成分名 |
メフェナム酸 |
適応症状 |
・手術後・外傷後の炎症及び腫脹
・変形性関節症、腰痛症、症候性神経痛、頭痛(他剤が無効な場合)、副鼻腔炎、月経痛、分娩後疼痛、歯痛
・急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む) |
簡易説明 |
炎症を引きおこすプロスタグランジンという物質の生合成を抑え、炎症にともなう腫れや痛みをやわらげて、熱を下げます。鎮痛作用は強力で、速効性もあります。 |
処方可能な診療科目 |
外科/整形外科/内科/耳鼻咽喉科/産婦人科/歯科 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
散剤:14.1円/g、細粒:23.1円/g、カプセル 8.4円/1カプセル、シロップ 6.5 円/mL
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
ポンタールカプセル250 mg 1966年7月発売
ポンタールシロップ 3.25 % 2008年6月発売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
ポンタール (第一三共)
オパイリン (大正製薬) |
関連製品(ジェネリック) |
ルメンタールカプセル250mg(福地製薬) |
効果・作用 |
ポンタールは、 1961 年に開発された非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) です。中枢性の鎮痛作用と末梢性の消炎作用の両方があります。
NSAIDsのなかでもアントラニル酸系に分類されるお薬です。炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン (PG) の合成酵素である、シクロオキシゲナーゼ (COX) を阻害することで、抗炎症作用を示します。炎症を抑えることにより、鎮痛作用、解熱作用も発揮します。アスピリンよりすぐれた解熱作用が認められています。ただし、効果は対症療法的です。
ポンタールカプセル250 mg
ポンタールカプセル250 mgの臨床試験は、二重盲検比較試験で行われました。適応疾患を対象とした臨床成績は、やや有効以上が以下の割合となりました。
手術後の痛み 88.1%(1825/2071)、外傷痛 88.7% (204/230) 、関節痛 76.6%(164/214)、腰 痛 80.8%(361/447)、神経痛 85.3%(332/389)、
頭 痛 72/5%(319/ 440)、鼻・副鼻腔炎 86.8%(46/ 53)、月経痛 81.3%(39/ 48)、分娩後疼痛 78.8%(41/52)、歯 痛 88.9%(433/ 487)
臨床試験は、二重盲検比較試験で国内 17 施設において行われました。急性上気道炎を含む発熱患者を対象に実施され、その有効率(やや有効以上)は 89.0%(566/636)でした。
ポンタールシロップ3.25%
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱・鎮痛
ポンタールシロップ3.25%の一般臨床試験は、小児の発熱患者を対象に実施されました。急性上気道炎に適用されたのは 7,235 例であり、有効率は95.1%(6,884/7,235)でした 2~5)。
ポンタールシロップ3.25%の二重盲検比較試験は、ポンタール散を対照薬として、急性上気道炎を含む小児の発熱患者を対象に実施されました。その有効率(解熱効果)は 93.9%(31/33)でした 6)。
血小板凝集抑制作用
ヒトの多血小板血漿にメフェナム酸を加え、さらに血小板凝集誘発物質 ADP(adenosine 5’-diphosphate、アデノシン 5’-二リン酸)4µM を添加した実験から、メフェナム酸は濃度依存的な血小板凝集抑制を示します 7)。 |
使用方法 |
ポンタールカプセル250 mg
【手術後及び外傷後の炎症及び腫脹の緩解、消炎、鎮痛、解熱:変形性関節症、腰痛症、症候性神経痛、頭痛(他剤が無効な場合)、
副鼻腔炎、月経痛、分娩後疼痛、歯痛の場合】
メフェナム酸として、成人 1 回500mg、その後 6 時間毎に 1 回250mgを経口投与します。
【急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱・鎮痛の場合】
通常、成人にはメフェナム酸として、 1 回500mgを頓服として使用します。ただし、原則 1 日 2 回までとし、 1 日最大1500mgを限度とします。
※なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する必要があります。また、胃腸粘膜に作用することがあるため、空腹時の投与は避けさせることが望ましいです。
ポンタールシロップ3.25%
通常小児 1 回 0.2mL/kg(メフェナム酸として 6.5mg/kg)を標準用量として頓服として使用します。ただし、原則として 1 日 2 回までとします。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましいです。 |
副作用 |
重大な副作用
1) ショック、アナフィラキシー
胸内苦悶、冷汗、喉頭浮腫、呼吸困難、四肢しびれ感、低血圧、結膜充血等を起こすことがあります。
2) 溶血性貧血、無顆粒球症
自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、顆粒球減少があらわれることがあります。
血液検査を行うなどの注意が必要です。また、高齢者では長期投与した場合、自己免疫性溶血性貧血があらわれることがあります。
3) 骨髄形成不全:骨髄形成不全があらわれることがあります。血液検査を行うなどの注意が必要があります。
4) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)
5) 急性腎障害、ネフローゼ症候群、間質性腎炎
乏尿、血尿、尿蛋白、BUN 上昇、血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等があらわれることがあります。
6) 消化性潰瘍、大腸炎
吐血、下血、血便等の消化管出血があらわれることがあります。
7) 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP 等の著しい上昇を伴うことがあります。
※観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うことが必要です。
その他の副作用
総症例 9,091 例中、71 例(0.78%)に副作用が認められ、主な副作用は、消化器-下痢(0.34%)、嘔吐(0.10%)、過敏症-発疹(0.19%)等でした。
〔新開発医薬品の副作用のまとめ(その 50)8)〕
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・消化性潰瘍のある者
メフェナム酸の直接的な作用やプロスタグランジン生合成抑制により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがあります。
・重い血液の異常のある者
プロスタグランジン生合成抑制による血小板機能障害などの血液異常を悪化させることがあります。
・重い肝障害のある者
重い肝障害患者は、肝機能が著しく低下しているため、代謝が十分に行われない場合があります。その結果、異常な体内分布を起こすおそれがあります。また、肝の代謝機能が過重となり、肝障害を悪化させることがあります。
・重い腎障害のある者
重い腎障害患者は、薬物排泄機能が著しく低下しているため、排泄が十分に行われない場合があります。その結果、異常な体内分布を起こすおそれがあります。また、プロスタグランジン生合成抑制により腎機能が低下するため腎障害を悪化させることがあります。
・重い心機能不全のある者
腎のプロスタグランジン生合成抑制により、浮腫、循環体液量の増加が起こる可能性があります。その結果、心臓の仕事量が増加し、症状を悪化させるおそれがあります。
・過敏症のある者
・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)のある者
気管支拡張作用を低下させ喘息発作を誘発することがあります。
・重い高血圧症の者
腎のプロスタグランジン生合成抑制により、水、ナトリウムの貯留が起こり、浮腫、血圧上昇を起こすおそれがあります。
・過去にメフェナム酸を服用し、下痢を起こした者
メフェナム酸に対し耐薬性を失い、下痢を再発することが多いです。
・妊娠末期の婦人
妊婦(妊娠末期以外)又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することが可能です。投与する際には、必要最小限にとどめ、適宜羊水量を確認するなど慎重に投与する必要があります。妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害や尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告があります。また、他の消炎鎮痛剤を妊娠末期に投与したところ、胎児循環持続症(PFC)が起きたとの報告があります。
使用に注意が必要な方 ・消化性潰瘍の既往歴のある患者
潰瘍を再発させることがあります。
・非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者
ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としています。ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、継続投与する場合には、十分経過に注意して、慎重に投与する必要があります。
・血液の異常又はその既往歴のある患者
自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少等の副作用が起こりやすいです。
・出血傾向のある患者
血小板機能異常が起こり、出血時間が延長することがあります。
・肝障害又はその既往歴のある患者
肝障害を悪化・再発させることがあります。
・腎障害又はその既往歴のある患者
腎血流量が減少し、非乏尿性の急性腎障害が起こることがあります。
・心機能異常のある患者 (重篤な場合は禁忌)
腎のプロスタグランジン生合成抑制により、浮腫、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加するため、症状を悪化させるおそれがあります。
・過敏症の既往歴のある患者
過敏症(発疹等の皮膚症状)を再発させることがあります。
・気管支喘息のある患者
・SLE(全身性エリテマトーデス)の患者
・高血圧症の患者
・潰瘍性大腸炎の患者
・クローン氏病の患者
いずれの疾患も病態を悪化させるおそれがあります。
・高齢者
少量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与する必要があります。高齢者では、副作用があらわれやすいためです。
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児
代謝・排泄機能が未熟であるためです。
・食道通過障害のある患者
食道潰瘍が起こることがあります。
上記にあてはまる方は、メフェナム酸を使用する事が出来ない可能性があります。 メフェナム酸を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・クマリン系抗凝血剤 (ワルファリン)
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)の作用を増強することがあるので、併用する場合にはその医薬品を減量するなど慎重に投与する必要があります 9)。
機序は以下の通りです。
(1)in vitroにおいて、本剤がワルファリンをアルブミン結合部位から遊離置換させ、遊離の活性ワルファリンが増加するとの報告があります。
(2)本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され、血液凝固能が低下します。
(3)本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により消化管粘膜障害が起こり、出血が起こりやすくなります。
・第Xa因子阻害剤
抗血栓作用を増強するため、出血の危険性が増すおそれがあります。
・リチウム製剤 (炭酸リチウム)
腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、炭酸リチウムの腎排泄が減少、血中リチウム濃度が上昇し、リチウム中毒を起こすことがあります。血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量する必要があります。
・チアジド系利尿剤 (ヒドロクロロチアジド等)
本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させます。このため、利尿・降圧作用が弱まるおそれがあります。
・降圧剤10~13) (ACE阻害剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等)
ACE 阻害剤やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用により降圧作用が弱まったり、腎機能の悪化がみられたりすることが外国文献で報告されています。
プロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下します。これにより、薬剤の降圧作用が弱まる可能性があります。また、腎機能を悪化させるおそれがあります。
上記を使用している方は、メフェナム酸を使用する事が出来ない可能性があります。 メフェナム酸を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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