ピンドロール

成分名

ピンドロール

適応症状

本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、洞性頻脈

簡易説明

ピンドロールはβ受容体遮断作用を有する高血圧・狭心症・頻脈治療剤です。特徴としてはβ1受容体非選択性である事、内因性の交感神経刺激作用を持つ事が挙げられます。β1受容体非選択性であることは気管支などに存在するβ2受容体も遮断する恐れがある為、喘息等の症状を誘発・悪化させる可能性があります。また内因性の交感神経刺激作用を有する事で、心臓の機能低下を防いだり、手足の冷え等の副作用が軽減されます。ピンドロールは交感神経の過剰な興奮を抑制しますが、過度の抑制は生じません。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/心臓内科/泌尿器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:5mg約12円
薬代後発薬1錠の目安:5mg約6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1972年8月26日製造販売承認(旧販売名:カルビスケン錠)
2003年12月26日製造販売承認(販売名変更による)
1972年11月1日薬価基準収載
1973年1月22日発売

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

カルビスケン錠5mg【製薬メーカー:アルフレッサファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ピンドロール錠5mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ピンドロール錠5mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
ピンドロール錠5mg「ツルハラ」【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】

海外での使用実績

アメリカ:2010年8月発売
(販売名):pindolol tablet,USP
(会社名):Mylan Pharmaceuticals Inc. ,Nostrum Laboratories, Inc. 等

イギリス:2013年12月発売
(販売名):Visken Tablets 5mg
(会社名):Amdipharm Mercury Company Limited

効果・作用

ピンドロールは軽症から中等症の本態性高血圧症、狭心症、洞性頻脈にたいして効果のある医薬品になります。β遮断作用を有する医薬品です。局所麻酔作用が弱く適度のISAを有し、交感神経の過剰な興奮を抑制しますが過度の抑制は生じません。

その作用機序は、交感神経β受容体遮断作用と内因性交感神経刺激作用にあります。前者では、交感神経β受容体を遮断する事によって心拍数増加、心収縮力増強、心筋酸素消費量増加を抑制します。その詳しい作用機序については促進性GTP結合タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼの活性化に促進性に共役しています。活性化されたアデニル酸シクラーゼはサイクリックAMPを生産し、生産されたcAMPはcAMP依存性タンパク質リン酸化酵素を活性化して細胞機能を調節します。
後者では、ISA+の薬剤は交感神経が興奮しているときはβ受容体抑制に働き、交感神経が興奮していないときには、β受容体をわずかに刺激すると言った作用があります。これにより安静時における心拍数に与える影響が少なく、徐脈が発生しにくいと言ったメリットがあります。この作用があることにより徐脈患者や高齢者に対して使いやすい医薬品であると言えます。また血管にあるβ2受容体を程よく刺激する事で血管収縮が起こらず、血行が悪化しにくい。その為四肢冷却と言った副作用が少ない特徴があります。

使用方法

本剤は適応症によって使用方法が異なる為注意されたい。

1)まず、軽症から中等症おにおける本態性高血圧症における用法になりますが、通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回経口投与する事とされております。なお、患者の年齢や症状に応じて適宜増減する事が可能です。

2)続いて狭心症における用法になりますが、通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回経口投与する事とされております。しかし効果が不十分な場合については1日量として30mgまで増量する事とされております。なお、患者の年齢や症状に応じて適宜増減する事が可能です。

3)最後に洞性頻脈における用法になります。通常成人にはピンドロールとして1回1~5mgを1日3回経口投与する事とされております。なお、患者の年齢や症状に応じて適宜増減する事ができます。

使用上の注意として、褐色細胞腫の患者においては、本剤の単剤投与によって急激に血圧が上昇する事がある為、α受容体遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα受容体遮断剤と併用する事とされております。

副作用

重大な副作用
1)心不全の誘発・悪化・心胸比増大(1%未満)
2)喘息症状の誘発・悪化(0.1%未満)

その他の副作用
過敏症、循環器、精神神経系、消化器、肝臓、眼、その他の副作用が挙げられます。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
発疹(0.1~1%未満)
2)循環器
低血圧(頻度不明)
動悸、胸痛、浮腫(0.1~1%未満)
徐脈(0.1%未満)
3)精神神経系
精神症状(抑うつ、幻覚)、悪夢(頻度不明)
眩暈、フラツキ、頭痛、不眠、脳貧血様症状、眠気(0.1~1%未満)
振戦、多汗(0.1%未満)
4)消化器
口渇(頻度不明)
悪心・嘔吐、下痢、心窩部不快感(0.1~1%未満)
腹痛、食欲不振(0.1%未満)
5)肝臓
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇(頻度不明)
6)眼
涙液分泌減少、霧視(頻度不明)
7)その他
CK(CPK)、LDH、血清尿酸値の上昇(頻度不明)
脱力感、倦怠感、手足の痺れ感(0.1~1%未満)
熱感、腓腸筋痙直(こむら返り)、その他の筋肉痛(0.1%未満)

頻度不明であっても血液検査の結果など目に見える値として異常が認められた場合は速やかに投与を中止し、適切な処置を行うようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分及び他のβ遮断剤に対して過敏症の既往歴のある患者
■ピンドロールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、カルビスケン錠5mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼カルビスケン錠5mgの有効成分
ピンドロール
▼代表薬の添加物
・結晶セルロース、ポビドン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、D-マンニトール

2)気管支喘息、気管支痙攣の恐れのある患者
β2受容体遮断作用により喘息の症状を誘発・悪化させる恐れがある為服用できません。
3)糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者
心筋収縮力抑制を増強する恐れがある為服用できません。
4)高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者
心刺激伝導系を抑制する事により、症状を悪化させるおそれがある為服用できません。
5)心原性ショック、肺高血圧症による右心不全、うっ血性心不全の患者
心筋収縮力を抑制する事により、症状を悪化させるおそれがある為服用できません。
6)異型狭心症の患者
7)低血圧症の患者
8)重度の末梢循環障害(壊疽等)のある患者
6~8はいづれも場合も書状を悪化させる恐れがある為服用できません。
9)未治療の褐色細胞腫の患者
10)チオリダジンを投与中の患者
不整脈、QT延長等が現れる事がある為服用できません。
11)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人

使用に注意が必要な方
1)うっ血性心不全の恐れのある患者
心筋収縮力を抑制する事により、症状を誘発するおそれがある為使用には注意が必要です。
2)低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者
低血糖症状を起こしやすく、かつ低血糖の前駆症状である頻脈等の症状をマスクしやすい為使用には注意が必要です。
3)重篤な肝・腎障害のある患者
代謝又は排泄が遅延する恐れがある為使用には注意が必要です。
4)徐脈、房室ブロック(Ⅰ度)のある患者
心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある為使用には注意が必要です。
5)甲状腺中毒症の患者
例えば頻脈等のような中毒症状をマスクする恐れがある為使用には注意が必要です。
6)末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)のある患者
書上を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
7)高齢者
過度の降圧は脳梗塞等が起こる恐れがある為使用には注意が必要です。
8)小児等

上記にあてはまる方は、ピンドロールを使用する事が出来ない可能性があります。
ピンドロールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤:レセルピン等
併用により過剰の交感神経抑制を来し、徐脈、血圧低下等が現る恐れがある為併用には注意が必要です。
2)レセルピン
レセルピンによりカテコラミンが枯渇した状態では、ピンドロールの内因性交感神経刺激作用が顕在化し、頻脈の増加等が現れる事がある為併用には注意が必要です。
3)血糖降下剤:インスリン、グリベンクラミド等
併用により血糖降下作用を増強する事がある為併用には注意が必要です。
4)カルシウム拮抗剤:ベラパミル、ジルチアゼム等
併用により過度の降圧又は心機能抑制が現れる事がある為併用には注意が必要です。
5)クロニジン
クロニジンの投与中止後に起こる血圧症状等のリバウンド現象を増強する恐れがある為使用には注意が必要です。
6)ClassⅠ抗不整脈剤:(ジソピラミド、プロカインアミド、アジマリン等)、アミオダロン
併用により過度の心機能抑制が現れる事がある為併用には注意が必要です。
7)麻酔剤:エーテル等
併用により過剰の交感神経の抑制を起こす恐れがある為併用には注意が必要です。
8)ジギタリス製剤
ともに刺激伝導速度の抑制作用を有する為、房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が現れる恐れがある為併用には注意が必要です。
9)非ステロイド性抗炎症剤:インドメタシン等
ピンドロールの降圧作用が減弱する事がある為併用には注意が必要です。
10)降圧作用を有する他の薬剤:ニトログリセリン等
併用により過度の降圧を来す恐れがある為併用には注意が必要です。
11)交感神経刺激剤:アドレナリン等
本剤のβ遮断作用により交感神経刺激剤のα刺激作用が優位となり、昇圧反応を引き起こすことがある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ピンドロールを使用する事が出来ない可能性があります。
ピンドロールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
1)チオリダジン(メレリル)
ピンドロールはチオリダジンの肝における酸化的な代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる事から、不整脈、QT延長等が現れる事がある為併用できません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
くすりを飲み始めてどのぐらいで効果が現れますか?

服用後の最高血中濃度は1.3時間位と報告されております。作用発現時間は45分から1時間位との事で比較的早く効果が見られます。
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食事の影響は受けますか?

ピンドロールは食事の影響は受けません。食前でも食後でもよいので主治医の指示に従って服用継続するようにしましょう。
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飲み忘れたときはどうしたらよいか?

飲み忘れに気づいた時点で直ちに服用してください。但し次の服用時間が近いときは飲まずに飛ばして次回分より開始するようにしましょう。
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車の運転はしても問題ありませんか?

めまい・フラツキ等の副作用が出る恐れがあります。自動車の運転等危険を伴う機械の作用はしないようにして下さい。
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