬はメトロニダゾール、チニダゾール、オリニダゾールなどのニトロイミダゾール系薬剤の他、デヒドロエメチンやクロロキン等があります。
パロモマイシンはタンパク質合成阻害を有しており、他のアミノグリコシド系抗生物質と同様に、殺菌作用を有しています。
①腸閉塞のある患者においてはアメパロモが腸管から排泄されにくくなることが想定されております。またアメパロモ投与により下痢症状などの胃腸障害が出る可能性があり腸管を刺激することで腸閉塞症状自体を悪化させる可能性があると報告されています。
②アメパロモの成分ならびに他のアミノグリコシド系抗生物質及びバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者においては、例えば蕁麻疹などが発現する可能性があるとの報告があります。
使用の際には疾患・アレルギーに対して注意が必要です。 |
使用方法 |
成人においてはアメパロモカプセル250mgを1日量として6カプセルをを3回に分けて10日間食後に内服します。
パロモマイシン硫酸塩として1500mg(力価)が必要であり、十分な治療効果を得るためにも必ず10日間連続して服薬が必要な薬です。
食事の影響は受けませんが胃腸への負担を減らすためにも食後での服薬が推奨されております。
パロモマイシンを単回投与した場合、投与後2時間に平均最高血中濃度に達した後、12時間後には定量下限値付近まで減少します。
腸管アメーバ症治療の完了には、一連の治療が必要になります。無症候性の死すとキャリアは再発の機会を持ち続け、他者に対する感染源になり続けます。
したがって、公衆衛生上の面からも10日間連続で飲み続けることが重要な意義があると考えられております。 |
副作用 |
重大な副作用
①腎障害
初期症状としては、むくみ、尿量の減少、倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐などがみられます。
定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこととされております。
②第8脳神経障害
症状としては、めまいの発作、眼振、平衡障害、運動失調症などの前庭障害、及び耳鳴り等がみられます。
聴力障害の危険性を考慮し、聴力検査を実施することが望ましいとされております。
アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用であるとされています。
その他の副作用
好酸球増加症(頻度不明)
ビタミンK欠乏症(低プロトロンビン血症、出血傾向等)(頻度不明)
ビタミンB群欠乏症(舌炎、口内炎、食欲減退、神経炎等)(頻度不明)
頭痛(頻度不明)
浮動性めまい(頻度不明)
難聴(頻度不明)
下痢(20%)
食欲減退(頻度不明)
悪心(頻度不明)
嘔吐(2.2%)
鼓脹(2.2%)
腹痛(頻度不明)
吸収不良(頻度不明)
消化不良(頻度不明)
膵炎(頻度不明)
蕁麻疹(2.2%)
発疹(頻度不明)
血尿(頻度不明)
肝機能異常(2.2%)
外国での市販後報告のため頻度不明となっております。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ①便秘のある患者、また消化管潰瘍等の腸に病変がある患者
想定されないアメパロモの消化管吸収が生じ、本剤の血中濃度が高まる可能性があるため使用に注意が必要となります。
②腎障害のある患者
微量に吸収されたアメパロモの排泄が滞り、血中濃度が高まる可能性が報告されています。
アメパロモは本来消化管からの吸収はほとんどされませんが、何かのきっかけで血中濃度が上昇した場合腎毒性が悪化する可能性があります。
③重症筋無力症の患者
神経筋遮断作用により症状の悪化する恐れが報告されています。
これはアミノグリコシド系抗生物質にはもともと神経遮断作用による神経毒性が報告されており、微量ながら血中に移行した場合、神経筋の遮断作用により、重症筋無力症の患者の神経伝達がされに遮断され、症状の重症化を招く可能性があるといわれています。
したがっていづれの患者においても慎重投与として注意喚起されております。
④前庭器官または蝸牛器官に損傷のある患者、難聴のある患者
めまい、耳鳴り等の第8脳神経障害の副作用が強く表れることがあります。
⑤経口摂取の不良な患者、又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
ビタミンK欠乏症上が現れることがあります。
⑥妊婦または妊娠している可能性のある婦人、授乳婦
妊婦に関しては過去の妊婦への投与経験はないか、あっても限られるが、薬剤の特性から胎児への明らかな危険性はないと考えられ、妊娠中の投与に適すると推測されている。
授乳婦の対照試験はないが、児に不都合な影響が出る可能性がある。又は対照試験でごく軽微で危険性のない有害作用しか示されていない。潜在的な有益性が児の潜在的なリスクを凌駕する場合のみ投与とされている。
⑦高齢者
下痢が続くことで、栄養吸収が十分にできないためにビタミンK欠乏症に至る可能性があります。
ビタミンK欠乏症により出血傾向が現れることがあるため慎重投与となっております。
上記にあてはまる方は、パロモマイシン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パロモマイシン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ①聴器毒性又は腎毒性を有する薬剤
カナマイシン
ゲンタマイシン
コリスチン
フロセミド等
これらとの併用において聴器障害、例えば難聴など又は腎障害が現れる恐れがあります。
いずれの薬剤も、神経筋遮断作用又は腎障害を悪化させる作用を有しており、併用によりそれらの作用が増強される可能性があるとされております。
聴器障害又は腎障害があらわれた場合には、必要に応じ、投与中止等の適切な処置を行うこととされております。
②麻酔剤、筋弛緩剤
ツボクラリン
パンクロニウム臭化物
ベクロニウム臭化物
トルペリゾン
A型ボツリヌス毒素等
これらとの併用において呼吸抑制が現れる恐れがります。
いずれの薬剤も神経遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強されます。
呼吸抑制が現れた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこととされております。
上記を使用している方は、パロモマイシン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パロモマイシン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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