ワルファリンカリウム

成分名

ワルファリンカリウム

適応症状

血栓塞栓症・静脈血栓症・心筋梗塞・脳血栓症・脳塞栓症・肺塞栓症の治療および予防

簡易説明

血管内で血栓が作られる過程を阻害する薬です。
血栓生成時にビタミンKを必要とする凝固因子に対して、ビタミンKを阻害する働きがあります。
強力な抗凝固作用を持ち、血液をサラサラにします。出血しやすかったり食品などに制約が多いですが、使用実績も多く、長年使用されてきているので、安価で安心して使用できる薬になっています。

処方可能な診療科目

内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
・ワルファリンK錠0.5mg「NP」/9.8円(ニプロ)
・ワルファリンK錠1mg「NP」/9.8円(ニプロ)
・ワルファリンK錠2mg「NP」/9.8円(ニプロ)
・ワルファリンK錠1mg「F」/9.8円(富士製薬工業)
・ワルファリンK錠0.5mg「トーワ」/9.8円(東和薬品)
・ワルファリンK錠1mg「トーワ」/9.8円(東和薬品)
・ワルファリンK錠0.5mg「テバ」/9.8円(武田テバファーマ)
・ワルファリンK錠1mg「テバ」/9.8円(武田テバファーマ)
・ワルファリンK錠1mg「日新」/9.8円(日新製薬-山形)
・ワーファリン錠0.5mg/9.8円(エーザイ)
・ワーファリン錠1mg/9.8円(エーザイ)
・ワーファリン錠5mg10.1円(エーザイ)
・ワーファリン顆粒0.2%/6.8円(エーザイ)
・ワルファリンK細粒0.2%「NS」/7円(日新製薬-山形)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2000年2月発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ワルファリンK錠0.5mg「NP」(ニプロ)
ワルファリンK錠1mg「NP」(ニプロ)
ワルファリンK錠2mg「NP」(ニプロ)
ワルファリンK錠1mg「F」(富士製薬工業)
ワルファリンK錠0.5mg「トーワ」(東和薬品)
ワルファリンK錠1mg「トーワ」(東和薬品)
ワルファリンK錠0.5mg「テバ」(武田テバファーマ)
ワルファリンK錠1mg「テバ」(武田テバファーマ)
ワルファリンK錠1mg「日新」(日新製薬-山形)
ワーファリン錠0.5mg(エーザイ)
ワーファリン錠1mg(エーザイ)
ワーファリン錠5mg(エーザイ)
ワーファリン顆粒0.2%(エーザイ)

関連製品(ジェネリック)

ワルファリンK細粒0.2%「NS」(日新製薬-山形)
ワーフ5mg(Cipla)
ワーフ2mg(Cipla)

海外での使用実績

1920年代に、北アメリカでウシが内出血を起こし、止血出来ず死亡する病気が発生しました。
1921年にカナダの獣医病理学者フランク・スコフィールドが、その原因が腐敗したスイートクローバーを餌として与えた事が原因と突き止め、1929年にはノースダコタの獣医L.M.ロデリック博士が、トロンビン不足によって病気が発生することを突き止めました。
しかし腐敗したスイートクローバーが、なぜこの病気を引き起こしたのかは1940年まで謎でした。
1933年にウィスコンシン大学マディソン校のカール・パウル・リンクの研究室で、その原因と目される物質が単離されました。
これがクマリンが腐敗によって変化したジクマロールであり、病気の原因物質がこれであることが確定したのは、1940年のことでした。
1941年に、齧歯類の駆除剤として市販されたジクマロールより、その効果を高めるため1948年に改良されたものになります。
1951年、アメリカ陸軍でワルファリンを服用して自殺を試みた者が、ビタミンKの投与で一命を取り留める事件が発生しました。
この一件で毒物としてだけでなく、抗凝固剤として病気の治療にも使えることが分かり、1954年に治療用の医薬品として承認されました。
この処方が行われた著名人として、1955年に心臓発作を起こした、アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが挙げられます。
抗凝固剤としての作用機序が解明されたのは、1978年の事でした。

効果・作用

血管の中で血の塊ができ、それが脳に起こると脳梗塞、心臓に起こると心筋梗塞というように、血液の流れを圧迫してしまいます。
血の塊は血栓と呼ばれます。
血栓の生成を防ぐために抗凝固剤という分類の薬が使われます。
いわゆる、血液をサラサラにする薬です。
血液を固まりにくくすることによって血栓ができるのを防ぐ効果があります。
そして長年使用されてきているのが本剤になります。
たとえば外傷によって出血した場合、血液を固めて出血を止める必要があるため、凝固因子と呼ばれる物質が複雑に絡み合って止血できる仕組みになっています。
ただし、この働きが体内で起きると血栓となってしまうため、本剤が血液凝固系に働きかけ、血管内における血液凝固の過程を抑制します。これによって血栓が作られるのを防いでいます。
血栓を作るためにビタミンKを必要とする凝固因子がいくつか存在しますが、本剤はビタミンKを阻害し、これらの因子が凝固作用を起こせないようにしています。
本剤は強力な抗凝固作用を示します。
逆に言えば出血リスクが高いということです。出血の部位によっては命にかかわります。
そのため、定期的な血液検査や用量の調整を細かく行っていきます。
併用注意薬も多かったり組み合わせの必要な食品などの制約も多いですが、使用実績も豊富であり、安価で安全に使用できる薬です。

使用方法

血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤です。
初回投与量を1日1回経口投与した後、数日間かけて血液凝固能検査で目標治療域に入るように用量調節し、維持投与量を決定します。
ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるため、定期的に血液凝固能検査を行い、維持投与量を必要に応じて調節することとされています。
抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリン等の併用を考慮します。
成人における初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、通常1〜5mg1日1回です。
12か月未満の小児には0.16mg/kg/日、1歳以上15歳未満の方には0.04〜0.10mg/kg/日となっています。

副作用

主な副作用
過敏症・発疹・そう痒症・紅斑・蕁麻疹・皮膚炎・発熱・悪心・嘔吐・下痢・脱毛

重大な副作用
出血・脳出血・臓器内出血・粘膜出血・皮下出血・皮膚壊死・微小血栓・カルシフィラキシス・有痛性紫斑・有痛性皮膚潰瘍・皮下脂肪組織の小~中動脈の石灰化・真皮の小~中動脈の石灰化・敗血症・肝機能障害・黄疸・AST上昇・ALT上昇・Al-P上昇

その他の副作用
抗甲状腺作用

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ワルファリンカリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ワルファリンK錠1mg「F」はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ワルファリンK錠1mg「F」の有効成分
日局ワルファリンカリウム1mg
▼ワルファリンK錠1mg「F」の添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ポビドン、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク

■他に使用できない方
・出血している方、出血する可能性のある方
・重篤な肝障害、腎障害の方
・中枢神経系の手術または外傷後日の浅い方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・妊婦または妊娠している可能性のある女性
・骨粗鬆症治療用ビタミンK2 (メナテトレノン)製剤を投与中の方
・イグラチモドを投与中の方
・ミコナゾール(ゲル剤、注射剤、錠剤)を投与中の方

使用に注意が必要な方
・肝炎、下痢、脂肪の吸収不全、慢性アルコール中毒、うっ血性心不全、敗血症、遷延性低血圧症などのある方および新生児のビタミンK欠乏時等
・ビタミンK摂取時等
・悪性腫瘍のある方
・産褥婦
・甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下が認められる方
・新生児

上記にあてはまる方は、ワルファリンカリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ワルファリンカリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・カペシタビン
・骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤
・メナテトレノン(骨粗鬆症治療用)
・イグラチモド
・ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)
・抱水クロラール
・トリクロホスナトリウム
・エトトイン
・バルプロ酸
・アセトアミノフェン
・塩酸トラマドール
・セレコキシブ
・ブコローム
・メロキシカム
・ロルノキシカム
・アスピリン
・イブプロフェン
・インドメタシン製剤
・インドメタシンファルネシル
・エトドラク
・ケトプロフェン
・サリチル酸製剤
・ジクロフェナク
・スリンダク
・ナブメトン
・ナプロキセン
・ピロキシカム
・フルルビプロフェン
・メフェナム酸
・モフェゾラク
・ロキソプロフェン
・メチルフェニデート
・三環系抗うつ剤
・アミトリプチリン塩酸塩
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤
・塩酸パロキセチン水和物
・フルボキサミンマレイン酸塩
・セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
・デュロキセチン塩酸塩
・アミオダロン塩酸塩
・塩酸プロパフェノン
・キニジン硫酸塩水和物
・シンバスタチン
・フルバスタチンナトリウム
・ロスバスタチンナトリウム
・フィブラート系の高脂血症治療薬
・クリノフィブラート
・クロフィブラート
・ベザフィブラート
・デキストラン硫酸ナトリウム
・オメプラゾール
・シメチジン
・抗甲状腺剤
・チアマゾール
・グルカゴン
・蛋白同化ステロイド
・ナンドロロンデカン酸エステル
・ダナゾール
・男性ホルモン
・メチルテストステロン
・トリベノシド製剤
・トリベノシド・リドカイン
・アロプリノール
・プロベネシド
・ベンズブロマロン
・プロナーゼ
・ブロメライン
・スルホニルウレア系製剤
・グリベンクラミド
・グリメピリド
・クロルプロパミド
・トルブタミド
・レフルノミド
・アザチオプリン
・メルカプトプリン
・クエン酸タモキシフェン
・クエン酸トレミフェン
・ゲフィチニブ
・フルタミド
・フルオロウラシル系薬剤
・フルオロウラシル
・テガフール製剤
・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
・メシル酸イマチニブ
・トラニラスト
・アミノグリコシド系抗生物質
・クロラムフェニコール系抗生物質製剤
・セフェム系抗生物質製剤
・テトラサイクリン系抗生物質
・ペニシリン系抗生物質
・エリスロマイシン
・クラリスロマイシン
・ロキシスロマイシン
・マクロライド系抗生物質
・アジスロマイシン
・テリスロマイシン
・アミノサリチル酸製剤
・パラアミノサリチル酸カルシウム水和物
・イソニアジド
・ナリジクス酸
・キノロン系抗菌剤
・オフロキサシン
・シプロフロキサシン
・ノルフロキサシン
・レボフロキサシン
・サルファ剤
・サルファ剤配合剤
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
・サラゾスルファピリジン
・アゾール系抗真菌剤(ミコナゾールゲル剤・注射剤・錠剤以外)
・イトラコナゾール
・フルコナゾール
・ホスフルコナゾール
・ボリコナゾール
・ミコナゾール硝酸塩(膣坐剤・クリーム剤)
・サキナビル
・サキナビルメシル塩酸
・デラビルジンメシル塩酸
・ホスアンプレナビルカルシウム水和物
・硫酸アタザナビル
・塩酸キニーネ
・メトロニダゾール
・インターフェロン
・ジスルフィラム
・イプリフラボン
・バルビツール酸誘導体
・チオバルビツール酸系薬剤
・フェノバルビタール
・カルバマゼピン
・プリミドン
・トラゾドン
・コレスチラミン
・アプレピタント
・ホスアプレピタントメグルミン
・ビタミンK含有製剤(骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外)
・フィトナジオン
・ビタミンK1
・メナテトレノン(骨粗鬆症治療用以外)
・ビタミンK2(骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外)
・ビタミンK含有経腸栄養剤
・ビタミンK含有高カロリー輸液用総合ビタミン剤
・リファンピシン類
・グリセオフルビン
・ボセンタン
・納豆菌含有製剤
・フェニトイン
・ホスフェニトインナトリウム水和物
・副腎皮質ホルモン剤
・プレドニゾロン
・エタノール摂取
・甲状腺ホルモン剤
・レボチロキシン
・血液凝固阻止剤
・ヘパリンナトリウム
・ヘパリンカルシウム
・低分子ヘパリン
・ダルテパリンナトリウム
・ヘパリノイド
・ダナパロイドナトリウム
・10a阻害剤
・フォンダパリヌクス
・エドキサバントシル酸塩水和物
・リバーロキサバン
・アピキサバン
・抗トロンビン剤
・アルガトロバン
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
・血小板凝集抑制作用を有する薬剤
・イコサペント酸エチル
・オザグレルナトリウム
・硫酸クロピドグレル
・サルポグレラート
・シロスタゾール
・チカグレロル
・チクロピジン塩酸塩
・プラスグレル塩酸塩
・ベラプロストナトリウム
・リマプロストアルファデクス
・血栓溶解剤
・ウロキナーゼ
・アルテプラーゼ
・モンテプラーゼ
・アンチトロンビン製剤
・乾燥濃縮人活性化プロテインC
・トロンボモデュリン アルファ
・バトロキソビン
・塩酸オザグレル
・オーラノフィン
・エルロチニブ塩酸塩
・ネビラピン
・リトナビル
・ロピナビル・リトナビル配合剤

併用注意飲食物
・クロレラ食品
・セイヨウオトギリソウ含有品
・青汁
・納豆
・アルコール含有品
・ビタミンK含有品(緑茶、紅茶、海苔、わかめなど)"

上記を使用している方は、ワルファリンカリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ワルファリンカリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
適正服用量が決定すれば、維持していていいのでしょうか?

薬の効き具合は、体質や食事内容、脱水症状の状態や併用している薬によって大きく変わってきます。水分が取れていない、新たな薬と併用するなどが起こるときは、薬の適正服用量を再検討する必要があります。また適正服用量が決まった後も、定期的に効き具合を評価していかなければいけません。効きは血液検査の「PT(プロトロンビン時間)」という項目で確認する事ができます。PTのうち、PT-INRという項目が臨床上は良く用いられていますが、この項目を定期的に確認し、適正値に収まっているのかを確認しなければいけません。そのため、現状でいいというわけではなく、定期的な検査を行い、適正かどうかを判断していく必要があります。通院・服薬・検査などを怠らないようにしましょう。

記載以外の疾患に用いられることはありますか?

血栓症を引き起こしやすいとされている心房細動、心筋梗塞後に用いられることがあります。心房細動では心房が不規則に収縮してしまう病気です。そのため心臓の中に乱流が生まれ、乱流によって血栓が作られやすくなります。心臓は全身に血液を回しているので、体内のどこかに血栓が飛んでしまい、支障が出る可能性があります。また心筋梗塞では心臓の一部が壊死してしまうので、心房細動同様に乱流ができて血栓が作られやすくなります。
以上のことを防ぐために用いられることもあります。心筋梗塞の再発や死亡率を低下させることも期待されています。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。