成分名 |
ダプトマイシン |
適応症状 |
抗生物質に耐性を持っている菌の内でも特にMRSAによって引き起こされる症状に対応しています。例えば敗血症などがこれにあたるが、薬剤を使う内に菌が耐性を持ち、効かなくなる危険がある。 |
簡易説明 |
他の抗菌薬と比べ、ダプトマイシンは「細胞膜に作用する」という特殊な性質を持っています。この特徴から、特にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を発症した患者に他の抗生物質が無効な場合でも、ダプトマイシンが効く事があります。
ダプトマイシンは、細菌の中でもグラム陽性菌(黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、腸球菌など)に対して使用されています。
ただ、抗菌薬を使うと必ず耐性菌が現れます。ダプトマイシンに対しても耐性菌の出現を防ぐため、必要な場合にのみ適切に使用する事が大事です。
日本では2011年よりMSD(旧万有製薬)がキュビシン静注用350㎎という名前で販売されています。 |
処方可能な診療科目 |
感染症内科/救急科 など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約1,371円~4,113円
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2011年9月に発売を開始 |
国内のジェネリック認可 |
- |
関連製品(先発薬) |
キュビシン静注用 |
関連製品(ジェネリック) |
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効果・作用 |
感染症を治療するためには、原因となっている細菌を殺す必要があります。
抗生物質には、細菌に毒性を持つがヒトに大きな毒にならない性質があり、高齢者や乳幼児、糖尿病患者のように免疫力が低下している場合、感染症から立ち直るために特に重要な働きをします。
ダプトマイシンは抗生物質の1種として、細菌の細胞膜と結合し、イオンが通過するための穴が作られる事で知られています。すると、細胞内に存在していたK+が細胞の外へと流出して、結果、細菌は死滅していきます。
ダプトマイシンは、細菌の中でもMRSAに有効な抗生物質とされています。 |
新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して | ダプトマイシンは肺サーファクタントに結合して不活性化されるため、肺炎治療に対しては効果がありません。
長期投与する場合、肺の好酸球浸潤を伴う可逆的な器質化肺炎を引き起こす事があります。 |
使用方法 |
通常の成人に対する1日の用量について
①ダプトマイシンは主に腎臓から出されるため、血液透析や連続携行式腹膜透析(CAPD)の受診者を含む腎機能障害がある者では、疾病とクレアチニンクリアランス値を目安に投与間隔を次のように調節する。
敗血症と感染性心内膜炎の患者について
1)CrCl値が30mL/分以上の場合
→1回6mg/kgの用量で24時間ごとに行う。
2)CrCl値が30mL/分より少ない(血液透析またはCAPDを受けている患者を含む)場合
→1回6mg/kgの用量で48時間ごと(可能ならば、血液透析日には血液透析後にダプトマイシンを投与する。週3回でも可。)に行う。
深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染の患者について
3)CrCl値が30mL/分以上の場合
→1回4mg/kgの用量で24時間ごとに行う。
4)CrCl値が30mL/分より少ない(血液透析又はCAPDを受けている患者を含む)場合
→1回4mg/kgの用量で48時間ごと(可能ならば、血液透析日には血液透析後にダプトマイシンを投与する。週3回でも可。)に行う。
②ダプトマイシンは、1日につき2回以上使用しない。
③グラム陰性菌等を含む混合感染と診断された場合、または混合感染が疑われる場合
→適切な薬剤と併用治療する(ダプトマイシンはグラム陽性菌に対してのみ効果がある)。
・使用中に耐性菌が出ないよう、以下に注意。
・治療は充分な知識と経験がある医師またはその指導のもとで行う。
・投与期間は、適切な時期にダプトマイシンの継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要最小限の期間にとどめる。
・投与中にCKの上昇傾向がよく見られるため、以下について注意。
・投与期間中に週1回はCK値を定期的に計測。
・原因不明のCK上昇があった患者では、更に頻回にCK値を計測。
・ダプトマイシンの投与を中止するタイミングについて
→CK値に注力し、1,000U/L(基準値上限の約5倍)を超え、原因不明のミオパシーの兆し又は症状があった患者には止める。
→たとえ症状がなくともCK値が2,000U/L(基準値上限の約10倍)を超え明確に増えていく場合も止める。
・ショックやアナフィラキシーを確実に予知する方法はないため、次の点に注意する。
・既往歴等、あらかじめ充分に問診する(抗生物質等のアレルギー歴は必ず確認)。
・投与前には絶対ショック等へ救急処置を準備。
・点滴静注の場合、投与の始めから終わりまで、また、静脈内注射の場合は投与が終わった後もしばらく、患者を安静の状態に保たせて、十分な観察を行う。特に投与を始めたすぐは注意深く観察。 |
副作用 |
主な副作用
CD菌による偽膜性大腸炎、腎臓の機能が7割以上低下する腎不全、末梢神経が破壊される末梢性ニューロパチー、アレルギー性の好酸球性肺炎、筋肉が破壊される横紋筋融解症(スタチンとの併用時にリスク大)、重めの薬疹が出る急性汎発性発疹性膿疱症、アナフィラキシーやショックなどがある。
CPKが上昇傾向なので、測定頻度高めを推奨。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 スタチンを併用している者
上記にあてはまる方は、ダプトマイシンを使用する事が出来ない可能性があります。 ダプトマイシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
・ダプトマイシンはチトクローム P450があると代謝されない。
・ダプトマイシン投与中にミオパシー(筋原性疾患)に関係する薬剤は避ける。
・ダプトマイシンは主として腎臓ろ過により排泄されるため、腎臓ろ過を阻害する薬剤(NSAIDS、COX-2阻害剤など)を併用すると血中濃度が上がる可能性がある。
・ブドウ糖を含む希釈液と配合不適である。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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