成分名 |
ピペラシリンナトリウム |
適応症状 |
敗血症/急性気管支炎/肺炎/肺膿瘍/膿胸/慢性呼吸器病変の二次感染/膀胱炎/腎盂腎炎/胆嚢炎/胆管炎/バルトリン腺炎/子宮内感染/子宮付属器炎/子宮旁結合織炎/化膿性髄膜炎など |
簡易説明 |
ピペラシリンナトリウムはペニシリン系に属する抗菌薬で、細菌の細胞壁合成を阻害することで抗菌作用を表します。呼吸器・泌尿器感染症や敗血症など幅広い感染症の治療に使用されています。
日本では、富士フイルム富山化学がペントシリンの商品名で販売しており、また武田テバファーマがピペラシリンNaの商品名で販売しています。
ペニシリン系の抗生物質の効果として、細胞は細胞壁という防御壁がないと生きることができません。ピペラシリンナトリウムはペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用して、細菌の細胞壁合成を阻害して細菌を殺すことにより殺菌的に作用します。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/皮膚科/呼吸器科/循環器科/泌尿器科/消化器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
ペントシリン注射用1g 340円/瓶(薬価)
ピペラシリンNa注射用1g「テバ」1mg約338円/瓶(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1980年2月1日販売開始【ペントシリン注射用1g/2g】 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
ペントシリン注射用1g/2g【製薬メーカー:富士フイルム富山化学】
ペントシリン静注用1g/2gバッグ【製薬メーカー:富士フイルム富山化学】 |
関連製品(ジェネリック) |
ピペラシリンNa注射用1g/2g「サワイ」【沢井製薬】・「デパ」【武田デパファーマ】・「CHM」【ケミックス】
ピペラシリンNa注用1g/2g「トーワ」【東和薬品】
ピペユンシン注射用1g/2g【ケミックス】
ピペラシリンナトリウム注射用1g/2g「日医工」【日医工】
ピペラシリンナトリウム点滴静注用バッグ1g/2g「NP」【ニプロ】 |
海外での使用実績 | ・アメリカ
1981年にFDAにて医療用としてピペラシリンナトリウムが承認されました。 |
効果・作用 |
ピペラシリンナトリウムはペニシリン系の抗生物質の一つで、細菌の細胞壁合成を阻害する作用を持ち、細菌の成長・分裂・増殖を妨げる効果を持ちます。
ピペラシリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)に対して強いに抗菌活性を持ちます。
白色の粉末又は塊で、水に極めて溶けやすくて、メタノール又はエタノールに溶けやすく、アセトニトリルにほとんど溶けない特徴があります。
使用にあたっては、「厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き」を参照して、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与します。
ピペラシリンナトリウムの使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐために、原則として感受性を確認して疾病治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることが推奨されています。
◆ペニシリン系抗菌薬とは
細菌は基本的に細胞壁という防御壁がないと生きることができません。
その細胞壁を合成する際に関わっているペニシリン結合タンパク質(PBP)に対して作用をするのがペニシリン系の薬剤です。細菌のPBPで細胞壁合成を妨げ、様々な菌に抗菌作用を表します。同じペニシリン型でも種類によって、抗菌作用を発揮する範囲が異なることがあります。天然型ペニシリンや緑膿菌、アミノペニシリンなどの種類が存在しています。 |
使用方法 |
・成人には、1日2~4g(力価)を2~4回に分けて静脈内に投与しますが、筋肉内に投与もできます。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1回4g(力価)を1日4回まで増量して静脈内に投与します。
・小児には、1日50~125mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内に投与します。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1日300mg(力価)/kgまで増量して3回に分けて静脈内に投与します。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4g(力価)を超えないものとします。
▼投与する際の注意点
・点滴での静脈内投与に関しては、通常本剤で1~4g(力価)を100mLの補液に溶解します。筋肉内投与に関しては、通常本剤で1g(力価)を日局リドカイン注射液(0.5w/v%)3mLに溶解します。点滴静注に関しては、注射用水を使用しないで下さい。
・静脈内投与に関しては、日局注射用水、日局生理食塩液または日局ブドウ糖注射液に溶解してゆっくりと注射します。
▼関連する使用上の注意
・本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめてください。
・本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないため、事前に既往歴等について十分な問診を行ってください。また、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認してください。投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしてください。投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察をおこなってください。特に、投与開始直後は注意深く観察してください。
・急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがあります。定期的に検査を行ってください。
・定期的に血液検査、肝機能検査等を行うことが望ましいです。 |
副作用 |
重大な副作用
▼ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、そう痒等)(いずれも0.1%未満注)
ショック、アナフィラキシーの副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症(いずれも頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害(いずれも頻度不明)
急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼汎血球減少症(頻度不明)、無顆粒球症(0.1%未満注))、血小板減少(0.1%未満注))、溶血性貧血(頻度不明)
汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、溶血性貧血の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎の副作用があらわれることがあります。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあります。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行ってください。
▼横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行ってください。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意してください。
▼肝機能障害、黄疸(いずれも0.1%未満注)
肝機能障害、黄疸の副作用があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
その他の副作用
・発熱、発疹、そう痒
・浮腫、蕁麻疹、リンパ節腫脹
・顆粒球減少、好酸球増多
・血小板減少、貧血
・AST、ALT、Al-P、LDHの上昇
・黄疸
・悪心・嘔吐、下痢
・食欲不振、腹痛
・腎不全患者大量投与で痙攣等の神経症状
・口内炎、カンジダ症
・ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
・ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)
・頭痛、筋肉痛、しびれ
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
また、ペニシリン系抗生物質に対しての過敏症既往歴のある患者には投与しないで下さい。
■伝染性単核球症の患者
伝染性単核球症の患者はペニシリン系抗生物質の投与で発疹が出現しやすいという報告があります。投与しないでください。
■ピペラシリンナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ピペラシリンは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ピペラシリンの有効成分
ピペラシリンナトリウム
▼代表薬の添加物なし
使用に注意が必要な方 ■本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者はアレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすいため、十分な問診を行い、慎重に投与してください。
■経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者はビタミンK欠乏症状があらわれることがあります。慎重に投与してください。
■出血素因のある患者
出血素因のある患者は出血傾向を助長するおそれがあります。慎重に投与してください。
■高度の腎障害のある患者
高度の腎障害のある患者は高い血中濃度が持続することがあります。投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与してください。
■肝機能障害患者
肝機能障害患者は血中濃度が持続するおそれがあります。慎重に投与してください。
■セフェム系抗生物質に対して、過敏症の既往歴がある患者
ショックがあらわれる恐れがあります。十分な問診を行なって下さい。
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。母乳中への移行が報告されています。
■小児等
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していません。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には筋肉内投与しないでください。
■高齢者
高齢者は生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいことや、ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある為、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。
上記にあてはまる方は、ピペラシリンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。 ピペラシリンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・メトトレキサート
・抗凝血薬(ワルファリンなど)
上記を使用している方は、ピペラシリンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。 ピペラシリンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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