成分名 |
ニトロプルシドナトリウム水和物 |
適応症状 |
手術時の低血圧維持/手術時の異常高血圧の救急処置/慢性心不全の急性増悪期を含む急性心不全/高血圧性緊急症 |
簡易説明 |
ニトロプルシドナトリウム水和物は血圧を下げる注射剤で、手術時や急激に血圧が上がった際の処置として使用されます。強い作用を持つため、必ず希釈して投与します。もともとは光に弱く、投与に適していませんでしたが、丸石製薬が改良・開発し、光の下でも安定的な効果を示す薬剤として広く普及しました。適応を複数持っているため、使用用途に応じて投与スピードを変えて投与をします。 |
処方可能な診療科目 |
循環器内科/糖尿病内科/外科/一般内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
ニトプロ持続静注液6mg【製薬メーカー:丸石製薬】6mg1管656円(薬価)
ニトプロ持続静注液30mg【製薬メーカー:丸石製薬】30mg1管2588円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1988年5月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ニトプロ持続静注液6mg/ニトプロ持続静注液30mg 【製薬メーカー:丸石製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
【アメリカ】
NITROPRESSという名前でHospira, Incから発売されています。
<適応症>
・高血圧クリーゼ患者の速やかな降圧
(ニトロプルシドナトリウムの治療期間を最小限にするため、長時間作用型降圧剤を同時投与するべきです。
・手術中の出血量低下のための低血圧維持
・急性うっ血性心不全の治療
<用法用量>
過度の低血圧の回避には、成人及び小児における平均有効投与量は約3µg/kg/minですが、一部の患者ではこの投与量で NITROPRESSを投与されると危険なレベルの血圧低下が起こることがあります。
そのため、ニトロプルシドナトリウムの投与は非常に低用量(0.3µg/kg/min)で始めてください。目的とする効果が得られるまで又は最大推奨投与量(10µg/kg/min)に到達するまで数分おきに漸増することとされています。
【イギリス】
販売会社はありませんが、効能効果としては以下の3つです。
<適応症>
・高血圧性緊急症
・麻酔時の低血圧維持
・急性または慢性心不全
<用法用量>
・高血圧性緊急症の場合、静脈内持続投与をします。初期投与は 0.5-1.5µg/kg/分で 0.5-8µg/kg/分の範囲で 5分ごとに 500ng/kg/分ずつ増量します。しかし、既に他の降圧剤を投与されている場合はより低用量とします。最大用量で10分以内に十分な反応が得られない場合は中止してください。
・治療前拡張期血圧から 30-40%低下させた血圧の維持の場合、20-400µg/分とします。。しかし、既に他の降圧剤を投与されている場合はより低用量とします。
・手術時の低血圧維持の場合、静脈内持続投与で最大 1.5µg/kg/分とします。
・心不全の場合、静脈内持続投与をします。初期投与は10-15µg/分で必要に応じて 5-10分おきに増量します。通常 10-200 µg/分の範囲で最大 3日とします。
【オーストラリア】
Hospira Australia Pty Ltdから、DBLという名前で発売されています。
<適応症>
・高血圧クリーゼ患者の速やかな降圧
(高血圧クリーゼがニトロプルシドナトリウムによってコントロールされている間に、経口降圧薬の併用を開始してください。
・手術中の出血量低下のための低血圧維持(執刀医及び麻酔科医が適切であると判断する場)
・心拍出量の増強及び心筋酸素消費量低下のための心不全の短期的な治療 |
効果・作用 |
ニトロプルシドナトリウム水和物は血圧降下剤です。直接血管平滑筋を弛緩させ、血管内皮の有無に依存せず、容量血管と抵抗血管の両方に作用します。強い作用を持つため、必ず希釈して用います。
手術時の低血圧維持への治療効果としては、全身吸入麻酔による手術施行患者173例を対象とした国内第Ⅲ相比較試験を実施しています。
2つの群に分け、87名にニトロプルシドナトリウム水和物、86名にニトログリセリンを静脈内持続投与を行いました。ニトロプルシドナトリウム水和物は0.5µg/kg/分の投与速度で開始し、原則として3.0µg/kg/分を超えない範囲で血圧を調節しました。降圧効果はニトロプルシドナトリウム水和物で98.9%、ニトログリセリンで89.3%で、有意に優れていることが認められました。加えて、血圧調節性もニトロプルシドナトリウム水和物で86.0%、ニトログリセリンで53.6%であり、統計的に有意に優れていました。
手術時の異常高血圧の救急処置での治療効果としては、手術中に血圧が上昇した患者104例を対象に国内第Ⅲ相一般臨床試験を行っています。
0.3~2.0µg/kg/分で静脈内持続投与を開始し、投与速度を調節し目標血圧を維持しました。降圧効果は95.2%、血圧安定度は77.9%でした。 |
使用方法 |
5%ブドウ糖注射液で希釈し、0.06~0.1%(1mL当たり0.6~1mg)溶液を持続的に静脈注射します。
使用する目的によって、投与速度が異なります。
〈手術時の低血圧維持〉
成人には、1分間に体重1kg当たり0.5µg/kg/分の投与速度で投与を開始し、過度の血圧低下に注意しながら徐々に増量します。目的値まで血圧を下げたら、血圧をモニターしながら投与速度を調節します。
通常、2.5µg/kg/分以下の投与速度で血圧は低下しますが、最高投与速度は3µg/kg/分が限度となっています。また、開始投与速度は年齢、症状により適宜減量してください。
〈手術時の異常高血圧の救急処置〉
成人には、1分間に体重1kg当たり0.5µg/kg/分の投与速度で投与を開始し、過度の血圧低下に注意しながら徐々に増量します。目的値まで血圧を下げたら、以後血圧をモニターしながら投与速度を調節します。
通常、2.0µg/kg/分以下の投与速度で血圧は低下しますが、最高投与速度は3µg/kg/分が限度となっています。また、開始投与速度は年齢、症状により減量してください。
〈急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)、高血圧性緊急症〉
小児には1分間に体重1kg当たり0.5µg/kg/分の投与速度で投与を開始し、過度の血圧低下に注意しながら徐々に増量します。目的とする血行動態となるまで循環動態をモニターしながら投与速度を調節します。
通常、3.0µg/kg/分以下の投与速度で目的とする血行動態が得られますが、最高投与速度は10µg/kg/分を限度とします。また、開始投与速度は年齢、症状により適宜減量してください。 |
副作用 |
主な副作用
主に、PaO2低下、過度の低血圧、リバウンド現象などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。
循環器・・頻脈/不整脈/心電図異常(0.1~5%未満)
呼吸器・・PaO2低下(5%以上)
肝臓・・肝機能検査値異常(ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇等)(0.1~5%未満)
血液・・一酸化炭素ヘモグロビン増加(頻度不明)
その他・・代謝性アシドーシス(0.1~5%未満)
重大な副作用
<過度の低血圧(0.1~5%未満)>
起きた場合は、昇圧剤を投与してください。
<リバウンド現象(0.1~5%未満)>
必要に応じて降圧剤を投与してください。
<シアン中毒(頻度不明)>
耐薬性の出現、代謝性アシドーシスの進行、静脈血酸素含量の上昇及び心電図ST-T波変化などは、シアン中毒の初期症状の可能性があるので注意をしてください。
もし症状が出た場合には、すぐに本剤の投与を中止し、シアン中毒の治療を行ってください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ニトロプルシドナトリウム水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ニトロプルシドナトリウム水和物の有効成分
ニトロプルシドナトリウム水和物
▼代表薬の添加物
カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物、pH調節剤
・以前、ニトロプルシドナトリウム水和物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・脳に高度な循環障害のある方は脳循環が抑制されるため使用できません。
・甲状腺機能不全の方は代謝物のチオシアンにより甲状腺機能が低下する可能性があるため、使用できません。
・レーベル病(遺伝性視神経萎縮症)、たばこ弱視あるいはビタミンB12欠乏症の方はシアンの解毒処理能力が低下している可能性があるため、使用できません。
・重篤な肝機能障害のある方は、肝循環が抑制されるため使用できません。
・重篤な腎機能障害のある方は、腎循環が抑制されるため使用できません。
・ 高度な貧血の患者方は、血圧低下によりめまい等の貧血症状を悪化させるため使用できません。
使用に注意が必要な方 ・頭部外傷又は脳出血による血腫などの頭蓋内圧亢進症の方は頭蓋内圧を上昇させるため、注意をしてください。
・甲状腺機能の低下した方は代謝物のチオシアンにより甲状腺機能がさらに低下する恐れがあるため、注意をしてください。
・心機能障害のある方は冠循環が抑制されるため、注意をしてください。
・著しく血圧の低い患者血圧低下をさらに悪化させる恐れがあるため、注意をしてください。
・極度な肥満の方は血中シアン濃度が上昇する恐れがあるため、注意をしてください。
・重篤でなくても腎機能障害のある方は、腎循環が抑制される恐れがあるため注意をしてください。
・重篤でなくても肝機能障害のある方は、肝循環が抑制される恐れがあるため注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者
上記にあてはまる方は、ニトロプルシドナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ニトロプルシドナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <吸入麻酔剤(セボフルラン等)>
吸入麻酔剤の降圧作用及び圧反射機能の抑制作用により、血圧低下が増強される恐れがあります。
<降圧作用を有する薬剤(ニカルジピン塩酸塩、プラゾシン塩酸塩、エスモロール塩酸塩等)>
血圧低下が増強されることがあるので、本剤の用量を調節しながら併用してください。
上記を使用している方は、ニトロプルシドナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ニトロプルシドナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 <ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤:シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ )、タダラフィル(シアリス、アドシルカ、ザルティア)>
両剤の併用により、降圧作用を増強させてしまうため、併用できません。
<グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤:リオシグアト(アデムパス)>
両剤の併用により、降圧作用を増強させてしまうため、併用できません。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ニトロプルシドナトリウム水和物に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ニトプロ持続静注液6mg/ニトプロ持続静注液30mg 添付文書
要望内容に関連する事項 【ニトプロ持続静注液6mg/ニトプロ持続静注液30mg 未承認薬・適応外薬の要望】
ニトプロ持続静注液6mgの基本情報 【日経メディカル】 |
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