成分名 |
リネゾリド |
適応症状 |
耐性菌による感染症 |
簡易説明 |
ザイボックス(以下、本剤)はアメリカのファルマシア・アップジョン社(現、ファイザー社)によって合成されたオキサゾリジノン系合成抗菌薬です。
オキサゾリジノン系薬剤は、デュポン社が1987年に発見し、その後ファルマシア・アップジョン社が2種類の候補製剤を合成し、その2製剤の中からリネゾリドを選択し製剤化しました。
日本国内では、海外の臨床試験結果に国内臨床成績の結果を加えて承認申請を行い、2021年に承認されました。
本剤は約20年ぶりに開発された新しいメカニズムによる抗菌薬です。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科など |
健康保険の適応 |
1.本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による以下の感染症
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷および手術創等の二次感染、肺炎
2.本剤に感性のあるバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE)による各種感染症 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:9,940円(後発品1日2錠)~16,170円(先発品1日2錠)×日数(*)
薬代1錠あたりの目安:8083.4円
薬代後発品1錠あたりの目安:4970.3円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる
(副作用のチェックのため週1回を目安に血液検査を行います)
高額療養費制度の対象となる場合は、患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。
(*)本剤を含む抗菌薬は必要最低限の日数に限定して処方されますので、感染症の程度によって処方日数は異なります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:2001年5月24日 |
国内のジェネリック認可 |
国内のジェネリック認可あり |
関連製品(先発薬) |
ザイボックス錠600㎎【製造メーカー:ファイザー株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
リネゾリド錠600㎎「明治」【製薬メーカー:Meiji Seikaファルマ株式会社】
リネゾリド錠600㎎「サワイ」【沢井製薬株式会社】 |
海外での使用実績 | 本剤は200年4月にアメリカにおいて承認され、2021年4月現在、ヨーロッパを含め世界102か国で承認されています。
海外では使用方法や使用上の注意が日本国内と一部異なります。 |
効果・作用 |
本剤は細胞の蛋白合成過程の開始段階に作用することにより抗菌力を発揮します。
このメカニズムは従来の抗菌薬と異なるため、他剤抗菌薬の耐性菌に対して効果を発揮します。
そのため国内では、メチシリン、バンコマイシンと言った抗菌薬に耐性を持つ細菌(MRSA、VRE)による感染症治療薬として用いられています。
抗菌薬の重要な課題に耐性菌の出現があります。
耐性菌は様々な抗菌薬が用いられることで出現するおそれがあります。
実際、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とは、鼻の中や皮膚に住んでいる常在菌である黄色ブドウ球菌が薬剤に耐性を持つことで耐性化した細菌です。
この常在菌である黄色ブドウ球菌は何かのきっかけで肺や心臓などで繁殖し重大な感染症を引き起こすことがあります。
人の身体には常在菌は多数存在します。
腸内フローラのバランスを...とよく言いますが、これは腸内の常在菌の多様性を保つと言う意味です。
突出して1種類の常在菌だけが増える事で偽膜性大腸炎のような様々な健康上の問題が生じるとの報告が散見されます。
黄色ブドウ球菌も同様に住んでいる場所の細菌バランスが重要となります。
なんらかの細菌感染症にかかり抗菌薬を投与された場合、多くの細菌が抗菌薬によって死滅していきます。
この時にMRSAのみが生き残ると、細菌のバランスが崩れ、MRSAの異常増殖につながる一方、治療可能な抗菌薬がないという最悪の事態に陥ります。
このような耐性菌の出現を防ぐため、抗菌薬の使い方、使用期間についてはそれぞれの薬剤毎に決められています。一般的には「効果のある細菌」に「必要最低限の投与期間」で「完全に該当細菌が死滅するまで」というルールとなっています。
実際に本剤に関しては「本剤に対する感受性を確認すること(細菌を培養して本剤が有効かをシャーレとよばれるお皿の上で確認します)」「感染症に十分な知識と経験を持つ医師(またはその管理下で)使用すること」「適切な時期に治療上最小限の期間の投与にとどめること」との処方医への注意が記載がされています。
また患者さん向け資料には「指示通り飲み続ける事が重要」と記載されています。
本剤の国内臨床成績
・MRSA感染症に対する有効性(有効症例数/投与症例数)
敗血症:4/9、深在性皮膚感染症:1/1、慢性膿皮症:2/3、外傷・熱傷及び手術創の二次感染:11/14(78.6%)、肺炎:21/35(60.0%)
・VRE感染症に対する有効性(プラセボ:偽薬比較試験)
本剤群:39/58(67%)、プラセボ群:24/46(52%) |
新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して | 併用を注意すべき薬や飲食物がありますので、予防接種や治療を受ける際には本剤を飲んでいることを伝えてください。
(本剤は抗菌薬でありウィルスに対する効果は示されていません) |
使用方法 |
1日2錠を1日2回に分けて12時間ごとに飲みます。12歳未満の小児は8時間ごとに10mg/㎏を飲みます(1日600㎎を超えません)。 |
副作用 |
主な副作用
血小板減少症:19%(19例)、貧血:13%(13例)、下痢:10%(10例)、白血球減少症:7%(7例)、低ナトリウム血症:7%(7例)
重大な副作用
骨髄抑制(白血球減少など。14日以上投与すると頻度が高くなる傾向があります):風邪のような症状、あおあざや歯ぐきの出血などの出血傾向など
代謝性ケトアシドーシス:頭痛、意識の低下など
視神経症(28日以上投与すると視力喪失につながるおそれのある視神経障害が現れることがあります):視力の低下、目のかすみ等
ショック、アナフィラキシー:めまい、意識の低下、ひふのかゆみ、じんましん等
間質性肺炎:息苦しさ、咳、発熱等
腎不全:尿量減少、むくみ等
低ナトリウム血症:吐き気、けいれん、意識の低下等
偽膜性大腸炎(生命の危険性がある重篤な大腸炎):腹痛、血便、吐き気、等
肝機能障害:だるさ、つかれやすさ、食欲不振等
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 本剤で過敏症(じんましん等)がおこったことのある方:(ショック、アナフィラキシーなどの重大な副作用がおこるおそれがあるため)
使用に注意が必要な方 貧血、白血球減少症など造血機能が低下している方、骨髄抑制を起こす薬剤を飲んでいる方、14日以上本剤を使用する方、他の抗菌剤を使用していた方:骨髄抑制がおこるおそれがあるため
体重40㎏未満の方:貧血がおこりやすいため
腎臓の重い障害のある方、血液透析を受けている方:本剤の作用が強くあらわれるおそれがあるため
妊婦または妊娠している可能性のある方:動物実験で胎児への悪影響が報告されているため
授乳している方:動物実験で乳汁への移行が報告されているため
上記にあてはまる方は、リネゾリドを使用する事が出来ない可能性があります。 リネゾリドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 モノアミン酸化酵素阻害剤(抗うつ薬等):両剤の作用が強くあらわれるおそれがあるため)
アドレナリン作動薬(昇圧剤等):血圧上昇、動悸等があらわれるおそれがあるため
セロトニン作動薬(抗うつ薬等):錯乱、情緒不安、手の震え等(セロトニン症候群)があらわれるおそれがあるため
リファンピシン(抗菌薬):本剤の作用が強くあらわれるおそれがあるため
チラミンを多く含む飲食物(チーズ、ビール、赤ワイン等):副作用(血圧上昇等)があらわれるおそれがあるため
上記を使用している方は、リネゾリドを使用する事が出来ない可能性があります。 リネゾリドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
|
サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |