ベンジルペニシリンベンザチン

成分名

ベンジルペニシリンベンザチン

適応症状

梅毒(神経梅毒を除く)、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱、リウマチ熱の発症予防など

簡易説明

ベンジルペニシリンベンザチンはペニシリン系に属する持続性ペニシリン製剤で、梅毒(神経梅毒を除く)などの治療に用いられます。
一部のグラム陽性菌やグラム陰性球菌などに強い殺菌力を持っていますが、グラム陰性桿菌には無効です。耐性を持つ菌が多く、殺菌効果が有効な菌種が限られています。基本的に安全性が高い抗生物質ですが、人によってはアレルギー症状が現れたりすることがあります。

処方可能な診療科目

内科/皮膚科/泌尿器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:バイシリンG顆粒40万単位約22.4円/g(薬価)
ステルイズ水性懸濁筋注60万単位シリンジ約3129円/筒(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1981年9月発売開始【バイシリンG顆粒40万単位】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

バイシリンG顆粒40万単位【製薬メーカー:MSD】
ステルイズ水性懸濁筋注60万/240万単位シリンジ【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ベンジルペニシリンベンザチンはペニシリン系の古い抗生物質の一つで、細菌の細胞壁合成を阻害する作用を持ち、細菌の成長・分裂・増殖を妨げる効果を持ちます。
細菌は細胞壁とよばれる防御壁をもちますが、細菌の細胞壁の合成に深く関わるタンパク質にペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがあります。
ベンジルペニシリンベンザチンはペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用して、細菌の細胞壁合成を阻害して細菌を殺すことにより殺菌的に作用します。
現在は耐性菌が多く、本剤の作用が有効な菌種が限られること、また新しく抗生物質が多く開発されていることがあり、特殊な目的を除いて用いられることが少なくなりました。特に連鎖球菌(溶連菌)に対して強い殺菌力を表すため、その菌に伴う心臓病やリウマチ熱へ急性期に大量に使用されたり、予防のために長期間での使用がされたりすることがあります。その他は肺炎球菌や梅毒の病原体として知られる、螺旋状のスピロヘータの一種である梅毒トレポネーマなどに対する有用性もあります。
国内で梅毒治療はペニシリン系抗菌薬の内服製剤が標準と定められていました。しかし2022年に新しくファイザーから販売された筋肉へ注射する形のステルイズ®水性懸濁筋注60万単位シリンジ/240万単位シリンジは、神経梅毒を除く梅毒の治療薬として、従来の第一選択薬と同じ位置付けになるのではないかと考えられれています。

使用方法

▼バイシリンG顆粒
通常、成人はベンジルペニシリンベンザチンとして1回40万単位を1日2〜4回服用します。
<梅毒>
通常、成人は1回40万単位を1日3〜4回服用します。
※どの場合でも症状や年齢によって適宜増減します。
▼ステルイズ水性懸濁筋注
<早期梅毒>
通常、成人又は13歳以上の小児、2歳以上13歳未満の小児はベンジルペニシリンベンザチンとして240万単位を、筋肉内に注射します。
<後期梅毒>
通常、成人又は13歳以上の小児、2歳以上13歳未満の小児は2歳以上1回240万単位を週に1回、計3回を筋肉内に注射します。
※2歳以上13歳未満の小児は年齢や体重により適宜減量することがあります。
<早期先天梅毒又は早期梅毒>
通常、2歳未満の小児は体重1kgあたり5万単位を、筋肉内に注射します。

副作用

重大な副作用
▼ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシーの副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼偽膜性大腸炎(頻度不明)
偽膜性大腸炎、クロストリジウム・ディフィシル性下痢等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあります。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼間質性腎炎、急性腎障害(いずれも頻度不明)
間質性腎炎、急性腎障害の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼溶血性貧血(頻度不明)
溶血性貧血の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
・皮疹(斑状丘疹状皮疹、剥脱性皮膚炎)、蕁麻疹、喉頭浮腫、発熱、血清病様反応(悪寒、発熱、浮腫、関節痛、疲はい)、アレルギー性血管炎、そう痒症、疲労、無力症、疼痛
・低血圧、頻脈、動悸、肺高血圧症、血管拡張、血管迷走神経性反応、失神、チアノーゼ
・低酸素症、呼吸困難、無呼吸
・好酸球増加症、白血球減少症、血小板減少症、リンパ節症
・神経過敏、振戦、浮動性めまい、傾眠、錯乱、不安、多幸症、横断性脊髄炎、昏睡、ホイグネ症候群(重度の錯乱を伴う激越、幻聴と幻視、死の恐怖)、精神病、痙攣発作、耳鳴、ニューロパチー、頭痛、味覚異常
・霧視、失明
・悪心、嘔吐、血便、腸壊死
・腎症、神経因性膀胱、血尿、蛋白尿、腎不全
・インポテンス、持続勃起症
・発汗
・先在疾患の増悪、ニコラウ症候群
・関節障害、骨膜炎、関節炎増悪、ミオグロビン尿、横紋筋融解症
・疼痛、炎症、腫瘤、膿瘍、壊死、浮腫、出血、蜂巣炎、過敏反応、萎縮、斑状出血、皮膚潰瘍、潰瘍
・温感、血管痙攣、蒼白、皮膚変色、壊疽、四肢のしびれ感、末梢神経損傷
・BUN増加、クレアチニン増加、血清GOT増加
・ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【使用出来ない方】
■本材の成分に対し過敏症の既往歴のある方
■ベンジルペニシリンベンザチンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼バイシリンの有効成分
ベンジルペニシリンベンザチン
▼バイシリンの添加物
クエン酸ナトリウム水和物/安息香酸ナトリウム/サッカリンナトリウム水和物/トウモロコシデンプン/赤色102号/精製白糖/香料/レシチン/トウィーン
▼ステルイズの添加物
レシチン/大豆レシチン/カルメロースナトリウム/パラオキシ安息香酸メチル/ポビドン/パラオキシ安息香酸プロピル/無水クエン酸ナトリウム/注射用水

使用に注意が必要な方
■ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者には慎重に投与してください。
■本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者には慎重に投与してください。
■腎機能障害患者
腎機能障害患者は本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがあります。慎重に投与してください。
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。ヒト母乳中へ移行することが報告されています。
■高齢者
高齢者は生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいことや、ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある為、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、ベンジルペニシリンベンザチンを使用する事が出来ない可能性があります。
ベンジルペニシリンベンザチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■抗凝血薬 (出血傾向を増強する恐れがあります。)
■プロベネシド(血清中ペニシリン濃度を上昇させ、排泄を遅延させる恐れがあります。)

上記を使用している方は、ベンジルペニシリンベンザチンを使用する事が出来ない可能性があります。
ベンジルペニシリンベンザチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
副作用が出た際に気をつけることはありますか?

腸内細菌のバランスが崩れることにより、良く起こるのは下痢です。特に小さい子供は便が柔らかくなりやすいため注意して下さい。
もし血便や下痢が続くようでしたら速やかに医療機関で受診して下さい。

症状が重いのですが、薬の量は増やせますか?

医師の診断によって飲み方は定められます。症状や年齢などによって飲み方が異なってきますが、症状が重い場合は薬を多く処方されることもあります。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。