パラアミノサリチル酸カルシウム水和物

成分名

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物

適応症状

結核症/肺結核など

簡易説明

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は、パラアミノサリチル酸に感性の結核菌に適応した抗結核薬で、肺結核及びその他の結核症の治療で用います。
単体で使用することは奨励されておらず、他の抗結核薬と併用することが望ましく、使用にあたっては耐性菌の発現等を防ぐために原則として感受性を確認して、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる必要があります。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器科/呼吸器外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1gあたりの目安:100%約31円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

薬価基準収載年月 : 1954年1月
販売開始年月 : 1954年4月
再評価結果公表年月 : 1975年10月

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

【製薬メーカー:田辺三菱製薬】
ニッパスカルシウム顆粒100%

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は、パラアミノサリチル酸に感性の結核菌に適応した抗結核薬で、結核菌をおさえる作用があり、菌が死滅すれば結核の病気も治ることから、肺結核及びその他の結核症の治療で用います。
結核は、結核菌が増殖して体をむしばんでいく病気で、主に肺が病変部位で、かつては肺病として恐れられました。
近年結核は減少したものの、先進国の中では以前高い水準で油断はできず、学校、老人ホームなどで集団感染が度々おこり、病院での院内感染も目立ちます。
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は、通称パス(PAS)と呼ばれる古くからある抗結核薬で、治療効果はやや劣ることから、一般に初期治療として第一選択することはありません。
そのため、第一線薬4剤のいずれかが副作用または薬剤耐性などの理由で使用できない場合に限り代替薬として用いられる薬剤で、結核菌に対し静菌的に作用します。
本剤は、わずかに苦い味を持つ白色又はわずかに着色した粉末であり、水に極めて溶けにくくて、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けないことから、飲みにくいときには水に溶かして服用してください。
また、光によって徐々に褐色になることから、保管時に注意が必要です。
使用にあたっては耐性菌の発現等を防ぐために原則として感受性を確認して、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる必要があります。
副作用としては胃腸症状が多く、胃の不快感、吐き気、食欲不振などがみられるため、症状がひどい場合は早めに受診してください。
とくに他の抗結核薬と併用している場合は肝臓が悪くなることがあるため、注意が必要です。

使用方法

▼用法用量
・成人には、パラアミノサリチル酸カルシウム水和物として1日量10gから15gを2回から3回に分けて経口投与します。年齢や症状により適宜増減します。なお、他の抗結核薬と併用することが望ましいです。

▼用法用量に関連する使用上の注意
・本剤の使用にあたっては耐性菌の発現等を防ぐために、原則として感受性を確認して疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめてください。

副作用

副作用発現状況の概要については、使用成績調査などの頻度が明確となる調査を実施していません。そのため、副作用発現頻度については不明です。

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

重大な副作用
▼無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)
無顆粒球症、溶血性貧血があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼肝炎、黄疸(いずれも頻度不明)
肝炎、黄疸(いずれも頻度不明)等があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

まれに以下のような症状があらわれることがあります。これらは副作用の初期症状の可能性があるため、このような症状が見られた場合は投与を中止して、すぐに医師の診療を受けてください。
[無顆粒球症]
・のどの痛み、高熱、筋肉痛
[溶血性貧血]
・疲れやすい、全身倦怠感、褐色尿
[肝炎]
・食欲不振、全身倦怠感、吐き気
[黄疸]
・皮膚や白目が黄色くなる

その他の副作用
・過敏症:発熱、皮膚症状
・血液:白血球減少、血小板減少
・甲状腺:甲状腺機能障害又は甲状腺腫
・肝臓:AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇
・腎臓:蛋白尿
・消化器:食欲不振、悪心、胃部不快感、下痢

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■高カルシウム血症の患者
高カルシウム血症の患者は、本剤はカルシウム塩であり、本剤投与により症状を悪化させるおそれがあるため使用できません。投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■肝障害、腎障害又は血液障害のある患者
肝障害、腎障害又は血液障害のある患者は、肝障害、腎障害又は血液障害が悪化するおそれがあります。また、腎障害の場合は排泄遅延により本剤の作用が増強するおそれがあります。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■薬物過敏症の既往歴のある患者
薬物過敏症の既往歴のある患者には、観察を十分に行ったうえで、慎重に投与してください。異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処理を行ってください。

■妊婦、産婦、授乳婦等
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいです。また、授乳中の婦人には投与しないことが望ましいですが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせてください。ヒト母乳中へ移行するとの報告があります。

■高齢者
一般に高齢者では生理機能が低下していることから、減量するなど注意が必要です。慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、パラアミノサリチル酸カルシウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
以下の薬剤は、本剤は肝のプロトロンビン形成抑制作用があります。また、ワルファリン、ジクマロールの血中濃度を上昇させます。
・経口抗凝血剤(ワルファリン、ジクマロール)

以下の薬剤は、フェニトインの代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することことから、フェニトインの血中濃度が上昇して、作用が増強することがあります。異常が認められた場合には、フェニトインを減量するなど適切な処置を行ってください。
・フェニトイン

上記を使用している方は、パラアミノサリチル酸カルシウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は使用するとカルシウムの過剰摂取になりますか?

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物酔薬はカルシウム分が多く含まれるので、高カルシウム血症のある人には用いません。その他、肝臓病など病気によっては症状を悪化させるおそれがあることから、持病がある場合は担当医に伝えてください。

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は肝臓に負担がかかる薬ですか?

パラアミノサリチル酸カルシウム水和物は、他の抗結核薬と併用しているときに肝臓に負担がかかります。普段から酒量の多い人や高齢者などは注意が必要で、定期的に検査を受けるようにしてください。

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