エナラプリルマレイン酸塩

成分名

エナラプリルマレイン酸塩

適応症状

悪性高血圧
腎血管性高血圧症
腎性高血圧症
本態性高血圧症
慢性心不全<軽症〜中等症>

簡易説明

血圧を下げる薬で、ACE阻害薬と呼ばれる系統です。主に高血圧症や心不全の治療に使用されます。体内物質の「アンジオテンシンⅡ」の生成を抑制することで、血管が広がり、水分や電解質が調整され血圧が下がります。この作用により、心臓や腎臓の負担を軽くする効果もあるので、心臓病(心不全など)や腎臓病(腎硬化症、糖尿病性腎症など)の治療にも期待できます。年齢を問わず広く用いることができるのも特徴です。

処方可能な診療科目

内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:2.5mg約17.3円/5mg約20.2円/10mg約26.8円
薬代後発薬1錠の目安:2.5mg約10.1円/5mg約10.1円/10mg約13.4円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月 : 1986年7月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

レニベース錠2.5/5/10【製薬メーカー:オルガノン】

関連製品(ジェネリック)

【製薬メーカー:大原薬品工業/東和薬品/ファイザー/沢井製薬/日本薬品工業/メディサ新薬/日医工ファーマ/日本ジェネリック/日新製薬-山形/武田テバファーマ/キョーリンリメディオ/ダイト/小林化工/サンド/共和薬品工業/サンノーバ/マイランEPD】
エナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg/5mg/10mg「オーハラ/トーワ/ファイザー/サワイ/ケミファ/MED/NikP/JG/日新/タイヨー/杏林/フソー/MEEK/サンド/アメル/EMEC/VTRS」

効果・作用

体内の血圧を上げる「アンジオテンシンII」の生成を抑えることで血圧を下げる作用があります。心臓や腎臓などを保護する効果も期待できます。また、心不全や糖尿病性腎症などに使用される場合もあります。

▼薬理作用
アンジオテンシンIIという血圧を上げる物質は、血管収縮作用や副腎皮質からアルドステロンという物質を分泌させる作用があります。アルドステロンは腎臓に働きナトリウムイオン(Na+)の再吸収に関係することで、循環血液量が増加し、心拍出量や末梢血管抵抗が増加します。こういった作用により血圧の上昇がおこります。

▼臓器保護作用
レニン-アンジオテンシン系(RA系)に作用する薬の共通点として、「臓器を保護する作用がある」という事があります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げるだけでなく、心筋の肥大化や腎臓の線維化にも関係してます。このことから、アンジオテンシンⅡの作用を抑える薬には、心臓や腎臓の保護作用が存在します。実際、エナラプリルは高血圧治療薬として使用されるだけでなく、「慢性心不全」に対する適応も取得しています。臨床試験を行い、慢性心不全患者に対してもエナラプリルが有効であるという結果が得られています。なお、エナラプリルの副作用としてはめまい、咳などが知られています。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の有名な副作用としては空咳が知られているため、これらの副作用が出た場合は注意が必要です。

▼他のACE阻害薬
エースコール
タナトリル
レニベース
コバシル

使用方法

▼高血圧症の場合
成人に対しては、5~10mgを1日1回経口投与してください。
※年齢、症状により適宜増減します。
※ただし、腎性・腎血管性高血圧症、または悪性高血圧の方は2.5mgから投与を開始することが望ましいです。
※生後1ヵ月以上の小児は、0.08mg/kgを1日1回経口投与してください。
※年齢、症状により適宜増減します。
▼慢性心不全(軽症~中等症)の場合
ジギタリス製剤、利尿剤等と併用してください。
成人に対しては、5~10mgを1日1回経口投与してください。
※年齢、症状により適宜増減する
ただし、腎障害を伴う患者、または利尿剤投与中の方は2.5mg(初回量)から投与を開始することが望ましいです。
▼用法用量に関連する注意
小児等に投与する場合、1日10mgを超えないようにしてください。

副作用

主な副作用
クレアチニン上昇、貧血、白血球減少、発疹、皮膚そう痒、めまい、頭痛、眠気、低血圧、動悸、胸痛

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。

高カリウム血症、血管浮腫、呼吸困難、顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、腸管血管浮腫、ショック、心筋梗塞、狭心症、急性腎障害、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、膵炎、血中アミラーゼ上昇、血中リパーゼ上昇、間質性肺炎、発熱、咳嗽、胸部X線異常、剥脱性皮膚炎、中毒性表皮壊死融解症、Toxic Epidermal Necrolysis、TEN、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、天疱瘡、錯乱、肝機能障害、肝不全、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、SIADH、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害

その他の副作用
食欲不振、消化不良、口内炎、咽頭炎、喉頭炎、倦怠感、ほてり、口渇、味覚異常、脱力感、しびれ、ヘモグロビン低下、ヘマトクリット低下、好酸球増多、光線過敏症、多汗、脱毛、いらいら感、抑うつ、起立性低血圧、調律障害、頻脈、徐脈、舌炎、便秘、黄疸、喘息、嗄声、潮紅、疲労、インポテンス、耳鳴、筋肉痛、低血糖、BUN上昇、蕁麻疹、不眠、AST上昇、ALT上昇、血清ナトリウム値低下

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■エナラプリルマレイン酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方レニベースは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼レニベースの有効成分
エナラプリルマレイン酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、硬化油

■他に使用できない方
妊婦/授乳者
過敏症
血管浮腫
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析施行中
遺伝性血管浮腫
後天性血管浮腫
特発性血管浮腫
薬剤による血管浮腫
デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中
トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中
ポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中
アリスキレン投与中
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬投与中
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬投与中止から36時間以内
高カリウム血症
両側性腎動脈狭窄
片腎で腎動脈狭窄
手術前24時間

使用に注意が必要な方
高齢者
新生児/乳児/幼児/小児
血液透析中
厳重な減塩療法中
重症高血圧症
手術前24時間
腎機能障害
腎障害
脳血管障害
重症慢性心不全
血清カリウム値が高くなりやすい
コントロール不良の糖尿病
膜翅目毒<ハチ毒>による脱感作中
eGFRが30mL/min/1.73㎡未満の小児等

上記にあてはまる方は、エナラプリルマレイン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エナラプリルマレイン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン
トリアムテレン
カリウム補給剤
塩化カリウム<補給剤>
トリメトプリム
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
リチウム製剤
炭酸リチウム
アンジオテンシン2受容体拮抗剤
降圧利尿剤
利尿剤
ヒドロクロロチアジド
カリジノゲナーゼ製剤
ニトログリセリン
非ステロイド系抗炎症剤
インドメタシン製剤
リファンピシン類
ビルダグリプチン
インスリン製剤
経口血糖降下剤

上記を使用している方は、エナラプリルマレイン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エナラプリルマレイン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
アリスキレン
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
両側性腎動脈狭窄のある場合、薬の使用は可能ですか?

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。

添付文書レニベース錠

【上記引用元:オルガノン株式会社】

薬を始めて服用するときの注意点はなんですか?

初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、血圧等の観察を十分に行うこと。

添付文書レニベース錠

【上記引用元:オルガノン株式会社】

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