ベラプロストナトリウム

成分名

ベラプロストナトリウム

適応症状

慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
原発性肺高血圧症

簡易説明

ベラプロストナトリウムは科学的に安定な経口プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)誘導体製剤と呼ばれる医薬品になります。ベラプロストナトリウムは抗血小板作用及び末梢血管拡張作用・末梢血流増加作用に優れ、臨床的には慢性動脈閉塞症に伴う虚血性潰瘍、疼痛及び冷感に対し改善効果を示すことが確認されております。さらに、原発性肺高血圧症に対して、、肺血管拡張作用、肺血管中膜の筋性肥大抑制作用、抗血栓作用により、症状の進展・増悪を抑制することが示され承認・販売に至りました。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/泌尿器科/産婦人科/小児科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:20μg約30円
薬代後発薬1錠の目安:20μg約20円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

▽肺高血圧症の疾患のうち、「肺動脈性肺高血圧症」、「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」、「肺静脈閉鎖症/肺毛細血管腫症」は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。また小児(18歳未満)では、肺高血圧症は小児慢性特定疾病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1992年1月21日製造販売承認
1992年4月17日薬価基準収載
1992年4月17日販売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ドルナー錠20μg【製薬メーカー:東レ株式会社】
プロサイリン錠20【製薬メーカー:科研製薬株式会社】
ケアロードLA錠60μg【製薬メーカー:東レ株式会社】
ベラサスLA錠60μg【製薬メーカー:科研製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ベラプロストNa錠20μg「VTRS」【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】
ベラプロストNa錠20μg「YD」【製薬メーカー:株式会社陽進堂】
ベラプロストNa錠20μg「オーハラ」【製薬メーカー:大原薬品工業株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「杏林」【製薬メーカー:キョーリンリメディオ株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「JG」【製薬メーカー:長生堂製薬株式会社】
ベラプロストNa錠20μg「AFP」【製薬メーカー:シオノケミカル株式会社】
ベラプロストNa錠40μg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ株式会社】
ベラプロストNa錠40μg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
ベラプロストNa錠40μg「YD」【製薬メーカー:株式会社陽進堂】
ベラプロストナトリウム錠40μg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】

海外での使用実績

〇韓国
Berasil(販売名)/韓国アステラス製薬(株)(会社名)
1997年10月販売開始されております。錠剤1錠中20μg含有しており、効能効果としては慢性動脈閉塞症(バージャー氏病、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性末梢血管病症等)に伴う潰瘍、疼痛、冷えの改善、原発性肺高血圧症で使用されております。

〇タイ
Dorner(販売名)/Astellas Pharma(Thailand)Co.,Ltd.(会社名)
2001年8月販売開始されております。錠剤1錠中20μg含有しており、効能効果としては慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、原発性肺高血圧症で使用されております。

〇中国
Dorner(販売名)/深圳万楽薬業有限公司(会社名)
2004年11月販売開始されております。錠剤1錠中20μg含有しており、効能効果としては慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、間歇性跛行、疼痛及び冷感の改善で使用されております。

〇インドネシア
Dorner(販売名)/PT. Astellas Pharma Indonesia(会社名)
2006年12月販売開始されております。錠剤1錠中20μg含有しており、効能効果としては慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、原発性肺高血圧症で使用されております。

効果・作用

ベラプロストナトリウムは慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善に、また原発性肺高血圧症に効果のある医薬品として販売されております。

【慢性動脈閉塞症】
慢性動脈閉塞症は、動脈硬化によって手足の末梢動脈が詰まったり、狭くなったりした状態で、軽い場合は痺れ、冷感、歩行障害等、重症の場合には下肢の壊死にまで至る症状になります。

【原発性肺高血圧症】
肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る為の血管である「肺動脈」の血圧(肺動脈圧)が高くなることで、心臓と肺の機能障害をもたらす予後不良な進行性の疾患群になります。具体的には、右心カテーテル検査を行って、安静仰臥位での平均肺動脈圧が25mmHg以上と定義されております。

【作用機序】
プロスタグランジンI2誘導体製剤であるベラプロストナトリウムは、主に血小板及び血管平滑筋のプロスタサイクリン受容体を介して、アデニレートシクラーゼを活性化し、細胞内cAMP濃度上昇、Ca2+流入抑制及びトロンボキサンA2生成抑制等により、血管拡張作用、抗血小板作用及び血管平滑筋細胞増殖抑制作用を示します。
また肺動脈性高血圧症に対するベラプロストナトリウムの作用としては、他に血管内皮細胞における作用や単球マクロファージに対する作用もあると考えられております。すなわち、血管内皮細胞に関しては、内皮障害に対する保護作用を有し、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)遺伝子の転写を活性化するとともにmRNAを安定することで一酸化窒素(NO)の産生を亢進します。さらに単球マクロファージに関してはLPS刺激を行った培養マクロファージに直接作用し、炎症性サイトカイン(IL-1,TNFα)の産生を抑制することなどが報告されております。

使用方法

プロサイリン錠20/ドルナー錠20μg
・慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
通常、成人に対して、ベラプロストナトリウムとして1日量120μgを3回に分割して食後に経口投与することとされております。
・原発性肺高血圧症
通常、成人に対して、ベラプロストナトリウムとして1日量60μgを3回に分割して食後に経口投与するこ事から開始し、症状(副作用)を十分観察しながら漸次増量することとされております。増量する場合ににおいては、投与する回数を1日3~4回とし、最高用量を1日量180μgとすることとされております。
特に原発性肺高血圧症においては、薬物療法に対する忍容性が患者個々によって異なることが知られておりますので、投与する量を少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこととされております。

ベラサスLA錠60μg/ケアロードLA錠60μg
・原発性肺高血圧症
通常、成人に対して、ベラプロストナトリウムとして1日量120μgを2回に分割して朝夕食後に経口投与する事から開始し、症状(副作用)を十分観察しながら漸次増量することとされております。なお、用量については患者の症状、忍容性などを考慮し適宜増減しますが、最大量として1日量360μgまでとし、2回に分割して朝夕食後に経口投与することとされております。

副作用

重大な副作用
1)出血傾向(頻度不明)
脳出血、消化管出血、肺出血、眼底出血が現れることがあるとの報告がございます。
2)ショック、失神、意識消失(いずれも頻度不明)
血圧低下、頻脈、顔面蒼白、嘔気等が認められたとの報告がございます。
3)間質性肺炎(頻度不明)
4)肝機能障害(頻度不明)
黄疸や著しいAST、ALTの上昇を伴う肝機能障害が現れることがあるとの報告がございます。
5)狭心症(頻度不明)
6)心筋梗塞(頻度不明)

その他の副作用
1)出血傾向
出血傾向、皮下出血、鼻出血(頻度不明)
2)血液
貧血、白血球増多(1%未満)
好酸球増多、血小板減少、白血球減少(頻度不明)
3)過敏症
発疹、湿疹、そう痒(1%未満)
蕁麻疹、紅斑(頻度不明)
4)精神・神経系
頭痛(5%以上)
眠気、ふらつき(1%未満)
めまい、立ちくらみ、もうろう状態、しびれ感、振戦、不眠、浮遊感(頻度不明)
5)消化器系
下痢、嘔気、食欲不振、腹痛(1~5%未満)
嘔吐、口渇、胃不快感(1%未満)
上腹部痛、胃潰瘍、胃障害、胸やけ(頻度不明)
6)肝臓
ALT上昇、γ-GTP上昇、AST上昇、LDH上昇(1~5%未満)
ビリルビン上昇、Al-P上昇(1%未満)
黄疸(頻度不明)
7)腎臓
BUN上昇(1~5%未満)
血尿(1%未満)
頻尿(頻度不明)
8)循環器系
顔面潮紅(5%以上)
ほてり、のぼせ(1~5%未満)
動悸、潮紅(1%未満)
血圧低下、頻脈(頻度不明)
9)その他
トリグリセライド上昇(1~5%未満)
倦怠感、冷汗、疼痛、関節痛、息苦しさ、耳鳴、発汗(1%未満)
浮腫、胸部不快感、胸痛、発熱、熱感、顎痛、気分不良、背部痛、頸部痛、脱毛、咳嗽、筋痛、脱力感(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
①出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、上部消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血
等)
出血を増大する恐れがある為服用できません。
②妊婦又は妊娠している可能性のある女性
安全性が確立していないため服用できません。

使用に注意が必要な方
①月経期間中の患者
出血傾向を助長する恐れがある為注意が必要になります。
②出血傾向並びにその素因のある患者
出血傾向を助長する恐れがある為注意が必要になります。
③高度の腎機能障害(血清クレアチニン2.5mg/dL以上)のある患者
曝露量(AUC)が増加するおそれがある為注意が必要になります。
④授乳婦
動物実験(ラット)において乳汁中へ移行する事が報告されている為治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討する事とされております。
⑤高齢者
一般的に生理機能が低下している為注意が必要になります。

上記にあてはまる方は、ベラプロストナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ベラプロストナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)抗凝血剤(ワルファリン等)/抗血小板剤(アスピリン・チクロピジン等)/血栓溶解剤(ウロキナーゼ等)
相互に作用を増強する事があり出血傾向を助長する恐れがある為注意が必要になります。
2)プロスタグランジンI2製剤(エポプロステノール・ベラプロスト)/エンドセリン受容体拮抗剤(ボセンタン)
相互に作用を増強する事が考えられるため血圧低下を助長する恐れがある為注意が必要になります。

上記を使用している方は、ベラプロストナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ベラプロストナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
手術するまでにおける休薬機関はどのくらい必要か?

1日前までに休薬しておくこととされております。

食後とあるが食事の影響を受けるのか?

食前と食後での服薬に対しては著名な相違は認められておりません。しかし空腹時投与においてはCmaxは少し高くなり、Tmaxは少し早まったとの報告もありますので可能な限り食後で服薬したほうが良いでしょう。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。