エフィナコナゾール

成分名

エフィナコナゾール

適応症状

爪白癬(爪水虫)

簡易説明

エフィナコナゾールは、日本初のトリアゾール系抗真菌薬で、14α-デメチラーゼの阻害剤であり、真菌(カビ)の細胞膜構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害します。
爪白癬(爪水虫)治療薬で、商品名はクレナフィンです。トリアゾール系抗真菌剤には内服薬や注射剤がありましたが、エフィナコナゾールは世界初のトリアゾール系の外用剤として科研製薬株式会社で開発されました。
ケラチンとの親和性が高く爪甲内・爪床での高い抗真菌活性を示します。日本では爪白癬でのみ認可されていませんが、10%溶液が使用されます。

処方可能な診療科目

皮膚科/内科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:クレナフィン爪外用液10%1g/1523.3円
病院によって差があり、薬代の他に診察料・初診料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2014年9月2日発売

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

クレナフィン爪外用液10%

関連製品(ジェネリック)

なし

海外での使用実績

2013年にカナダで爪白癬治療剤として認可され、2014年に日本とアメリカでも認可されました。カナダとアメリカでは爪真菌症が適応疾患となっているが、日本では爪白癬でしか認可されていません。いずれの国でも10%溶液が使用されます。
国内外の臨床試験では、エフィナコナゾールの皮膚刺激性に関して大きな問題は認められておらず、また日本人と外国人との間で皮膚刺激性や薬物動態に大きな違いはないことが確認されました。国際共同第3相試験(日本、米国、カナダ)および海外第3相試験(米国、カナダ)で基剤対照二重盲検比較試験が行われ、投与後52週目の「完全治癒率」などの有効性評価項目において基剤投与群に比べて有意差が認められています。
第3相試験(国際共同および海外)では、副作用(臨床検査値異常を含む)が6.4%に認められています。報告された副作用の大部分は適用部位の皮膚症状であり、皮膚炎(2.1%)、水疱(1.5%)、紅斑(0.7%)などであったとされています。

効果・作用

この薬は、直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者のみ処方されます。
真菌(カビ)を殺し、真菌が原因となる爪の感染症を治療する目的で使用します。
名称の由来は、爪白癬に罹患した爪を清浄(Clean)にする、エフィナコナゾール製剤(Efinaconazole)からクレナフィン(clenafin)と命名されました。
真菌とヒトは細胞の構造が似ているため、真菌だけに毒性を示す薬を探し出すのは比較的難しいですが、抗真菌薬は真菌とヒトのわずかな違いだけを利用して、真菌にのみ効果をあらわします。
細胞の周りには細胞膜と呼ばれる膜があり、膜が存在することによって細胞の内と外を分けることができるようになっています。
細胞膜を詳しく観察すると、真菌とヒトでは若干異なった構造をしていることがわかりますが、ヒトの細胞の細胞膜は主にコレステロールで構成されています。
脂質異常症(高脂血症)の原因としても有名なコレステロールですが、細胞などの体を作るために欠かせない物質です。
一方、真菌の細胞膜には、エルゴステロールという物質が利用されています。。
抗真菌薬では、コレステロールとエルゴステロールの違いを利用して、後者の生合成を阻害しながらも、前者には影響のない物質を投与します。
そのためヒトの細胞には作用せず、真菌は毒と捉えます。
真菌に特徴的なエルゴステロールの働きを抑えることで、真菌症と呼ばれる爪白癬を治療することができるという仕組みになっています。
ただし、エフィナコナゾールは爪白癬専用の薬剤です。
トリアゾール系抗真菌剤には内服薬や注射剤がありますが、爪に生じる水虫は爪の中に病原菌が隠れてしまうため、外用薬では効果が不十分であるとされていました。
従来は内服薬の経口投与によって対処されていましたが、抗真菌薬を経口投与したとしても、成分が血液中に入り、爪に移行して作用する可能性は圧倒的に少ないです。
それらの関係から大量の薬を内服しなければ爪白癬を治療することができません。
経口投与の場合は抗真菌薬による肝臓への毒性を軽減するため、短期間に薬をたくさん服用したあと、休薬期間(薬の服用を止める期間)を設けます。
その後、もう一度大量の抗真菌薬を服用し、再び休薬するというサイクルを繰り返します。
このような簡潔投与法をパルス療法といいます。
爪白癬を経口投与で治療するときはバルス療法で実施されるため、副作用や他の薬との飲み合わせという問題が懸念されていました。

そんな中、エフィナコナゾールは世界初のトリアゾール系の外用薬(塗り薬)として科研製薬株式会社で開発され、外用薬によって爪白癬を治療することができる最初の薬として登場した医薬品です。
外用薬であれば副作用や他の薬との飲み合わせを気にすることなく使用することができます。
1日1回患部に直接塗ることで、エフィナコナゾールはケラチン(爪の成分)との親和性が低く、爪での透過性に優れているので、爪の中(爪甲)や爪の下(爪床)まで薬液が届き、高い抗真菌活性を発揮します。
上記のような特徴を持つことから、外用薬として利用することで、爪白癬(爪水虫)を治療することができます。

使用方法

1日1回罹患爪全体に塗布します。
なお本剤を長期間使用しても改善が認められない場合は医師に相談して使用中止を考えるなど、長期にわたって使用しないこととされています(48週を超えて使用した場合の有効性・安全性は確立していません)。

副作用

主な副作用
皮膚炎、水疱、腫脹、紅斑、疼痛、そう痒、皮膚剥脱、異常感覚、爪甲脱落、変色、湿疹

その他の副作用
鼻咽頭炎、頭痛
などがみられることがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
次の添加物にアレルギー症状を起こしたことのある方は使用できません
・デカメチルシクロベンタシロキサン、アジビン酸ジイソプロビル、乳酸アルキル(C12‐C1)、ジプチルヒドロキシトルエン、無水クエン酸、エデト酸ナトリウム水和物、エタノール

使用に注意が必要な方
・妊婦
・授乳婦
・小児等

上記にあてはまる方は、エフィナコナゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
エフィナコナゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
外用薬のため特にありません。

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
使用する際の注意点はありますか?

・本剤は抗真菌薬のため、新しい爪が伸びてこない限り、一旦変色した爪の見た目を回復させるものではありません。したがって、爪が生えかわるまでの期間が必要になります。
・爪白癬の原因菌とされる真菌は爪甲やその下の皮膚に存在するため、この部位に薬剤が行きわたるよう皮膚と爪の接地面も含め爪全体に十分に塗布し、羅患部以外の皮膚に薬剤が付着した場合は拭き取るようにしてください。
・羅患した部位周辺に傷口がある場合には注意して使用してください。
・爪白癬の罹患した爪以外には使用しないでください。
・治療中の爪には化粧品等を使用しないでください。(ネイル等)
・眼科用として角膜・結膜には使用しないでください。誤って眼に入った場合には、直ちによく水洗し、医師の指示にしたがってください。
・保存及び使用の際には火気を避けるようにしてください。

体内への影響はなにかありますか?

血中濃度に関してですが、日本人健康成人の背部皮膚表面にエフィナコナゾール56.9mgを
単回投与(48時間貼付)したとき、最高血漿中濃度は0.684±0.204ng/mL、最高血漿中濃度到達時間は22.4±4.9時間、消失半減期は算出できなかった)。また、日本人爪真菌症患者を対象として、趾爪10個全てに本剤を1日1回就寝前に28日間塗布したところ、爪中濃度は5,961±3,895μg/gであり、28日間連日投与後の血漿中濃度は1.350±1.226ng/mLであったと報告されています。

エフィナコナゾールはどのような容器に入っていますか?

発売される製剤はハケ一体型のボトル容器であり、薬液を爪面に容易に塗り拡げることが可能になっています。

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