ドルテグラビルナトリウム

成分名

ドルテグラビルナトリウム

適応症状

HIV感染症

簡易説明

ドルテグラビルナトリウムは通常、HIV感染症の治療に用いられる医薬品の成分になります。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は体内のリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こします。
HIVは宿主細胞(ウイルスまたは外来DNA分子が自己増殖のために利用する細胞)に自身の遺伝子を組み込むことで感染を成立させます。この組み込み反応にはインテグラーゼ(組込み酵素)が必要となります。
ドルテグラビルナトリウムはHIVのインテグラーゼを阻害して、抗ウイルス作用を示します。
他の抗HIV薬と併用する多剤併用療法(ART)に用いられます。

処方可能な診療科目

性感染症内科/性病科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約20,000円
薬代1錠あたりの目安(先発薬):3219.6円
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

承認年月日:2014年3月24日
販売年月日:2014年4月17日

国内のジェネリック認可

該当記載無し

関連製品(先発薬)

テビケイ錠50mg【製薬メーカー:ヴィーブヘルスケア】

関連製品(ジェネリック)

該当記載無し

効果・作用

ドルテグラビルナトリウムは通常、HIV感染症の治療に用いられる医薬品の成分になります。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は体内の免疫系の中心のリンパ球(主にCD4というリンパ球)や、マクロファージ(体内に侵入した細菌を消化・殺菌する細胞)に感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こします。
HIV感染症の治療は、抗HIV薬を複数の成分(複数の医薬品)を併用する強力な多剤併用療法(ART)を行うことが一般的です。
ARTは、「キードラッグ(HIVを抑制する効果がより強力な薬)」と「バックボーン(キードラッグの効果を補いウイルスを抑制する効果を高める薬)」を組み合わせて実施します。
近年では、「キードラッグ」を2剤(2成分)組み合わせて行う方法なども治療の選択肢となっています。
抗HIV薬はその作用機序により、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害薬I(NNRT)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)などに分かれます。
ドルテグラビルナトリウムは、インテグラーゼ阻害薬に分類され、多剤併用療法(ART)に用いられます。

HIVは宿主細胞に吸着して細胞内に侵入します。HIVは自身のRNA遺伝子を脱穀後にDNAに変換(逆転写反応)します。宿主の染色体に自身のRNA遺伝子を組み込むことで感染を成立させます。この組み込み反応に必要な酵素の一つがインテグラーゼという酵素になります。

ドルテグラビルナトリウムは、インテグラーゼを阻害することで、HIVの遺伝子を宿主染色体に組み込む反応を阻害して、感染の成立を防ぐ作用をあらわします。この作用によりウイルスを新たに産生させないため、感染拡大が阻止されます。

使用方法

通常、成人には以下の用法・用量で経口投与します。
ドルテグラビルナトリウムは、食事の有無にかかわらず投与できます。投与の際は、必ず他の抗HIV薬と併用する必要があります。
▼未治療患者、インテグラーゼ阻害薬以外の抗HIV薬による治療経験のある患者
ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与します。

▼インテグラーゼ阻害薬に対する耐性を有する患者
ドルテグラビルとして50mgを1日2回経口投与します。
なお、12歳以上および、体重40kg以上の未治療、インテグラーゼ阻害薬以外の抗HIV薬による治療経験がある小児患者に対しては、ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与できます。

副作用

主な副作用
ドルテグラビルナトリウムには、副作用が起こる可能性があります。
ドルテグラビルナトリウムを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

▼免疫系
免疫再構築炎症反応症候群

▼精神・神経系
頭痛、不眠症、めまい、異常な夢、うつ病、不安自殺念慮、自殺企図

▼消化器
悪心、下痢、嘔吐上腹部痛、鼓腸腹部不快感、腹痛

▼肝臓
肝炎

▼皮膚
発疹、そう痒

▼全身症状
疲労

▼筋骨格
関節痛、筋肉痛

▼臨床検査
ビリルビン上昇、クレアチニン上昇、体重増加 CK上昇

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意ください。

▼薬剤性過敏症症候群
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあります。
なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意が必要となります。

▼肝機能障害、黄疸
AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあります。

重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ドルテグラビルナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(テビケイ錠50mgの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼テビケイ錠50mgの有効成分
ドルテグラビルナトリウム
▼代表薬の添加物
・D-マンニトール
・結晶セルロース
・ポビドン
・デンプングリコール酸ナトリウム
・フマル酸ステアリ
・ルナトリウム
・ポリビニルアルコール(部分けん化物)
・酸化チタン
・マクロゴール4000
・タルク
・黄色三二酸化鉄

▼ドルテグラビルナトリウムの成分に対し過敏症の既往歴のある患者

使用に注意が必要な方
▼合併症・既往歴等のある患者、B型又はC型肝炎ウイルス感染患者
肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇又は増悪)のおそれがあります。
臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった結果があります。

▼妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する必要があります。
海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児3591例中7例に報告されています。ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児19361例中21例、HIV陰性の妊婦から生まれた児119630例中87例に報告されています。
ラットによる動物試験では胎盤移行が認められています。

▼授乳婦
授乳を避けさせる必要があります。
一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでないです。
ラットにおいてドルテグラビルは乳汁中に移行することが報告されており、ヒトにおいても乳汁中に移行することが予想されます。

▼小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満又は体重40kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していません。

▼高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与する必要があります。
一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多いので注意が必要となります。

上記にあてはまる方は、ドルテグラビルナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ドルテグラビルナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼ピルシカイニド塩酸塩水和物
ピルシカイニドの血漿中濃度を増加させる可能性があります。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがあるので、併用中は注意深く観察が必要となります。

▼エトラビリン
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで52%、Cτで88%低下させたとの報告があります。

▼エファビレンツ
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで39%、Cτで75%低下させたとの報告があります。

▼ネビラピン
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度を低下させる可能性があります。

▼ホスアンプレナビルカルシウム水和物+リトナビル
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで24%、Cτで49%低下させたとの報告があるため、INSTIに対する耐性を有する患者では、ドルテグラビルナトリウムと併用してはいけません。

▼カルバマゼピン
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで33%、Cτで73%低下させたとの報告があります。

▼フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度を低下させる可能性があります。

▼リファンピシン
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで43%、Cτで72%低下させたとの報告があります。

▼多価カチオン(Mg,Al等)含有製剤
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで72%、C24で74%低下させます。ドルテグラビルナトリウムは多価カチオン含有制酸剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。

▼鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等)
ドルテグラビルナトリウムの血漿中濃度をCmaxで35%、C24で32%低下させます。食事と同時に摂取する場合を除き、ドルテグラビルナトリウムは鉄剤、カルシウム含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨されます。

▼メトホルミン塩酸塩
メトホルミンの血漿中濃度をドルテグラビル50mg1日1回投与時及び1日2回投与時にCmaxでそれぞれ66%及び111%上昇させます。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重な投与が必要となります。

上記を使用している方は、ドルテグラビルナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ドルテグラビルナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
該当記載事項なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
HIVはどこから感染するのですか?

HIVの感染源は、精液、膣分泌液、血液、母乳などです。
主な感染経路として、「性行為による感染」「血液を介した感染」「母子感染」の3つになります。
「性行為による感染」は現在最も多い感染経路になります。
HIVを含む精液、膣分泌液、血液などが性行為によって相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口から体内に入り感染します。
「血液を介した感染」は、覚醒剤の静脈注射の回し打ちなどの注射器具の共有によって感染します。
極めてまれですが、輸血用血液からの感染の可能性を100%排除はされていません。
「母子感染」は、HIVに感染している母親が、妊娠中や出産時に子供にHIVが感染する可能性があります。
日本ではあらかじめ母親にHIVに対する薬を服用し、母乳を与えないなどの対策をとることで、子供へのHIV感染を約0.4%以下まで抑えることができています。

HIVのワクチンはありますか?

現時点では、HIVのワクチンはありません。
予防接種をすることでHIVから身を守るということはできません。HIVは年月が経つと、表面の構造が変化する性質を有しています。この性質が、誰にでも効くワクチンの生産を非常に困難にしています。研究者たちがHIVワクチンの開発に取り組んでいますが、成功するのにはまだ時間がかかると考えられています。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。