テイコプラニン

成分名

テイコプラニン

適応症状

敗血症/深在性皮膚感染症/慢性膿皮症/外傷・熱傷及び手術創等の二次感染/肺炎/膿胸/慢性呼吸器病変の二次感染 など

簡易説明

「テイコプラニン」はグリコペプチド系に属する抗菌薬で、敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染などの治療に用いられます。
日本では、サノフィがタゴシッドの商品名で販売し、また、富士製薬工業がテイコプラニンの商品名で販売しています。
「テイコプラニン」はメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌感染症に対してのみ有用性が認められている細胞壁合成阻害薬で、主にMRSA感染症に使用します。
一般的にはバンコマイシンに比べると腎毒性などを含む副作用への懸念が少ないとされています。

処方可能な診療科目

内科/外科/皮膚科/呼吸器科/循環器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
注射用タゴシッド200mg 3182円/瓶(薬価)
*病院によって差が有り。初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1998年7月認可

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

注射用タゴシッド200mg【製薬メーカー:サノフィ】

関連製品(ジェネリック)

テイコプラニン点滴静注用200mg「日医工」【製薬メーカー:日医工】
テイコプラニン点滴静注用200mg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ】

効果・作用

「テイコプラニン」はグリコペプチド系に属する、抗生物質メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に有効とされている抗生物質で、細菌の細胞壁合成を阻害する作用を持ち、細菌の成長・分裂・増殖を妨げる効果を持ちます。
一方で、グラム陰性菌に対しては抗菌力を持ちません。
細菌は細胞壁とよばれる防御壁をもちますが、細菌の細胞壁の合成に深く関わるタンパク質にペプチドグリカンというものがあり、これが生成する前の段階の物質としてペプチドグリカン前駆体があります。
「テイコプラニン」はペプチドグリカン前駆体に結合することで、細菌の細胞壁合成を阻害して細菌を殺すことにより殺菌的に作用し、特にMRSA感染症などに対して有用とされる抗菌薬です。
「テイコプラニン」は白色~淡黄白色の粉末で、水に溶けやすくて、N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸又はジエチルエーテルにほとんど溶けません。
「テイコプラニン」は一般的にはバンコマイシンに比べると腎毒性などを含む副作用への懸念が少なく、敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染などの治療に用いられます。
「テイコプラニン」の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐために、原則として感受性を確認して疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることが推奨されています。

使用方法

▼用法用量
・成人にはテイコプラニンとして初日400mg(力価)又は800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回200mg(力価)又は400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注します。敗血症には、初日800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注します。
・乳児、幼児又は小児にはテイコプラニンとして10mg(力価)/kgを12時間間隔で3回、以後6~10mg(力価)/kg(敗血症などの重症感染症では10mg(力価)/kg)を24時間ごとに30分以上かけて点滴静注します。また、新生児(低出生体重児を含む)にはテイコプラニンとして初回のみ16mg(力価)/kgを、以後8mg(力価)/kgを24時間ごとに30分以上かけて点滴静注します。なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。

副作用

重大な副作用
・ショック、アナフィラキシー
・第8脳神経障害
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)
・無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
・急性腎障害
・肝機能障害、黄疸

その他の副作用
・発熱、発疹
・AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇
・黄疸、LDH上昇、ビリルビン上昇
・好酸球増多
・貧血、白血球減少
・BUN上昇
・血清クレアチニン上昇
・血圧低下
・動悸
・血圧上昇
・食欲不振、下痢、嘔吐
・悪心
・痙攣
・注射部位疼痛、静脈炎、悪寒、頭痛、菌交代症

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■アミノグリコシド系抗生物質、ペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類に対し過敏症の既往歴のある患者
アミノグリコシド系抗生物質、ペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類に対し過敏症の既往歴のある患者には慎重に投与してください。ただし、テイコプラニンに対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

■アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類による難聴又はその他の難聴のある患者
アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類による難聴又はその他の難聴のある患者には血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮して、慎重に投与してください。

■血液透析患者
血液透析患者には血中濃度をモニタリングするなどして必要なトラフレベルの血中濃度の確保に注意してください。透析膜の種類によっては除去される場合もありますが、一般にテイコプラニンは血液透析によって除去されない場合が多いです。

■腎機能障害のある患者(血液透析患者を除く)
腎機能障害のある患者には投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用してください。また、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与してください。排泄が遅延して蓄積します。

■肝機能障害患者
肝機能障害患者は肝障害を悪化させることがあります。慎重に投与してください。

■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与してください。

■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められています。

■小児等
原則として初期負荷用量(小児では10mg/kg 12時間間隔 3回、新生児では16mg/kg)投与終了後の次回投与開始前のトラフ値及びその後1週間間隔でトラフ値の血中濃度をモニタリングするなど、慎重に投与してください。腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し高い血中濃度が長時間持続するおそれがあります。

■高齢者
血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮してください。また、投与前及び投与中に腎機能検査を行い、腎機能の低下の程度により、4日目以降の用量を減量するなど慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、テイコプラニンを使用する事が出来ない可能性があります。
テイコプラニンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミドなど)
・腎障害、聴覚障害を起こす可能性のある薬剤(アミノグリコシド系抗生物質、ペプチド系抗生物質、アムホテリシンB、シクロスポリン、シスプラチンなど)

上記を使用している方は、テイコプラニンを使用する事が出来ない可能性があります。
テイコプラニンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「テイコプラニン」はグラム陰性菌に効果はありますか?

グラム陰性菌に対しては抗菌力を持ちません。

「テイコプラニン」はどのようにして抗菌効果を持つのですが?

細菌の細胞壁合成を阻害して細菌を殺すことで抗菌作用を持ちます。

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