クエン酸第一鉄ナトリウム

成分名

クエン酸第一鉄ナトリウム

適応症状

鉄欠乏性貧血

簡易説明

クエン酸第一鉄ナトリウムは、酸性から塩基性に至る広いpH域で溶解し、中性から塩基性における溶液中でも腸管からの吸収が可能な可溶性の低分子鉄として溶存する特性を有しております。その為、低酸状態でも吸収する事が可能で、胃粘膜に対する刺激や食事の影響による吸収の低下が少なく、問題とされている消化器症状の副作用が少ない医薬品として開発に成功しました。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/泌尿器科/小児科/産婦人科/血液内科/消化器内科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:50mg約8円
薬代後発薬1錠の目安:50mg約6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

フェロミア錠50mg
1986年9月25日製造販売承認
1986年11月21日薬価基準収載
1986年12月2日発売

フェロミア顆粒8.3%
2007年8月31日製造販売承認
2007年12月21日薬価基準収載
1986年12月2日発売

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

フェロミア錠50mg/フェロミア顆粒8.3%【製薬メーカー:サンノーバ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

クエン酸第一鉄Na錠50mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック】
クエン酸第一鉄Na錠50mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
クエン酸第一鉄Na錠50mg「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場株式会社】
クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」/クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】

効果・作用

クエン酸第一鉄ナトリウムは鉄欠乏性貧血に効果を持つ医薬品です。
鉄欠乏性貧血に用いられる経口鉄剤における治療上の最大の問題点は、消化器症状を主とする副作用により服薬の継続が困難となるところにございますが、クエン酸第一鉄ナトリウムは胃酸分泌の低下している高齢者や、低酸症及び胃切除者においても効率よく吸収する医薬品として発売されております。

【貧血とは】
酸素を体の組織に運ぶ役目を果たしているのは血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンになります。鉄分の摂取不足や失血などで赤血球数そのものや、ヘモグロビンが減少してしまうと、組織は酸素不足の状態になってしまい、貧血の症状が出てきます。
貧血の症状としては、顔面が青白い、結膜が白っぽくなっている、頭痛、ふらつき、めまい、疲労感、息切れをはじめとして、様々なものがございます。

【原因】
赤血球の寿命は120日と言われており、毎日120分の1の赤血球が破壊され、新しい赤血球が生まれております。
貧血症状における鉄不足の原因の多くは、栄養の偏り等による鉄分の摂取不足、消化性潰瘍、がん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがございます。女性においては月経により定期的に鉄分を失っているほか、更に、月経過多、妊娠中や授乳時に鉄需要が増加するなどが原因と考えられております。

【作用部位】
骨髄

【作用機序】
クエン酸第一鉄ナトリウムは小腸で鉄として吸収されます。その後血漿トランスフェリンに結合して、体内を循環します。トランスフェリンに結合した鉄は骨髄で赤芽球に取り込まれ、ヘモグロビン合成に利用されることで貧血状態を改善します。

赤血球の中にはヘモグロビンという物質があります。ヘモグロビンが酸素と結合する事で赤血球は全身に酸素を運ぶことができます。ヘモグロビンはビタミンなどの働きにより、鉄とタンパク質などが合わさって生成されております。クエン酸第一鉄ナトリウム剤は体内に鉄分を補給する事で、ヘモグロビンの合成を促進し赤血球を増やして鉄欠乏性貧血の症状を改善する作用がございます。

【貧血症状における対応方法】
貧血症状は鉄欠乏性貧血以外にある為、まずはその原因をはっきりさせた上で、適切な治療を受ける事が大切になります。それと同時に食生活にも気を配ることが必要になります。栄養バランスの取れた食事をとるように心がけることが大切です。鉄分を多く含む食品はもちろん、鉄の吸収を促進するビタミンCを十分に含んだ野菜や果物も摂取するようにしましょう。また、赤血球の生成に欠かせないビタミンB12や葉酸を含んだ食品の摂取も必要ですので下記食品を参考にして改善を図るようにしましょう。

1)鉄分を多く含む食品
豚・鶏レバー、蜆・アサリむき身、干しヒジキ、大豆、魚、ほうれん草等
2)ビタミンCを多く含む食品
ブロッコリー、れんこん、キャベツ、小松菜、カリフラワー、サツマイモ、いちご、オレンジ、キウイ、レモン、柿等
3)ビタミンB12を多く含む食品
ニシン、鯖、牡蠣、鮭缶詰、レバー、牛肉、卵、チーズ等
4)葉酸を多く含む食品
牡蠣、アスパラガス、ほうれん草、胡桃、ピーナッツ等

使用方法

錠50mg:通常成人は、鉄として1日100mg~200mg(2錠~4錠)を1回~2回に分けて食後に経口投与します。
なお、年齢、症状により適宜増減する事とされております。

顆粒8.3%:通常成人は、鉄として1日100mg~200mg(1.2g~2.4g)を1回~2回に分けて食後に経口投与します。
なお、年齢、症状により適宜増減する事とされております。

副作用

1)消化器
悪心・嘔吐(5%以上)
上腹部不快感、胃・腹痛、下痢、食欲不振、便秘、胸やけ(0.1~5%未満)
腹部膨満感(0.1%未満)
2)過敏症
発疹(0.1~5%未満)
掻痒感(0.1%未満)
光線過敏症(頻度不明)
3)肝臓
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等(0.1~5%未満)
Al-Pの上昇等(0.1%未満)
4)精神神経系
頭痛、眩暈(0.1%未満)
5)その他
倦怠感、浮腫(0.1%未満)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
鉄欠乏状態にない患者:過剰症をおこす恐れがあります。過量投与にならないよう注意が必要です。

使用に注意が必要な方
1)消化性潰瘍、慢性潰瘍性大腸炎、限局性腸炎等の胃腸疾患のある患者
●一般に鉄剤は胃腸障害を起こしやすいと言われておりますので、胃腸粘膜に潰瘍や炎症のある患者の病態を悪化させる可能性がございます。

2)発作性夜間血色素尿症の患者
●原因は明らかにはされておりませんが、鉄剤を投与した場合に溶血発作を起こすことがあると言われておりますので、溶血を誘発し病態を悪化させる可能性がございます。

3)鉄含有製剤(鉄剤、MRI用肝臓造影剤等)投与中の患者
●注射用鉄剤及び鉄含有製剤をすでに投与していて鉄補給が十分で鉄欠乏のない患者に、更に鉄剤を投与すると過剰症をおこす恐れがございます。

4)高齢者への投与
●一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意する必要がございます。

5)小児等への投与

上記にあてはまる方は、クエン酸第一鉄ナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
クエン酸第一鉄ナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)セフジニル(セフゾンカプセル100mg等):相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、セフジニルの吸収を約10分の1に阻害する事がある為、3時間以上間隔を開けて本剤を投与する事とされております。

2)キノロン系抗菌剤
塩酸シプロフロキサシン(シプロキサン錠100mgg等)、ノルフロキサシン(バクシダール錠100mg等)、トスフロキサシントシル酸塩水和物(オゼックス錠150等)、スパルフロキサシン等:抗菌剤と高分子鉄キレートを形成し、吸収を阻害する可能性がございます。

3)テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリンカプセル100mg等)相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相互に吸収を阻害します。

4)甲状腺ホルモン製剤
レボチロキシンナトリウム水和物(チラーヂンS錠50μg等)、リオチロニンナトリウム等:相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、チロキシンの吸収を阻害する恐れがございます。l

5)制酸剤:鉄の吸収を阻害する事がございます。

6)タンニン酸を含有する食品(緑茶、コーヒー等):タンニン酸と高分子鉄キレートを形成し鉄の吸収を阻害する恐れがございます。

上記を使用している方は、クエン酸第一鉄ナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
クエン酸第一鉄ナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
該当なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
便が真っ黒になったが大丈夫か?

便の黒色化は未吸収の鉄によるもので、このこと自体は有害ではありません。

服用により歯が着色してきたがどうしたらよいか?

口の中に残った鉄が酸化して着色する者と考えられており、その場合には重曹等で歯磨きを行うようにお願いします。

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