成分名 |
バンコマイシン塩酸塩 |
適応症状 |
敗血症/感染性心内膜炎/外傷・熱傷及び手術創等の二次感染/骨髄炎/関節炎/肺炎/肺膿瘍/膿胸/腹膜炎/化膿性髄膜炎 など |
簡易説明 |
「バンコマイシン塩酸塩」はグリコペプチド系に属する抗菌薬で、敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、腹膜炎、化膿性髄膜炎などの治療に用いられます。
日本では、大蔵製薬が塩酸バンコマイシンの商品名で販売しており、またMeiji Seikaファルマがバンコマイシン塩酸塩の商品名で販売しています。
「バンコマイシン塩酸塩」はメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌感染症に対してのみ有用性が認められている細胞壁合成阻害薬で、主にMRSA感染症に使用します。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/皮膚科/呼吸器科/循環器科/泌尿器科 など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
塩酸バンコマイシン散0.5g 909.6円/瓶(薬価)
*病院によって差が有り。初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1981年9月認可 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
塩酸バンコマイシン散0.5g【製薬メーカー:大蔵製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「MEEK」【製薬メーカー:小林化工】
バンコマイシン塩酸塩点滴静注用1.0g「MEEK」 【製薬メーカー:小林化工】
バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】
バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「タイヨー」【製薬メーカー:武田テバファーマ】 |
効果・作用 |
「バンコマイシン塩酸塩」はグリコペプチド系に属する、抗生物質メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に有効とされている抗生物質で、細菌の細胞壁合成を阻害する作用を持ち、細菌の成長・分裂・増殖を妨げる効果を持ちます。
一方で、グラム陰性菌に対しては抗菌力を持ちません。
細菌は細胞壁とよばれる防御壁をもちますが、細菌の細胞壁の合成に深く関わるタンパク質にペプチドグリカンというものがあり、これが生成する前の段階の物質としてペプチドグリカン前駆体があります。
「バンコマイシン塩酸塩」はペプチドグリカン前駆体に結合することで、細菌の細胞壁合成を阻害して細菌を殺すことにより殺菌的に作用し、特にMRSA感染症などに対して有用とされる抗菌薬です。
「バンコマイシン塩酸塩」は白色の粉末で、水に溶けやすくて、ホルムアミドにやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノールに極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けません。
「バンコマイシン塩酸塩」の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐために、原則として感受性を確認して疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることが推奨されています。 |
使用方法 |
▼用法用量
[感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)]
・成人は1回0.125~0.5g(力価)を1日4回経口投与します。なお、年齢や体重や症状により適宜増減します。
[骨髄移植時の消化管内殺菌]
・成人は1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4~6回経口投与します。なお、年齢や体重や症状により適宜増減します。
▼関連する使用上の注意
・腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の調節を行い、慎重に投与してください。
・本剤を感染性腸炎に投与するとき、7~10日以内に下痢、腹痛、発熱等の症状改善の兆候が全くみられない場合は投与を中止してください。
・本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐために、感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うことや、原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性を確認してください。また、投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめてください。 |
副作用 |
副作用発現状況の概要について、骨髄移植時の消化管内殺菌では、承認時における安全性評価対象例12例中1例(8%)で、再審査終了時における安全性評価対象例70例中49例(70%)の副作用が確認されています。
クロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎では、承認時における安全性評価対象例41例中3例(7%)、再審査終了時における安全性評価対象例257例中11例(4.3%)に臨床検査値の異常変動を含む副作用が確認されています。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎では、承認時における安全性評価対象例53例では副作用は認められませんでしたが、臨床検査値の異常変動は安全性評価対象例51例中8例(16%)の副作用が確認されています。
重大な副作用
▼ショック(0.1%未満)
ショックを起こすことがあります。観察を十分に行い、症状(血圧低下、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴り、発汗等)があらわれた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。
注射用バンコマイシン塩酸塩製剤では、アナフィラキシー、急性腎障害、間質性腎炎、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎、薬剤性過敏症症候群5)、第8脳神経障害、偽膜性大腸炎、肝機能障害、黄疸があらわれることが報告されています。観察を十分に行って、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
その他の副作用
・発熱、発疹、潮紅
・悪寒、蕁麻疹、そう痒
・好酸球増多、白血球減少、血小板減少
・貧血
・AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇
・下痢、悪心・嘔吐
・食欲不振
・BUN上昇、クレアチニン上昇
・口内炎、舌炎
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者には投与しないでください。
使用に注意が必要な方 ■本剤の成分又はペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分又はペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者には慎重に投与してください。
■ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者
ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者は難聴が発現又は増悪するおそれがあります。慎重に投与してください。
■腎障害のある患者
腎障害のある患者は慎重に投与してください。
■高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることから、特に腎機能障害が高度(血液透析中等)でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の患者では、吸収され、排泄が遅延して蓄積を起こす可能性があります。腎機能等に注意して、慎重に投与してください。
■妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。
授乳中の婦人には、投与しないことが望ましいですが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止してください。静脈内投与により、ヒト母乳中への移行が認められています。
上記にあてはまる方は、バンコマイシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 バンコマイシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・コレスチラミン
上記を使用している方は、バンコマイシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 バンコマイシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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