トスフロキサシントシル酸塩水和物

成分名

トスフロキサシントシル酸塩水和物

適応症状

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷、熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性・慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽

簡易説明

トスフロキサシントシル酸塩水和物は、皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症、婦人科領域感染症、耳鼻科領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症などの広い範囲の細菌による感染症の治療に用いられます。

細菌の増殖にはタンパク質合成が必要になります。
タンパク質合成には、遺伝情報をもつDNAという物質が不可欠となります。
DNAの複製にはいくつかの酵素の働きが必要となります。
トスフロキサシントシル酸塩水和物は、DNA複製に必要な酵素を阻害して、殺菌的に抗菌作用をあらわす薬剤になります。
※薬剤によって抗菌作用の範囲は異なります。

処方可能な診療科目

皮膚科/外科/整形外科/呼吸器科/泌尿器科/消化器内科/産婦人科/眼科/耳鼻科/歯科/口腔外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約2,500円~10,000円
薬代1錠あたりの目安(先発薬):約51.4~116.2円
薬代1錠あたりの目安(後発薬):約30.7~41.6円
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

▼オゼックス錠75
承認年月日:1990年1月23日
発売年月日:1990年7月16日

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

オゼックス錠75/150【製薬メーカー:富士フイルム富山化学】
オゼックス錠小児用60mg【製薬メーカー:富士フイルム富山化学】
トスキサシン錠75mg/150mg【製薬メーカー:マイランEPD】

関連製品(ジェネリック)

トスフロキサシントシル酸塩錠75mg/150mg(陽進堂/武田テバ薬品/サンド)

効果・作用

トスフロキサシントシル酸塩水和物は、皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症、婦人科領域感染症、耳鼻科領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症などの広い範囲の細菌による感染症の治療に用いられるニューキノロン系抗菌薬の医薬品の成分になります。

細菌の増殖にはタンパク質合成が必要になります。タンパク質合成には、遺伝情報をもつDNAという物質が不可欠となります。DNAの複製にはDNAジャイレースやトポイソメラーゼといった酵素の働きが必要となります。

細菌がDNAを合成するとき、非常に重要な働きをする酵素の1つにDNAジャイレースという酵素があります。
DNAは二重螺旋構造をしています。DNAはねじれが生じているため、そのままの状態では書かれている情報を読み取ることができません。DNAジャイレースという酵素はDNAの鎖を切断する働きがあります。
DNAの鎖が切断されると、ねじれが解消されます。それにより、DNAに書かれている情報を読み取ることが可能になります。その後、DNAを解読して複製することで、細菌がDNAを合成していきます。
DNAジャイレースの動きが阻害されると、新たなDNA合成ができないため細菌は増殖できなくなります。これにより、トスフロキサシントシル酸塩水和物は細菌に対して毒性を示します。
一方、ヒトにはDNAジャイレースが存在しないため、トスフロキサシントシル酸塩水和物は細菌への作用のような毒性を示しません。

トスフロキサシントシル酸塩水和物は、DNA複製に必要なDNAジャイレースやトポイソメラーゼIVという酵素の働きを阻害して、殺菌的に抗菌作用をあらわす薬剤になります。
※薬剤によって抗菌作用の範囲は異なります。

使用方法

通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日300~450mg(トスフロキサシンとして204~306mg)を2~3回に分割して経口投与します。

▼骨髄炎、関節炎の場合
通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日450mg(トスフロキサシンとして306mg)を3回に分割して経口投与します。

▼腸チフス、パラチフスの場合
通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を4回に分割して14日間経口投与します。
なお、腸チフス、パラチフスを除く症例においては、感染症の種類及び症状により適宜増減しますが、重症又は効果不十分と思われる症例にはトスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を経口投与します。

副作用

主な副作用
▼過敏症
発疹、光線過敏症、そう痒感、蕁麻疹、発熱
▼腎臓
クレアチニン上昇、BUN上昇、血尿
▼肝臓
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTP、ビリルビン上昇
▼消化器
胃・腹部不快感、悪心、下痢・軟便、胃・腹痛、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、便秘、口内炎、口渇、舌炎
▼血液
白血球減少、好酸球増多、血小板減少、貧血
▼精神神経系
幻覚、頭痛、めまい、しびれ、不眠、振戦
▼その他
関節痛、味覚異常、倦怠感

▼ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、発赤等)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、発赤等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼痙攣、意識障害(意識喪失等)
痙攣、意識障害(意識喪失等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症
急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼肝機能障害、黄疸
肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼無顆粒球症、血小板減少
無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあります。発熱、咽頭痛、皮下・粘膜出血等があらわれた場合には血液検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあります。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うことが必要となります。
▼間質性肺炎、好酸球性肺炎
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うことが必要となります。
▼横紋筋融解症
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあります。筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼低血糖
低血糖があらわれることがある(高齢者、腎障害患者、糖尿病患者であらわれやすい)ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼大動脈瘤、大動脈解離
大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うことが必要となります。
▼末梢神経障害
末梢神経障害があらわれることがあるので、しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼精神症状
幻覚、せん妄等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。
▼重症筋無力症の悪化
他のニューキノロン系抗菌剤で重症筋無力症の悪化が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが必要となります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■トスフロキサシントシル酸塩水和物に対し過敏症の既往歴のある患者
■妊婦または、妊娠している可能性のある婦人
妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。
ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては、炭疽、コレラに限り、治療上の有益性を考慮して投与することが必要になります。
母乳中への移行が報告されているので、授乳中の婦人に投与する場合には授乳を中止させてください。

■トスフロキサシントシル酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(オゼックス錠75/オゼックス錠小児用60mg/トスキサシン錠75mgの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼オゼックス錠75の有効成分
トスフロキサシントシル酸塩水和物
▼代表薬の添加物
・L-アスパラギン酸
・結晶セルロース
・トウモロコシデンプン
・含水二酸化ケイ素
・ヒドロキシプロピルセルロース
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・ポリオキシエチレン(105)
・ポリオキシプロピレン(5)
・グリコール
・タルク
・酸化チタン
・カルナウバロウ
▼オゼックス錠小児用60mgの有効成分
トスフロキサシントシル酸塩水和物
▼代表薬の添加物
・L-アスパラギン酸
・エリスリトール
・軽質無水ケイ酸
・クロスポビドン
・スクラロース
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・マクロゴール6000
・タルク
・酸化チタン
・三二酸化鉄
・カルナウバロウ
・その他2成分
▼トスキサシン錠75mgの有効成分
トスフロキサシントシル酸塩水和物
▼代表薬の添加物
・L-アスパラギン酸
・結晶セルロース
・トウモロコシデンプン
・含水二酸化ケイ素
・ヒドロキシプロピルセルロース
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・ポリオキシエチレン(105)
・ポリオキシプロピレン(5)
・グリコール
・タルク
・酸化チタン
・カルナウバロウ

使用に注意が必要な方
▼高度の腎障害のある患者
高い血中濃度が持続することがあります。
▼てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣を起こすことがあります。
▼重症筋無力症の患者
類薬で症状を悪化させるとの報告があります。
▼大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者
海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。
▼高齢者
トスフロキサシントシル酸塩水和物は主に腎臓から排泄されます。
高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるため、用量並びに投与間隔に留意し、慎重に投与することが必要になります。
腱障害があらわれやすいとの報告があります。
▼小児等への投与
低出生体重児、新生児及び乳児に対する安全性は確立していません。

上記にあてはまる方は、トスフロキサシントシル酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
トスフロキサシントシル酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼テオフィリン、アミノフィリン水和物
テオフィリンの中毒症状(消化器障害、頭痛、不整脈、痙攣等)があらわれるおそれがある。観察を十分に行い、血中濃度モニタリングを行うなど注意することが必要となります
▼フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
痙攣があらわれることがあります。
観察を十分に行い、症状があらわれた場合には両剤の投与を中止し、気道確保と抗痙攣薬の使用など痙攣に対する治療を実施することが必要となります。
▼アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤、鉄剤、カルシウム含有製剤
本剤の効果が減弱されるおそれがあります。同時投与を避けるなど注意することが必要となります。
▼副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告があります。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすることが必要となります。

上記を使用している方は、トスフロキサシントシル酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
トスフロキサシントシル酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
処方されたトスフロキサシントシル酸塩水和物を含む医薬品を飲み忘れてしまい余ってしまいました。

薬が残った場合、保管しないで廃棄してください。

トスフロキサシントシル酸塩水和物を含む医薬品の使用中に気をつけなければならないことを教えてください。

使用中は、授乳を中止してください。また、他の医師を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を飲んでいることを医師または薬剤師に伝えてください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。